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第 3 章 高齢者の身体的レジリエンス

3.3 具体的な行為の分析

3.3.3 具体的な行為の分析の結果

3.3.3.1 People 要素

【高齢者 5】

高齢者 5 の People 要素に関する分析は以下のように記述される。

高齢者 5 は 1957 年 2 月生まれ、現 62 歳、女性、既往症がなく、中国四川省瀘州市合 江県居住(「家庭に高齢者 5 の日常生活行為調査の記録表」と「高齢者の家庭生活行為

のビデオ撮影に関する資料表」より)。

【高齢者 6】

高齢者 6 の People 要素に関する分析は以下のように記述した。

高齢者 6 は 1953 年 9 月生まれ、現 66 歳、女性、既往症がなく、中国四川省瀘州市合江 県(「家庭に高齢者 6 の日常生活行為調査の記録表」と「高齢者の家庭生活行為のビデ オ撮影に関する資料表」より)。

以上の 2 人の高齢者は比較的若い高齢者層に属している。また、2 人の高齢者が所在す る都市は中国の四線都市である。これは中国特有の都市レベルの区分で、一線から五線の 都市に分類される。例えば北京や上海は一線の都市である。つまり、高齢者 5 と高齢者 6 が暮らす四線都市とは、都市の規模や経済社会の発展レベルが一般的な中都市であると言 える。

一方、2 人の高齢者は長期的に健康診断と運動行為を行い、自分の健康に注目し、健康 であることを望み、一定の健康管理の意識を持っていた。また、2 人の高齢者は、ハイテ ク機器を使用する習慣を持っている。

2019 年 2 月 28 日、中国インターネットワーク情報センター(CNNIC)は北京で第 43 回

「中国インターネット発展状況統計報告(中国で最も権威のあるインターネット発展デー タの報告の一つ)」を発表した。今回の報告では、2018 年 12 月の段階で、中国のネット ユーザーの規模は 8.29 億人、普及率は 59.6%、2017 年末に比べて 3.8 ポイント上昇し た。中国の携帯電話のユーザーの規模は 8.17 億人に達し、携帯電話を利用し、インター ネットに接続するユーザーは 8.06 億人である。そのため、より多くの高齢者に対して使 いやすいハイテク機器を開発・設計することが求められているという。

3.3.3.2 Actions 要素

Actions 要素の分析では、高齢者 5 と高齢者 6 の健康診断(血圧測定)、運動、親戚や 友達への連絡という 3 つの家庭生活行為中の動作について行った。

本節では、2 人の高齢者の 3 つの家庭生活行為のビデオをそれぞれ分析し、各行為の流 れに基づき、動作観察、動作記録、動作分割、頻度集計などを通じ、各行為のビデオ中の 各動作を記録した。比較考察を行い、動作を分析した。また、著者はビデオ分析の際、高 齢者の家庭生活行為において、複数の動作を同時に行う場合があることを見出した。そこ で、ビデオの実態に基づき、一連の動作を組み合わせた。そして、行為の動作を発生した 順序で番号付けた。具体的な分析を以下に示した。

【高齢者 5】

高齢者 5 の「健康診断行為」(血圧測定)のビデオについて、動作記録の結果を表 3-12 に示した。

表 3-12 高齢者 5「健康診断行為」ビデオについての動作記録表 高齢者 5 の血圧測定ビデオの動作

NO 具体的な動作

1. 血圧計・ノート・ペンを持ち、ソファと机の間の位置に向かって移動する 2. 血圧計・ノート・ペンを机の上に置く

3. バスローブをぬぐ

4. 左の袖をたくし上げ、腕を露出させて、ソファーにすわる 5. 血圧計のカフ(腕帯)を取る

6. カフ(腕帯)を装着する

7. 左手は机の上に置き、右手で血圧計の「スタート」ボタンを押す 8. 血圧計が「測定を始めます」と音声表示。自動測定を開始する

9.

