• 検索結果がありません。

上級テクニシャン免柵得試験の内容

第2章 高等教鞭階における職業教育の現状

T. 上級テクニシャン免柵得試験の内容

次に、 STSが教育の直接の目的とする上級テクニシャン免状(BTS)について、や や詳しく見ておこう。

上級テクニシャン免状(以下、 BT Sと暗)は、国民教育省が所管する国家資格である。

農業系のBTSとして農業上級テクニシャン免状(BTSA)があるが、これについては 農業省が所管している。 B T Sの専攻領域の種類、取得試験の実施方法、受験資格、準備 教育の諸基準などは、国民教育省が法令等を通じて定めている。

以下では、これらの内容について概観する。 10) (1)受験資格

取得試験を受験するためには、以下の3種類による準備教育を受けていること、あるい は受験するBTSの専攻領域と関連する領域でテクニシャン以上の職務で、 3年以上の職 業経験を有すること、を証明することが必要である。

準備教育は、 ①リセ技術教育課程など学校教育によるもの、 ②見習訓練制度によるもの、

③継続教育によるもの、の3種類がある。 ①と②についてはすでに述べたので、ここでは 省略する。

③の継続教育による準備教育については、受験者の教育経歴や職歴に応じて、準備教育 の時間数が定められている。なお、この準備教育を受けるに当たっては、資格や職業経験 に関する制限はない。

600時間:国民教育省の所管資格水準でⅡⅠに分類される資格(上級テクニシャン免状、

技術短期大学部修了証など)を有する者、又はその取得準備教育の課程を満 了した者。

1100時間:国民教育省の所管資格水準でⅣに分類される資格(バカロレアなど)を有

137‑

する者、又はその取得準備教育の課程を満了した者。あるいは3年間の職 業経験を有する者(職種は問わない)

1500時間:上記以外の受験者

リセ・職業リセなどは、グループを形成し、教職貝や施設・設備を共同利用して、地域 住民や企業などの継続教育要求に応えている。 B T S準備のための継続教育は、このグル ープ施設や、民間の継続教育機関、通信教育施設などで受けることができる。

受験者が受験できる試験は、一度に‑種類のみに限定されているニ (2) BTSの種類ごと設定される試験規則

国民教育省が所管するBTSは、大きく第2次産業系(工業系)と第3次産業系(商業

・サービス系)に分かれている。国民教育省は、省令によっ̀て各々のBTSの内容を定め ており、それぞれ以下の7項目が設定されている。

①職業活動基準(r血路rezltiel d'activit6s professiomelles)

②能力基準(16縫rezltiel de certification)

③企業研修に関する書類

④時間配当表

⑤試験規則

⑥本試験及び平常試験の様式

⑦B T Sの新旧対象比較表

これらのうち、 (9職業活動基準は、 BTSの各専攻ごとに、上級テクニシャンの活動領 域(職務や権限の範囲)を定めたものである。

②能力基準は、各専攻領域や受験者のタイプ(学校の生徒、見習い訓練生、継続教育受 講者)ごとに、習得すべき能力や知識、取得すべき「単位」,(mit6、各単位は習得すべき 能力や知識に対応している)が定められている。通常、この単位は専攻領域ごとに異なっ ているが、複数の専攻領域で共通に設定される場合もある。たとえば、 「経済・法律」と いう単位は、 10の専門領域(「商業活動」 「指示補助」 「運輸」など)に共通の単位である。

③企業研修は、学校教育の期間中に行われるもので、上記の能力基準で規定された能力 の一部を企業で学習する。企業研修の終了後に生徒は報告書を作成することになっており、

これが取得試験の評価対象となる場合もある。

④時間配当表は、 BT Sの取得準備教育を行う学校について設定されている。 2年間の 修学期間中に履修する各教科について履修時間を定めている。通常は週当たりの配当時間 が示されるが、 2年間の稔授業時間数が示されることもある。

(9試験規則は、学校の生徒だけでなく、見習訓練生や継続教育受講者などすべての受験 者に共通に設定されている。試験は6種類の本試験(必修)と選択試験からなっており、

