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STSとIUTの教育課程、教育内容・方法の順

第2章 高等教鞭階における職業教育の現状

Ⅳ.  STSとIUTの教育課程、教育内容・方法の順

STSとIUTにおける教育の諸特徴を明らかにするために、近接した専攻領域を選ん で、両者の教育課程や教育内容・方法を比較してみよう。 9)

1.教育課程の特徴

IUT、 STSは、ともに大学と比較して授業時間数が多い。 IUTは専攻領域等によ り異なるが、おおむね週当たり32‑36時間、 STSも32‑35時間(最多のコースでは45 時間)である。 STSでは各学科とも専門教育の時間が多い。

表2‑9: STS (機械・工業オートメーション学科)の教科梯程表

教    科 第1学年 第2学年

<一般教育>

フランス語の表現 数学

外国語 経済・経営

03421

1 93321

<専門教育>

機械組立

組立の計画・技術 生産の方法・計画

システム・オートメーション

(電気技術・電子かメ‑シヨン、情報科学)

45045

2   1 2   1 54254

(出典) ONISEP, nudes sup卓rieures mode d'enploi, p.62.

第1学年は稔授業時間数の約半分、第2学年では約3分の2がこれに充てられている。

一方、 IUTでは専門教育の時間は半分である(I UTでは、専攻領域に直接関係しない 幅広い工学教育や数学教育が行われているが、これらは一般教育に分類されている)。つ

まり、 STSではIUTと比較して狭い専攻領域において、より多くの専門教育が行われ ている。そのため、高い専門性が得られる反面、途中で進路変更が必要になった場合の対 応が難しい。

表2‑10 : I UT (機械・生産工学科)の教科拝等表

教科  c ァyD 第2学年 

<機械.生産工学> 鼎cc R 427(15) 

情報科学  b 35 

組立の技術.機械の概念  c 126 

オートマテイツタ.ロボット工学 田B 42 

製造の技術.方法、機械製造  154 

生産の組織.管理 田b 70 

工業生産の基礎教育  実習(6‑8週間) 

‑31 ‑

<基礎的科学教育> 鼎cb B絣 402(14.5) 

科学.技術の基礎 田  

機械工学 都 94 

材料の強度 都 84 

材料科学 都 29 

電気.電子工学 都 50 

熱学.熱力学  33 

数学  #b 112 

<一般教育>  B 110(4) 

表現.コミュニケーション 鉄b 48 

語学 鼎 48 

法規  14 

合計 涛3茶3" 938(33.5) 

【注】 第1学年は32週間、第2学年は28週間。 ( )内は過当たりの時間。

【出典】 ONISEP, nudes superieuTeS mode dlemploi, p.62.

ST Sと‥ UTの設置形態や学科の種類、教育課程における特徴など、両者を比較する と、以下のようなプロフィールを指摘することができる。

表2‑ll : I UTとSTSのプロフィール

ⅠUT  E2

設置場所  Xァx,儻I リセに付設 

設置形態 俛 zx,ネ‑メ 勾立と私立(在学者の比率 :公立70%、私立30%) 

修業年限 偃X, D 主に2年 

学校数  ユ「 1,936校 

学科数の種類  2 D韜 , 145 

入学者選抜の方法.競争率 傚 } 俟ハIo Gイ 書類選考、約4倍  学生のリセ在籍中の課程 儿 ,ィサ8支攣/h*ゥo xィB 技術教育課程が約5割  教育課程の特徴  ゥLィサ8支,ネ鳧ュH*ゥ リ*" 専門教育の時間が多い  修了認定の方法 乂y> ,ノ.葦ィ韋ヒ 9 h.仆2 醜,ノUリ幵 国家試験 

修了証の取得率 田BR 公立72%、私立67% 

修了後の進学率 田2R 39% 

学生一人当りの年間予算 迭紵iネ7H8 2頴 永ネ冷 6.8万フラン(約136万円) 