血圧計が 「測定終了」と音声表示。高齢者 5 は左の腕に縛られたカフを外して机の上に置く それと同時に、血圧計は血圧データを音声で表示する

10. 立って、左手の袖を下ろす 11. バスローブを着る

12. ソファに座って、右手にペンを持つ 13. ノートに血圧データを記録する 14. 立って、血圧計のカフを片付ける 15. 右手で血圧計の「消す」ボタンを押す 16. 血圧計・ノート・ペンを持って去る

以上の動作記録により、著者は血圧測定行為におけるすべての動作を事前準備動作(番 号 1−6)、事中測定動作(番号 7−9)、事後処理動作(番号 10−16)に分類した。また、

事後処理では、高齢者 5 は聴取した血圧データから血圧のデータを自分で記録した。

次に、高齢者 5 の「運動行為」のビデオについて、動作記録の結果を表 3-13 に示した。

表 3-13 高齢者 5「運動行為」ビデオについての動作記録表 高齢者 5 の運動ビデオの動作

NO 具体的な動作 回数

1. 立つ

2. 腰を捻る 1 回

3. 手を上げる 2 回

4. 腰を捻る 左右各 1 回

5. 左の腿のストレッチ 1 回

6. 足を上げて太ももを叩く 左右各 5 回

7. 両手を広げる 1 回

8. しゃがみ込む 5 回

9. 手を組んで前屈する 7 回

10.

左足の弓歩圧腿をする(弓歩圧腿とは、中国式ストレッチで、前足を大きく一 歩踏み出し深く屈し、後ろ足はまっすぐに伸ばすことである)

4 回

11. 右足の弓歩圧腿をする 4 回

12. 両手合わせて上に引っ張りあげる 6 回

13. 両手を真上に上げる 5 回

14. 両手を前に出す 7 回

15. 腰を捻る 左右各 3 回

16. 立ったまま足をあげてふくらはぎを叩く 左右各 5 回

17. 立ったまま足をあげて足裏を叩く 左 6 回、右 7 回

18. 腰を捻る 左右各 2 回

19. 足を上げて太ももを叩く 左右各 6 回

20. 両手両足を開いてジャンプする 2 回

21. 両手両足を開いてジャンプしながら拍手する 4 回

22. 腰を捻る 左右各 2 回

23. 両手を真上に上げる 8 回

24. 左足の弓歩圧腿をしながら空中にストレートを打つ 左 3 回、右 4 回

25. 右足の弓歩圧腿をしながら空中にストレートを打つ 左右各 5 回

26. 両手を合わせて上に引っ張りあげる 9 回

27. しゃがみ込む 8 回

28. 左右交代で足を上げる 左右各 4 回

29. 肩を上げる 10 回

30. 立ったまま息を整える

高齢者 5 の運動行為のビデオにより、動作と頻度を記録した。

そして、高齢者 5 の「親戚や友達への連絡行為」(Wechat で親戚や友達へのビデオ通 話)のビデオについて、動作記録の結果を表 3-14 に示した。

表 3-14 高齢者 5「親戚や友達への連絡行為」ビデオについての動作記録表 高齢者 5 の Wechat で親戚や友達へのビデオ通話のビデオの動作 NO 具体的な動作

1. 右手にはスマートフォンを持て、ソファとサイドテーブルの間の位置に向かって移動する 2. 座って、スマートフォンを見る

3.

スマートフォンを左手に持ち替え、右手人差し指で Wechat を操作 連絡先を見つけて、ビデオ通話を発信する

4. 右手はサイドテーブルの上に置く 5. ソファーに座って、相手の応答を待つ

6. 通信開始。ソファーに座ったままビデオ通話をしたり、チャットをしたりする 7. 右手人差し指で Wechat を操作し、ビデオ通話を切る

8. スマートフォンを持って去る

以上が、高齢者 5 がスマートフォンの Wechat を用いて行った親戚や友達への連絡行為 の動作記録であった。高齢者 5 は WeChat の操作方法に熟練し、スムーズにビデオ通話を 利用できると分かった。

