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第 4 章 高齢者向けの家庭用ロボットの印象

4.2 研究方法

4.2.1 調査対象と方法

まず、中国での高齢者向けの家庭用ロボットの印象に関する SD 項目の選定と、家庭用 ロボットの印象アンケート調査を行い、ロボットに対する印象を分析する。そのうち、中 国での高齢者向けの家庭用ロボットの印象に関する SD 項目の選定では、中国四川メディ ア大学の設計専攻教員 10 人( 男性 5 人、女性 5 人)及び西南交通大学工業設計学科の大 学院生 10 人(男性 5 人、女性 5 人)、中国工業デザイナー 10 人( 男性 6 人、女性 4 人)

を調査対象とした。また、家庭用ロボットの印象アンケート調査では、中国 60 歳以上の 高齢者( 男性 30 人、女性 30 人、計 60 人)を調査対象とした。

九州大学の博士論文「製品形態の印象に関する研究、裵起範、(指導教員・佐藤陽彦)

2005」[60]、「感性工学を用いた携帯電話デザインの印象評価、芸術工学会誌、真野藍、

櫻井宏、Vol.54、pp.34~pp.35、2010」[61]、「展開される色の違いが製品選択時の色の 印象と満足度に及ぼす影響、太田誠也、日比野治雄、小山慎一、日本デザイン学会研究発 表大会概要集、Vol.62、228、2015」[62]を始め、製品の形態や色彩、材質、機能などを複 合的に含めた印象や感性満足度などを把握する研究は数多く行われている。また、こうし た研究から得られたデータは、デザインのプロセスにおいて製品に対する情報として広く 活用されていることが分かった。そこで今回の研究では、形態・色彩・材質・機能そして 全体的なイメージといった五つの要素を、高齢者向けの家庭用ロボットの印象に関する要 素とした。

まず、中国での高齢者向けの家庭用ロボットの印象に関する SD 項目の選定では、形態・

色彩・材質・機能・全体的なイメージの 5 要素について、形容詞を選定した。

そして、最終的に得られた形容詞をもとに、中国での高齢者の家庭用ロボットに対する 印象のアンケートを作成した。

また、図 4−1 に示すように、高齢者向けの家庭用ロボットの印象の調査 A(2019 年 2 月 15 日~2 月 16 日)では、中国 60 歳以上の高齢者(男性 30 人、女性 30 人、合計 60 人)

を対象に、著者と中国四川メディア大学の設計専攻教員を調査員とし、著者が最終的に整 理した(「中国での高齢者向けの家庭用ロボットの印象アンケート中国語版」)でアンケ

ート調査を実施した。調査員は事前に、被験者に対して今回の印象アンケートの各項目に ついての説明を詳細に行った。高齢者は、期待する最良の家庭用ロボットの印象傾向に基 づき、アンケートに回答した。知人もしくは対面での調査記入であったため、対象者全員 から、情報を入手することができた。印象の調査により、高齢者に対する家庭用ロボット 印象の把握方法と満足度評価システムの作成方法を確立することを目指す。

図 4−1 60 人に対する中国での高齢者向けの家庭用ロボットの印象アンケートの調査

そして、60 人に対する高齢者向けの家庭用ロボットの印象アンケートの調査結果によ り、SPSS23 で印象の 5 つの要素の各 SD 項目に対して 1 サンプルの T 検定を行った。各項 目の平均値により、中国での高齢者向けの家庭用ロボットに対する明確な印象の傾向を把 握した。

さらに、ソフトウェア MATLAB を利用し、BP ANN による中国での高齢者の家庭用ロボッ トに対する印象モデルを構築し、印象について満足度評価のシステムを作成した。

一方、2019 年 2 月 20 日に、著者は中国のネットショッピング大手(北京京東世紀貿易 有限公司)で販売しているロボット製品を調査した。すると、現在市販されているロボッ ト関連製品は、主に子供向けに設計されていることが分かった。しかし、子供向けに設計 されたロボットに付随する機能(ビデオ通話や SOS 緊急呼など)を、高齢者向けのロボッ トに採用することは可能である。一方、高齢者向けのロボットは少なく、現在北京京東世 紀貿易有限公司で販売されている高齢者向けの家庭用ロボットに関する製品は、図 4-2 に示すように 2 つの製品しかなかった。

図 4-2 北京京東世紀貿易有限公司で販売されている高齢者向けのロボット

著者はこの 2 つの高齢者向けのロボットを例に、レジリエンスデザインによる高齢者向 け家庭用ロボットの印象傾向を把握する方法に基づき、既存の高齢者向けのロボットの印 象満足度を評価し、印象満足度の評価システムを検証した。そして、この 2 つの高齢者向 けのロボットと、高齢者が期待する最良の家庭用ロボットの印象満足度の差異を把握する。

また、図 4−3 に示すように、高齢者向けの家庭用ロボットの印象調査 B(2019 年 3 月 7 日~9 日)では、中国 60 歳以上の高齢者(男性 20 人、女性 20 人、合計 40 人)を対象に、

四川メディア大学の工業設計専攻の学生や教員を調査員とし、「中国での高齢者向けの家 庭用ロボットの印象アンケート(中国語版)」を用いて、印象に関するアンケート調査を 実施した。

図 4−3 40 人の中国既存の高齢者向けの家庭用ロボットの印象調査

調査員は事前に、被験者に対して今回の印象アンケートの各項目についての説明を詳細 に行っている。印象の調査 B を実施する前、調査員は全員の対象者を集中し、2 つのロボ ットの形態、機能などについて共通に説明した。知人もしくは対面での調査記入であった ため、対象者全員から情報を入手することができた。高齢者は、この 2 つの中国で販売さ

れている高齢者向けの家庭用ロボットの印象傾向に基づき、アンケートに回答した。調査 の写真を図 4-4 に掲載する。

図 4-4 調査の写真

そして、40 人の中国既存の高齢者向けの家庭用ロボットの印象アンケートのデータに より、SPSS23 で印象の 5 つの要素の各 SD 項目に対して 1 サンプルの T 検定を行った。各 項目の平均値により、2 つのロボットに対する明確な印象の傾向を把握した。

最後に、既存の 2 つの高齢者向けのロボットに関する印象の各 SD の項目の平均値を作 成した BP ANN 印象の評価システムに入力し、満足度の評価を行った。既存の家庭用ロボ ットの印象傾向を把握し、印象満足度を評価し、評価システムを検証することを目指す。