【注】 STSの設置形態、学校数、学生‑人当たりの年間予算、修了証の取得率のSTS

は1998年度の数値。 I UTの修了証取得率はQue fhire avecunbac ST【,STL,SMS,

1998,によったが、年度は不明。学生‑人当たりの年間予算のうち、 STSはグラン ゼコール準備級を合わせた平均である。

【資料】 Bien choisir votre DUT ou votre BTS, ‑.lTEIudiant.I 1993.1, p. 102. C. Forestier, ■Les I.U.T. 25 ans apT由Ieur crgeatio血●,一一Savoir一一, no.3, janv.lmarS 1991, p・22・伽e血ire avec tin bac STI,STL,SMS, 1998, p.30, p.40などに基づいて作成。

2.教育方法

IUT、 STSとも、大学と比較してより実践的な教育が重視されており、実験・実習 の比重が大きい。教育は全般に企業との密接な関係の下で行われる。企業から派遣された 職員が担当する教育の比重が大きく、全体の教育時間の半分に達する機関・学科もある。

S・TSの場合、第2学年では専攻領域に関係するテーマで研究プロジェクトを立て、その 実親に向けて教育・研究を行っているが、プロジェクトの設定や遂行は、しばしば企業派 遣の職員と協力して行われる(プロジェクトの実施状況や研究成果は、修了証取得試験の 際の評価項目である)。学生は2人から6ないし8人のグループに分かれ、ここにに企業 の職員も参加する。プロジェクトの結果が良好であれば、それを製品として開発すること もある(たとえば、あるSTSでは、衣料製造メーカーの要請を受けて、コンピュータ制 御の刺繍機の性能の向上に向けてプロジェクトを立案し、企業の職員と協力してその実現

を図っている)。

企業研修も教育課程の重要な構成要素であり、 IUT、 STSとも必修となっている。

期間はIUTが6‑8週間、 STSが8‑12週間である。研修が就職につながるように、

研修の時期はしばしば2年間の採取段階に設定されている。学生は研修後に学習成果を論 文にまとめる。とくにS TSの場合、修了証取得試験(2年の最後に国家試験として実施) でこの論文についての審査が行われる。

3.数育条件

学生‑人当たりの教育予算(政府及び地方公共団体が1年間に配分した予算で、学校外 活動や継続教育関係費を除く、施設・設備費及び経常経費補助金等すべて)は、 1993年

度はSTS6.8万フラン(約136万円)、 IUT5.4万フラン(約108万円)である。ここ

に示したSTSの数値はCPGE (普通教育中心のため、施設・設備をさほど要しない) との平均であり、 STSの予算は実際にはこれよりも多いため、 STSの方がIUTより も多くの予算が配分されている(ただし、 IUTはすべて国立であるのに対して、 STS は私立も多く、これらの学校は公立と比較して施設・設備や教員の資格等の教育条件が悪

い)。

教育を担当する教員は、 STSの場合、リセと同様に中等教育教員である。しかし、中 等教貞の中には、通常の中等教育を担当する中等教育教員資格のほかに、大学での教育担 当が認められる上級中等教貞資格(アグレガシオン。リセの教員総数の約2割)が設けら れており、 STSではその保持者を中心に教育が行われている。一方、 IUTの場合、大 学と同様に教授と助教授が配置されているが、上級中等教貞資格の教員をはじめとする中 等教貞資格の教員が最も多く,全体の3分の1を占めている。

ー33‑

4.修了証の取得状況

sT Sの修了証である上級テクニシャン免状(BTS)は、第2学年の最後に行われる 国家試験に合格することにより授与される。一方、 I UTの修了証である大学技術教育修 了証(DUで)は、学内の通常の試験等による教貝の評価に合格することにより授与され る。 1994年度における修了証の坂得率は、 ST Sの場合公立が69.1 %、私立が58.3 %で ある(国家試験の受験者に対する合格者の割合)。これに対してI UTの場合は1995年度 で78.4 %である(1992年度の入学者に対する1994年度修了者の知合)。 I UTの修了率 が高いのは、 BT Sのような国家試験がなく、通常の教育課程の履修で修了証を取得でき るためと考えられる。同様に国家試験なしで修了証を取得できる大学では、最初の2年間 の課程である第1期課程の修了率は59.6 %である。これと比較すると、 IUTはもちろ 4,.STS (公立)でも修了率はかなり高い水準にあるといえる.I

