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第 6 章 層状 Mn 酸化硫化物 Sr 2 CuMnO 3 S

6.4 まとめ

143 層状Mn酸化硫化物Sr2CuMnO3S及びSr4Cu2Mn3O7.5S2におけるキャリアド ーピング

Sr2CuMn1−xZnxO3Sの磁化率の温度依存性を, Fig. 6.8に示す. Fig. 6.8の挿入図のよう に, 低次元性反強磁性秩序の存在を示唆する磁化率の極大値が, Zn置換の増加により低温 側に移動していることがわかる. ここではこの極大値を示す温度をネール温度TNと定義 した. さらに, 全サンプルにおいて, 50 Kより低温側での磁化率の増加が観測できる. ま た,この磁化率の増加を示す傾きは置換量の増加と共により急峻になる傾向を示すことは,

Fig. 6.8の挿入図より明らかである. この系が反強磁性と強磁性的な長距離秩序が共存し

ている複雑な磁性と仮定した場合, Zn置換によって反強磁性的秩序が弱まり,相対的に常 磁性的秩序が混ざってきていると解釈できる. Fig. 6.8の図中に示すように,キュリーワイ ス則によるフィッティングから求めたMnの有効ボーア磁子数pB)はZn置換の増加と 共に減少傾向にある. この結果は, Mn3+に比べて小さいボーア磁子を有するMn4+の増 加を示唆し, 上記の光電子分光実験結果と矛盾しない.

3.4.2 Sr4−xLaxCu2Mn3O7.5S2

母物質Sr4Cu2Mn3O7.5S2は, 低次元反強磁性的な性質を示している(Fig. 6.9). ところ が, La置換体Sr4−xLaxCu2Mn3O7.5S2では,ゼロ磁場冷却(ZFC)磁化率と磁場中冷却(FC) 磁化率に履歴が存在するスピングラス的挙動を示すようになる. これは, La置換がもたら すキャリアード ーピングにより, Mnの価数が多数のMn3+と微量のMn2+の混合原子価 状態になり, Mn-O-Mn間で生じる反強磁性的な超交換相互作用と強磁性的な二重交換相 互作用の競合によってスピングラス相が現われたと推定できる. 上記の光電子分光実験結 果で述べたように, Sr4−xLaxCu2Mn3O7.5S2では, Cu2S2層もCu+と微量のCu2+の混合原 子価状態をとるため, Cu2S2層にも磁性が発現している可能性があり, 中性子散乱実験に よるLa置換体の磁気構造の精密決定が必要不可欠である.

144 層状Mn酸化硫化物Sr2CuMnO3S及びSr4Cu2Mn3O7.5S2におけるキャリアド ーピング

部に存在しており, Mn 3d軌道のみへの選択的な電子ド ープは不可能であることが判明し た. この系は, La置換量の増加と共に, 低次元反強磁性からスピングラス的磁性に変化し てゆくが,この原因はMn-O-Mn間に働く超交換相互作用とわずかな価数混合により生じ る二重交換相互作用の競合に起因すると推測できる. Sr2CuMnO3SのMnサイト置換では 抵抗は絶縁化したのに対し, Sr4Cu2Mn3O7.5S2のSrサイト置換の場合,キャリアド ープに 成功した. この2つの場合の差について総合討論にてふれる.

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7 章 強相関電子系 Sr 2 CuMnO 3 S