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PBGC の現状注 1

ドキュメント内 退職後所得保護の法理 : ERISA研究 (ページ 66-71)

年金保証公社 (PensionBenefit Guaranty Corporation (PBGC))は、 1974年 ERISAによって設立された。最近 ERISAの20周年を祝ったとき、多くの識者 がPBGCの以下の3つの立法目的が達成されたか否かについて言及した。目的と は、 (1)

I

定期的に滞りなく加入者および受給者に年金給付すること

J

(2) 

I

任意の 私的年金制度の維持継続を加入者のために支援すること

J

(3) IPBGCの義務を果

たすに足る限度で保証料を最も低く維持すること」、であった。

PBGCは、 2000の廃止年金制度の39万人の加入者のために第一目的を成功裏に 達成した。現在18万人以上の退職者に毎年8億ドルを支払っている。加えて21万 人が退職後受給することになっている。

しかし、残る二つの目的を達成したかを判断するに困難が伴う。保証制度適用 年金は、加入者数の増加が4200万人に達したものの、数が減少した。すなわち当 初3300万の加入者がおり、 97000の年金制度から保証料を受領していたが、 10年目 は、それぞれ3800万人、 112000以上の年金制度となり、現在では4200万人、 55000 の確定給付年金制度数となった。特に加入者100名未満の年金数は、急減した。し かし、加入者数の増加は重視されるべきである。 PBGC実働初年度以来毎年7000 以上の制度が完全積立後廃止され、 1984年 PBGC報告ではそれが7600年金とな

り、最近では1年に3900年金が廃止を通知した。

この数は、 1987年から1990年にかけて毎年約10000廃止(1986年税法改正によると ころが多い)されているのに比べて、急減している。

1976会計年度に廃止した理由は、調査によると65%が経営上の問題、例えば、

経営者の交代、清算、年金費用負担、および経営状態の悪化であり、35%がERISA 制定そのものを理由のすべてあるいは一部に挙げているo

2年前、アメリカ数理士協会の調査によれば次の多くの廃止理由が挙げられた が、そのうち決定的な理由というものは断定できていない。

1、特に中小の事業主にとっての (PBGCへの保証料支払いを含む)年金費用 と法規制の複雑き

4 PBGCの現状 65 

2、いわゆる401ω制度のような確定拠出制度の税優遇および単純明快性 (しかし、団塊の世代が50歳になろうとする時期に、確定拠出制度に指向性の高 い事業主も401伺制度が充分な退職給付をもたらさないことに気づきつつあるこ とに留意すべきである。)

3、労働市場が、より流動化し、サービス産業に流入したこと 4、健康保険費用の増大が、他の給付を削減きせたこと

PBGCは、年金廃止と新設に直接関われないため、保証の仕組みを公正にし、

PBGC自体の資金状態を改善し、よって確定給付制度に対する国民の信頼を得る よう努めてきた。

最後の目的に関しては1974年加入者一人あたり年間1ドルで始まった保証料 は、現在平均30ドルになった。当初の1ドルはPBGCを設立する際の政治的産物 であり、誰も維持できるとは考えていなかった。

ERISA

制定20年目で保証料は、

2段階化され基礎額19ドルと積立不足年金制度に限り割増保証料が、徴収きれる ようになっていた。割増保証料は、 1987年年金保護法によって認められ積立不足 額の0.9%を上限加入者一人につき年額53ドルまでとした。この値上がりの主な理 由は、創設時には予想もしなかった事業主の経営不振である。その原因は、外国 企業との競争、サービス産業への移行、破産法や産業規制の大きな変化である。

PBGCは、企業のそうした経営不振に影響力を行使することはできないが、事業 主の積立不足を改善するための努力は惜しまなかった。政府は、

E R I S A

の最低積 立基準を継続的に見直し改正した。

積立基準の重要性

最も効果的な保証料低減方法は、保証金支払いの削減であり、そのために PBGCができることは最低積立基準を徹底することであるo年金制度の4分の1 が積立不足であり、巨額積立不足の年金は、ここ何年もその状態が続いている。

しかし、 1995年になって、ここ十年来の積立不足増大に歯止めが掛かった。 1994 年に710億ドルの保証対象年金積立不足額であったものが、 310億ドルまで低下し た。同時に積立不足が景気の好不況に影響され、利子率の低下が短期間の巨額積 立不足の原因であったことも、例えば、 1992年から94年まで400億ドル未満であっ たものが710億ドルまで増加したことから見て取れる。利子率の増加と巨額積立不

足となっていた大企業の特別拠出によって1995年に不足額は310億ドルに低下し た。この結果、過去のように積立不足が特定の業種に集中することはなくなった が、唯一の例外は、製鉄業であり、総不足額の20%を占めている。自動車産業は、

1994年総積立不足額の3分のlを占めるほどであったが、 95年には5%未満にま で改善した。積立不足の年金の多くは、資金に問題のない企業のものであるが、

その過半数は、債権の格付評価が低〈、従って社債利払いの多い企業であること も事実である。 80年代半ばにかなり大きな企業(特に製鉄業)に起こった破産に 伴う積立不足の早期解決のために、議会は、 1987年年金保護法 (PensionProtec‑ tion Act of 1987)を制定し「赤字削減のための拠出