5.修了後の上級機関への進学

IUT、 STS修了後に取得できる資格としては、従来から大学修了証(DU)、技術 深化修了証(DTA、 DUTA)、高等技術教育修了証(DEST)などがある。大学修

了証は、授与条件等が法令で規定された全国共通の大学の修了証(第1期課程の修了証で ある大学一般教育修了証DEUG、第2期課程の修了証であるリサンス、メトリーズなど) とは異なり、個別の大学が独自に授与する修了証である。そのため、専攻領域が地域に独 自のものであったり、修了証の社会的認知の程度が大学の所在地の近隣に限定される。

IUTの場合、進学先は大学第2期課程(大学第3、第4学年)が41 %と最も多い。

次いでIUTの上級コース(後述)が18%、大学第1期課程が14%、技師学校13%な どとなっている。大学第1期課種の場合、大学教育を最初から受けることになり、時間的 な損失は大きいが、それでもこのコースを選択する学生は少なくない。

技師資格や大学学部レベルの学位を取得するためには、 STSやI UTを修了した後、

グランゼコールや大学に進学する必要がある。修了後にこれらに進学した者は、 I UT修 了者が63%であるのに対して、 STSは39%であり、 IUTの方がやや高い。両者とも、

主に大学に編入学をしているが、 I UTの修了者はしばしば第3学年に編入学しているの に対して、 STSの修了者の場合多くは第2学年に入学している。また、数はさほど多く はないが、グランゼコールにも入学する学生もいる。グランゼコールは、主にグランゼコ ール準備級の学生を対象に入学試験を実施しているが、 I UTなどの学生にも受験を認め ている。しかし、 STSの学生には受験を認めていない学校も少なく、実際にSTSから 入学している学生は少ない。その点で、修了後の上級機関への進学や、それによる上位の 資格の取得という点では、 STSはIUTと比較して不利な状況になっている。

6.就職の状況

STSとIUTの修了者は、多くがテクニシャンかあるいはそれ相当の職種についてい

る。

IUTとSTSの修了3年後の状況に関する調査(1987年)によると、テクニシャン の職に就いている者はIUT修了者が51%、 STS修了者が40%。電機・電子・機械関

係設計担当者がそれぞれ12 %と6%である。これらのほか中級公務月や教員等を含めた

「中間的職業」に分類される職業の従事者は、それぞれ89 %、 88 %である。一方、後期 中等教育修了程度の職業資格が要求される労働者や従業員に分類される職業についている 者は9%と10%と少ない。

表2‑12 : S T Sと王U Tの1984年修了者の修73年後の耽種 STS  EUB

テクニシャン 坦 ●● 

計画立案 唐

試験.調査  21 

メンテナンス  12 

製造 

その他 

テクニシャンの小計 鼎 51 

上級幹部職貞  2 

中級公務員 釘

補助教員.私立学校教貞 澱

電気.電子、機設計担当者  "

現場監督 唐

企業の中間職  b 12 

中間的職業の小計 塔 89 

従業貞.労働者 

合計  lr,00 

<出典> cEREQ,Leniveatl Ⅲ de fornatioJl ( BTS, DUT...) Crise de croissance?, 1991,p. 29.ただし、一部を変更してある。

IUTとSTSの修了証(DUTとBTS)は、国民教育省の職業資格分類により、と もに第3水準に位置づけられており(第1及び第2水準は、技師資格、大学院及び学部の 修了証、第4水準はバカロレア)、両機関の修了者に対する企業の評価は、一般にほとん ど差はない。就職状況に影響を与えているのは、 I UTとSTSという機関の差異よりも、