通常は本試験1種類が一つの単位に対応して課せられる。本試験1種類が複数の単位と対 応している場合もあるが、その場合には小試験が課せられる。たとえば、 BTS (木材製 品・家具)の本試験Ⅳは、 2つの単位と対応しており、それぞれの単位の評価のために、

「再要と成果の分析」とr計画前の検討」の小試験が課せられる。

試験規則では、それぞれの本試験や小試験について係数、評価様式、回答様式(筆記、

実習、口頭試問)、試験時間を定めている。たとえば、 BTS 「農業・施設」の場合は、

6種類の本試験が課せられる。その中のフランス語試験(必修で、一つの単位に相当)に つい七は、単位はUl、係数は2、試験方法は筆記で試験時間4時間というごとくである

(継続教育による準備教育を受けた受験者に対しては、在学期間中の平常点評価がこれに 加わる)。

また、 「農業技術」の本試験では、 3つ単位に対応して3種類の小試験が課せられ、そ れぞれ以下のように係数・評価方法等が規定される。

単位   係数   評価方法   平常点評価 U41  2   筆記・ 2時間  1回 U42   2   筆記・ 3時間  1回 U43   2   実習・ 3時間  1回

(3)試験問題の作成

試験の実施方法についても省令により定めている。試験の円滑な実施を監督したり、審 査童貞会の議論を調整するために、 BT Sのそれぞれの専門ごとに、担当の国民教育総視 学官が配置されている。試験は毎年、各大学区ごと、あるいはいくつかの大学区ごとに実 施される。

試験間鹿は、稔視学官の責任の下で、間鹿選択童貞会が複数を作成し、その中から国民 教育大臣の代理として大学区総長が選択する。履修者の少ない外国語については、国民教 育省が直接に試験問題を作成し、選択する。その他の試験問題については、専門ごとに決 定される担当の大学区が、問題の作成、選択、さらには各大学区への配布に関する業務を 担う。これらの業務に関する大学区間での役割分担は、毎年決定されている。

試験結果の採点や審査は、多くの場合、大学区の枠を越えた全国的組織が行う(この組 織については、大学区、国民教育省、国民教育視学官の3者がヾ BTSの各専門ごとに毎 年協議して決定する)。ただし、 STSが数多く設置されており、単独で採点や審査を行 うだけの体制が整っている大学区の場合には、独自に試験を実施することも認められてい

る。

(4)採点・審査

審査委員会の垂貝は、各期ごとに大学区総長が決定する。同委貞会は大学教月か視学官 が委員長を務める。垂月は学校教貞と職業関係者とで構成され、両者が同数になるように 定められている。このうち、学校教員は、公立学校の教員(大学教貞が多数)、私立学校 の教貞、見習訓練制度の教育機関である見習訓練生養成センター(CFA)の教員から選 出される。委員会で試験結果を審査した後、合否の結果が発表される。同垂貞会が合否の 結果について、最終決定の権限を持っている。

なお、受験生は、本試験あるいは小試験で20点満点のうち10点を取得したものについ ては、 5年間その得点は有効とみなされる。

採点方法については、国民教育省の省令により原則が定められている。その具体的な方 法は、表2‑13のとおりである。

‑39‑

表2‑13 : a T S取得試験の採点方法

BTS (商業活動専攻) : 1998年 受験者Aの場合

【1998年度の試験結果】

係数    試験結果

第1試験 第2試験 第3試験 第4試験 第5試験 第6試験 随意試験

3 ′ 12点(満点

3    11 3     9

3 5 3 1

計  21 平 均 点 結   果

7 8 1 4

1 1

点点点点点点

0 2 ( 〝 ( 〝 ( 〝

〃 〃

)))))))

得点 36点 33点 27点 21点 40点 33点 14点 204点

9.71点( 〝 )

平均点が10点未満のため不合格 1998年度不合格のため、 1999年度に再受験

(一部試験で前年度の合格点を利用)

【1999年度の試験結果】

第1試験 第2試験 第3試験 第4試験 第5試験 第6試験 随意試験

係数    試験結果

3   12点(98年の結果適用)

