第 2 章 実験方法
2.1.8 Rietveld 解析
Rietvelt解析は泉富士夫氏の作成したRIETAN2000を用いて行った. リートベルト
法は粉末X線回折法や中性子回折法によって得られた回折パターン全体に対して, 構造パ ラメーターと格子定数を直接精密化する巧妙な手法である. 1969年Rietveldが中性子回 折のために考案した解析法であるが, 現在では粉末X線回折にも応用されている.
3原材料のうち, SrCuO2はSrCO3 + CuO→SrCuO2+CO2 ↑の化学反応式で1123 K, 96時間の熱処 理を2回繰り返して得た.
38 実験方法
Tab. 2.2: X線回折測定条件
target Cu
filter monochrometer
voltage 40kV
current 60mA
scanning speed 2◦/min.
DS 1◦
SS 1◦
RS 0.15mm
MM 0.45
step angle 0.01◦
角度分散型のX線あるいは中性子線回折装置により, 一定の2θ間隔で回折強度yi(i = 1,2,3· · ·)スペクトルを測定した場合を考える. リートベルト法では,全粉末回折パター ンに含まれている情報をできるだけ多く抽出するために,仮定した構造モデルに基づい て実測回折パターンの当てはめを行う. つまり,i番目の回折点2θiに対する計算強度を f(2θi;x1, x2, x3,· · ·)≡fi(x), 統計的重みをwi(= 1/yi)とした時の重み付き残差二乗和
S(x) =
i
wi[yi−fi(x)]2 (2.1)
を最小にする一組の可変パラメーターxを非線形最小二乗法により精密化するのである.
2θiにおける粉末回折強度fi(x)はブラッグ反射の強度とバックグラウンド 強度yb(2θi) の和として求まる.
fi(x) =s
K
mK|FK|2PKL(θK)φ(∆2θiK) +yb(2θi) (2.2) ここでsは装置や測定に依存する尺度因子, Kはyiに実質的に寄与する反射の番号, mK はブラッグ反射の多重度, FKは構造因子,PKは試料の選択配向を補正する関数, L(θK)は ローレンツ・偏光因子(中性子回折ではローレンツ因子のみ),θKはブラッグ角,φ(∆2θiK) は回折プロファイルを近似するためのプロファイル関数, ∆2θiK = 2θi−2θK, yb(2θi)は 2θを変数とした多項式である.
またさらに,
FK =
j
gjfjTjexp[2πi(hxj+kyj +lzj)] (2.3) ここでjは単位胞の中の原子の番号,gjは占有率,fjは原子散乱因子(中性子回折では干渉 性散乱径bcj), Tjは温度因子,xj,yj,zjは分率座標である.
温度因子Tjは等方性熱振動近似の場合, 等方性原子変位パラメーターをBjとして Tj = exp
−Bj
sinθK λ
2
= exp
− Bj 4d2K
(2.4)
39 実験方法 異方性熱振動近似の場合, 異方性原子パラメーターをβ11j,β22j, β33j,β12j,β13j,β23jとして
Tj = exp[−(h2β11j +k2β22j+l2β33j + 2hkβ12j+ 2hlβ13j + 2klβ23j)] (2.5) となる. ここでλはX線,中性子線の波長, dKは格子面間隔である. この等方性,異方性原 子変位パラメーターはいずれも原子jの熱振動に関するパラメーターである.
リートベルト解析はこれらの計算を行って,解析者が入力したパラメーターを初期値と して非線形最小自乗法(ガウス-ニュートン法,マルカート法等) によってパラメーターを 精密化するのである. この際,最小二乗法の信頼性の尺度(R因子)として以下の数式で表 わされる値を目安としてパラメーターを収束させる.
Rwp = iwi[yi−fi(x)]2
iwiy2i
1
2
(2.6) Re =
N −p
iwiyi2
1
2
(2.7) S = Rwp
Re = iwi[yi−fi(x)]2 N −p
1
2
(2.8) ここでNは測定データ数,pは精密化するパラメーターの数である.
最も重要なR因子は,分子が残差二乗和のRwpであるが,分母が観測強度の総和である ために回折強度やバックグラウンド 強度に大きく影響を受ける. そこで,統計的に予想さ れるRwpの最小値に等しいReとRwpの比であるS (goodness-of-fit)を実質的な尺度と する.
合成したサンプルのリートベルト 解析結果 本研究で合成したスピネル系化合物をS値は 1.1∼1.3である. しかしながら, そのRwpは20前後の大きな値をとるため, リートベルト 解析としての信頼性は低く,ここでは格子定数の最適化のみ行った. Sr2CuMn1−xZnxO3S の解析結果をTab. 2.3に示す. Sr4−xLaxCu2Mn3O7.5S2の解析結果は参考文献 [2]参照の こと.
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Tab. 2.3: Rietveld refinement results for Sr2CuMn1−xZnxO3S
x 0 0.05 0.1 0.2
a (˚A) 3.831 3.8404 3.8418 3.8512
c(˚A) 15.95 15.94 15.91 15.91
Sr(1) x 0.5 0.5 0.5 0.5
y 0 0 0 0
z 0.1831 0.1831 0.1831
Sr(2) x 0.5 0.5 0.5 0.5
y 0 0 0 0
z 0.4163 0.4163 0.4163 0.4163
Cu x 0 0 0 0
y 0 0 0 0
z 0 0 0 0
Mn1−xZnx x 0 0 0 0
y 0.5 0.5 0.5 0.5
z 0.3038 0.3038 0.3038 0.3038
S x 0 0 0 0
y 0.5 0.5 0.5 0.5
z 0.092 0.092 0.092
O(1) x 0 0 0 0
y 0 0 0 0
z 0.2852 0.2852 0.2852 0.2852
O(2) x 0 0 0 0
y 0.5 0.5 0.5 0.5
z 0.4279 0.4279 0.4279 0.4279
Rwp 12.25 12.03 11.61 12.41
RE 9.07 8.58 7.91 7.61
S 1.372 1.561 1.468 1.631
Space Group :P4/nmm (I-129)
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