むしろ専攻領域による差異である。

7.最近の改革の動向

1980年代までは、 IUTやSTSの修了者に対する経済界の需要は大きく、修了者は おおむね順調に就職することができた。そのため、 IUTとSTSでは入学希望者が多く、

特にSTSでは学生数の増加が顕著であった。しかし、 1990年以降、全般に失業問題が 深刻化する中で、 I UTやSTSの修了者も他の高等教育機関の修了者と同様、次第に就 職が困難になりつつある。修了後初職に就くまでの期間の長期化や雇用の不安定化(期限 付きの雇用)という事態が両機関にも生じている。

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19?1年には、大学付設職業教育センター(IUP)が一部の大学に新設された。これ は、大学第1学年修了者の中から選抜された学生を対象に、高度の職業教育を行うことを 目的とする機関である。修業年限は3年で、修了者には準技師資格(ingenieur‑maitre)杏 授与する。 IUTと同じ大学付設機関であること、 IUT ・ STSと一部学年が重なり、

教育の性格も類似していること、ーI UTよりも高度の資格を取得できること等が特徴であ

る。

このような状況の中で、 IUTとSTSはとくに大学との関係でそれまで保ち得た優位 性の基盤が揺らいでいる。実際、それまで1980年代初めから一貫して増加してきた学生 数が減少に転ずるなどの事態に直面している(STSでは、とくに学生の進学希望の動向 に敏感な私立機関で学生数の減少が目立つ)。このため、両機関ともより多くの学生を確 爆するための施策に取り組んでいる。その代表的な施策が、見習い訓練コースの設置と第

3学年の新設である。

(D見習い訓練コースの設置

見習い訓練制度は、教育機関における理論教授中心の教育と企業での実地訓練を組み合 わせて行うことにより、職業資格の取得をめざす制度である。フランスにおける職業教育 は、伝統的に学校教育を主体に行われてきたが、見習い訓練制度を通じて職業資格を取得 するコースも一部に存在する。近年、政府は見習い訓練制度の振興に努めている。箕

繋 これは、 ①実地訓練を企業で行うため、訓練内容に企業の意向を反映させることが できること、 ②そのため企業の要求する職業能力をもつ労働者の養成が容易であり、

就職の面で学校教育修了者よりも有利であると考えられること、 ③訓練に必要な施設

・設備が少なくてすむため教育費が学校教育の場合と比較して比較的安価であるこ と、などの理由による。

その一環として、 1986年には同制度により取得できる職業資格の制限を撤廃している。

1980年代半ばまで、同制度を通じて取得できる職業資格は後期中等教育修了程度のもの (2年制職業高校修了により取得できる職業適任証(CAP)及び職業教育修了証(BE P))に事実上制限されていた。しかし、そのことが同制度に対する社会的評価が低い一 因であるとして、 1986年の法律改正によりこの制限が撤廃され、すべての職業資格の取 得が可能になった。 IUTとSTSの修了証(DUT、 BTS)についても同様となった。

両機関の修了証の見習い訓練コースに在籍する者は、 1994年度でBTSが7,㌘4人、 DU Tが1,544人である。ともにSTS ・ IUTの在籍者全体の2‑3%と、まだきわめて 少数である。しかし、とくにBTSの場合、 1990年は1,299人(1992年は3,243人)であ

り、わずか4年で6倍へと急増しており、今後とも増加することが予想されている。

②第3学年の新設

近年、 IUTとSTSでは、修了後直ちに就職するのではなく、学業継続を希望して他 の教育機関に進学する学生が増加している。斗

米 これは、以下のような理由による。 (9IUTやSTSの修了証である上級テクニシ ャン資格と、グランゼコール等で取得する技師資格とでは、企業における労働条件に 少なからぬ格差があること、 ②上級テクニシャン資格での就職は比較的容易ではあっ ても、就職後の企業内部での昇進の機会が制限されること、 ③就職後の継続教育によ

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