J

(Deficit Reduction Contribu‑ tion)なる概念を導入し、慢性的赤字の年金改善を図った。これは、勤務年数対応 型の固定額を給付し、その額が定期的に増額されるタイプの年金を対象とした。

このような年金には、退職者数が多く、高齢、勤続年数の長い現職加入者がいる 場合が多い。しかし、この「赤字削減のための拠出」は、目的達成上、技術的欠 陥があった。同拠出が求められてから、法律上数年間は慢性的赤字解消のために 追加積立をしなくとも許されたからである。省庁聞を連絡したタスクフォースが 1993年に作られその作業の結果、翌年、退職保護法(RetirementProtection Act  of 1994)が制定された。同法は、主に巨額積立不足の年金を対象に15年以内に加 入者受給権の60%から85%へ積増強化する改正を行った。

改正の主要な点は以下である。

A .

積立不足年金の積立推進

1.赤字削減のための拠出を再強制

(a)90%未満積立年金の積立推進に加え、 60%未満積立年金の最速積立推進 (b)年金計算の際の死亡率表の特定と利子率の幅の縮小による数理士の裁量の

幅の限定

2.重大な積立不足年金に将来給付額3年分の現金または市場性を有する有価 証券の確保

B .

支払不能のリスクを負った年金に対する保証料増額

割増保証料53ドルの上限の3年間の段階的廃止による積立へのインセンティブ 附与 ただし基礎保証料は維持

4 PBGCの現状 67 

c .

積立不足年金の情報開示の改善と完全積立年金の保護

1.  90%未満積立年金の事業主に、分かりやすい言葉で当該年金の積立状況と PBGCによる保証の限度の開示

2.廃止した完全積立年金の「行方不明加入者」への給付のための清算機関の PBGC内設置

D.年金法上の義務を強制する PBGC権限強化

1.  5000万ドル以上の積立不足年金拠出者に対する年金数理計算と資金状況の 情報開示義務

2.  5000万ドル以上の積立不足の株式非公開会社に対する重要財産取引の PBGCへの30日前開示義務

3.  PBGCへの最低積立基準直接強制権限の附与

4. PBGCへの100万ドル以上の積立不足事業主資産に対する先取特権確保手 続参加権の承認

5.  PBGCへの破産法手続上債権者集会参加権の承認

1994年積立不足の改善の最大の理由は、利子率の高騰であったが、それ以外に 上述の開示義務、特に加入者への開示義務を回避しようとする事業主の思惑も影 響した。

PBGC自身の記録的な投資益と大規模な年金廃止がなかったため、 1993年にお よそ30億ドル、 1994年末に12億ドルあった PBGCの赤字は、 1995年に3億1500万 ドルに縮小した。この数字は1981年来最低で、あり、 20億ドル近くの投資収益は、

PBGCの歴史上最高額である。退職保護法は、 PBGCの財政状況をさらに改善す るはずで、あり、過去14年間の年平均保証金請求額に基づく政府中期見通しでは数 年以内に赤字解消し、 2005年までに2億ドルの剰余金が貯まる見込みである。

また PBGCは、「早期警戒システム」を作成し、事業主が破綻する前に損失を 防ぐ方策を講じた。すなわち銀行その他の債権者のように債権を保全する直接的 な方法を持たないPBGCが、経営状態が悪化する事業主の他の債権者に後れをと らないために、その悪化する前の年金保証料確保の手段を定めた。この「早期警 戒システム

J

を機能させるためにPBGCは、 1991年以来2500万ドル以上の積立不 足年金を産業の種類を幅広く400社モニターした。これら会社は、保証対象年金の

1%に過ぎないが、積立不足総額の80%を占めていた。 1996年には、 PBGCモニ タ一範囲を積立不足額500万ドルから2500万ドルの年金まで拡大し、年金の吸収合 併から会社分割までを調査対象にした。これは、 ERISAの報告制度によって、潜 在的に退職給付を危うくすることに気づいたためである。また、 PBGCは、労働 省、内国歳入庁、証券取引委員会とも連絡を取り合っている。潜在的に有害な行 為と認めた場合、 PBGC職員が、会社代表者と会い、積立不足があれば追加拠出 や担保を提供するように交渉する。これは、個々の会社の個別取引に限定した合 意であり、もし、合意に達しなければPBGCは、訴訟に踏み切ることになる。過 去3年、 PBGCは、そのような36件の和解の結果、拠出または担保を140億ドル確 保した。中でも1994年 GM社と60万人の従業員のために100億ドルの追加拠出の 合意に達し、別に10社がPBGCのモニタ一効果により多額の追加拠出を行った。

この効果は、会社の行動の変更にも波及し、企業の多くが年金制度を守るために 重要財産取引の前に PBGCと接触している。 PBGCは、 1990年来積立不足額の 多い方から50社を公表し、マスコミによってそれが国中に知らされているため当 の会社からの批判があるが、一方で国民の積立不足年金に対する関心も引き起こ している。きらにその公表の前に、幾ら積み増せば50社リストからはずれるかの 問い合わせが相次いでいるという。

注1 以下の記述は C.David Gustafson A History of PBGC and its Ro!es" 

を要約したものである。同稿は村上清氏より恵与されたものであるがdraftの 状態であることをご了解いただきたい。

ドキュメント内 退職後所得保護の法理 : ERISA研究 (ページ 66-71)

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