【高齢者 6】

高齢者 6 の「健康診断行為」(血圧測定)のビデオについて、動作記録の結果を表 3-15 に示した。

表 3-15 高齢者 6「健康診断行為」ビデオについての動作記録表 高齢者 6 の血圧測定ビデオの動作

NO 具体的な動作

1. ソファとサイドテーブルの間の位置に向かって移動する 2. サイドテーブルを動かす

3. ソファーに座る 4. コートを脱ぐ

5. 左の袖をたくし上げて、腕を露出させる 6. 血圧計のカフ(腕帯)を取る

7. カフ(腕帯)を装着する 8. 血圧計の位置を動かす

9. 左手は机の上に置き、右手で血圧計の「スタート」ボタンを押す 10. 血圧計が「測定を始めます」と告げ、自動測定を開始する

11. 血圧計が 「測定終了」と告げた後、血圧データを音声で表示する。

12. 左の腕に縛られたカフを外したり、机の上に置く 13. 左手の袖を下ろす

14. 右手にペンを持つて、ノートに血圧データを記録する 15. ペンを下ろす

16. 右手で血圧計の「消す」ボタンを押す 17. 血圧計、ノート、ペンを両手で片付ける 18. 立って去る

以上が、高齢者 6 の動作記録であった。血圧測定行為における動作を事前準備動作(番 号 1−8)、事中検査動作(番号 9−11)、事後処理動作(番号 12−18)に分類した。事後処 理では、高齢者 6 が取得した血圧データを自分で記録した。

また、高齢者 6 の「運動行為」のビデオにより、動作と頻度を記録し、結果を表 3-16 に示した。

表 3-16 高齢者 6「運動行為」ビデオについての動作記録表 高齢者 6 の運動行為ビデオの動作

NO 具体的な動作 回数

1. 立つ

2. 手を振る 6 回

3. 手を伸ばして前から上にあげる 3 回

4. 両手を真上に上げる 4 回

5. 左側の腰を伸ばす 3 回

6. 右側の腰を伸ばす 4 回

7. 上半身を回す 左右各 5 回

8. 体を前屈する 4 回

9. 右側の弓歩圧腿をする 5 回

10. 左側の弓歩圧腿をする 5 回

11. 右足の弓歩圧腿をする 5 回

12. 左足の弓歩圧腿をする 5 回

13. 上半身を回す 左 1 回

14. しゃがみ込む 7 回

15. 左右交代で胸を叩く 左右各 6 回

16. 上半身を回す 左右各 3 回

17. 両手を真上に上げる 1 回

18. 両手合わせて上に引っ張りあげる 1 回

19. 立つ

次、高齢者 6 の「親戚や友達への連絡行為」(Wechat で親戚や友達へのビデオ通話)

のビデオについて、動作記録の結果を表 3-17 に示した。

表 3-17 高齢者 6「親戚や友達への連絡行為」ビデオについての動作記録表 高齢者 6 の Wechat で親戚や友達へのビデオ通話のビデオの動作 NO 具体的な動作

1. 右手にはスマートフォンを持って、ソファとサイドテーブルの間の位置に向かって移動する 2. 座ってスマートフォンを見る

3. 左手にスマートフォンを持ち、右手人差し指で Wechat を操作して連絡先を見つけ、ビデオ通話を 発信する

4. 右手はサイドテーブルの上に置く

5. 通信開始。ソファーに座ったまま、ビデオ通話をしたり、チャットをしたりする。

6. 右手人差し指で WeChat を操作し、ビデオ通話を切る

7. 左手にスマートフォンを持ち、立ち上がって、右手の人差し指で WeChat をサインアウトする。

8. 去る

以上が、高齢者 6 の連絡行為ビデオの動作記録であった。これを見ると、高齢者 6 と高 齢者 5 の動作は酷似していることが分かった。高齢者 6 も WeChat の操作方法に熟練して おり、スムーズにビデオ通話を開始することができることが明らかになった。