3   11点( 〝   ) 3   11点

3    8点 5   11点 3    7点

1  14点(98年の結果適用)

計  21

平 均 点: 10.28点( 〝 ) 結   果:合  格

得点 36点

33点 33点 24点 55点 21点 14点 216点

各専攻で行われる試験はすべて受験することが必要であり、一つでも受験しない場合に は不合格となる。ただし、やむを得ないと判断される事情(病気等)により受験できない 場合には、当該試験の成績は0点とされる。その場合、平均点が10点以上であれば合格 が認められる。

ま とめ

IUT、 STSは、企業研修、職業人による講義、実験・実習を多く採り入れた実践的 教育など、伝統的な大学教育にはない内容・方法による教育を行ってきた。それゆえに従 来、学生の職業能力は産業界から高く評価され、就職などで有利な地位を得ることができ、

結果として多数の学生を確保することができた。しかし、学生の就職状況には一時ほどの 好調さはみられない。一方、就職状況の点ではI UTとSTSに遠く及ばなかった大学で は、大学付設職業教育センターの設置にみられるように、教養教育中心の伝統を脱し、職 業教育を重視する方策を打ち出している。このような状況を反映して、 IUTやSTSで は学生数の減少ないし停滞というかつてない事態に直面している。

この事態の改善策の一つが、見習い訓練コースの新設や第3学年の新設であった。しか し、このような施策については機関内部からも疑問が提出されている。たとえば、見習い 訓練コースにしても、短期的な産業界の要求に応えるという点では有効であり得ても、産 業構造が大きくかつ急速に変化する中で、中・長期的な要請に応えることにつながるのか など、である。実隙、見習い訓練コースはカリキュラムが過密ということもあり修了証の 取得は学生にとって難しく、契約期間の終了前に破棄する例が少なくない。また、訓練生

としての扱いをせず、安価な労働力として訓練生を利用している企業もあるという。

また、第3学年の課程の新設についても、増加傾向にある学生の修了後の他機関への進 学を抑制できるかどうか予断を許さない。この間題は、 IUTとSTSのアイデンティテ ィにかかわるものであり注目される。つまり、従来どおり上級テクニシャン養成のための 機用としての機能を維持できるのか、あるいは技師資格をも射轟に入れてグランゼコール や大学などの進学準備教育機関としての性格に傾斜していくのか、が問われている。

とまれ、高等教育人口の増加やそれに伴う高度の職業資格の取得者の増加の中で、 I U T、 STSはともにその存在意義が問われている。

【注】

1 ) hhistむe de riducation Rationale, de la recherche et de la technologie, Rep主res r純ren併S

statistiques sur les ezLSelgneneZItS, lafornation et la recherhce1 1999I P・147・

2)hid.

3)Ibid.

4 )この点については、以下の資料によった。 Ministere de l'iducation nationale, de la recherche

et de la technologie, Guide r6glenentaire, Brevet de technicien supirietu, 1997, p・11・

5 ) Minist主re..., Reperes references statistiques sur les enseigneme鵬S, 1a f0‑ation et la

recherhce, 1999, p.47.

6 ) bid. p.147.

7)この点に関する記述については、以下の資料によった。 ONISEP,Les brevets de

technicien supenetLr , 1998・

8 ) Mhistare.…., Reperes references statistiqtws sur les eELSeignenents, la fo‑atioJl et la

recherhce, 1999, p.47.

9)この点に関する記述については、以下の資料によった。

Bien choisir votre DUT ou votre BTS, ‑■lTBhdiant" 1993.1, p. 102・ C・ Forestier,.Les I・U・T・

25 aJu aPres leur c血tion I, 'l Savoir一㌧ no.3, j皿V.‑mars 1991, p.22・ Que血ire avecunbac

STt, STY. SMS, 1998, p30, p・40.

10)この点に関する記述については、以下の資料によった。 ONISEP,Les brevets de

technicien sup卓rieur , 1998.

‑41 ‑

関連したドキュメント