mod_oradavの構成と使用 9-3
mod_dav
mod_davは、WebDAV仕様のApache Software Foundation固有の実装です。
mod_oradav
mod_oradavは、mod_davの実装の拡張版であり、Oracle HTTP Serverと統合されている
Oracleモジュール(C言語で記述されたOCIアプリケーション)です。このモジュールでは、
ローカル・ファイルおよびOracle Database間の読取りおよび書込みアクティビティが実行さ
れます。Oracle Databaseには、mod_oradavがWebDAVアクティビティをデータベース・ア
クティビティにマップするためにコールするOraDAVドライバ(ストアド・プロシージャ・
パッケージ)が必要です。実際には、WebDAVクライアントはmod_oradavによりOracle
Databaseに接続し、内容の読取りと書込み、および各種スキーマ内のドキュメントの問合せと
ロックを実行できます。
Oracle HTTP Serverの標準ディレクティブを使用して、Oracle Databaseを使用するように
mod_oradavを構成できます。mod_oradavでは、コンテンツ管理タスクを実行するために、
他のモジュール・コード(mime_magicなど)をすぐに活用できます。ほとんどのWebDAV処 理アクティビティでは、コンテンツ・プロバイダとの間でコンテンツをストリーム化する必要 があり、mod_oradavではOracle HTTP Server内でOCIストリーム・ロジックが直接使用さ れます。
OraDAV
OraDAVとは、Oracle Application Serverユーザーがmod_oradavを介して使用できる機能
セット全体を指します。OraDAVには次の固有の用語があります。
■ Apache OraDAV: Apache HTTPサーバーのコード。ファイルベースのDAVアクセスをサ ポートし、Oracleをコールします。
■ OraDAVドライバドライバドライバドライバAPI: OraDAVドライバでOracle Databaseの内容を管理するために使用 されるストアド・プロシージャ・コールのセット。インターネット経由でサポートされる
WebDAV機能には、ドキュメントの読取り、書込み、ロックおよびロック解除、情報の階
層管理(作成、移入、削除)、ドキュメントに関連するプロパティの取得、プロパティと特 定のドキュメントとの関連付けがあります。
■ OraDAVドライバドライバドライバドライバ: OraDAVドライバAPIのストアド・プロシージャ実装。Oracleで実行 してリポジトリを管理します。
OraDAVのアーキテクチャ
9-4 Oracle HTTP Server管理者ガイド
OraDAV のアーキテクチャ のアーキテクチャ のアーキテクチャ のアーキテクチャ
OraDAVは、Oracle HTTP Server内のmod_oradavが、1つ以上のOracle Databaseの1つ以
上のスキーマの内容へのアクセスを提供するアーキテクチャに適合します。
図9-1は、単純なアーキテクチャを示しています。
図図
図図9-1 OraDAVのアーキテクチャのアーキテクチャのアーキテクチャのアーキテクチャ
図9-1は、Microsoft WebフォルダなどのWebDAVクライアントが、Oracle HTTP Serverに
HTTPリクエストを渡すのを示しています。リクエストが(Oracle Databaseではなく)ファイ ル・システムに格納されているコンテンツに対するものである場合、mod_oradavでアクセス が処理されます。リクエストがOracle Databaseに格納されているコンテンツに対するもので ある場合、OraDAV APIでアクセスが処理されます。
OraDAV APIには、ファイル・システムにおけるmod_oradavの実行と同じ機能があります。
OraDAV APIでは、次のHTTPメソッドがサポートされます。
■ COPY
■ DELETE
■ MOVE
■ MKCOL
■ GET
■ HEAD
■ LOCK
■ PROPFIND
■ PROPPATCH
■ PUT
■ UNLOCK
OraDAV APIでは、共有ロックと排他ロック、基本的なDAVプロパティの取得、サーバー定義
のライブ・プロパティまたはクライアント定義のデッド・プロパティの定義と取得がサポート されます。COPY、MOVE、DELETEなど、集合ベースの演算全体を、OraDAVドライバの単一 コールで実行できます。
OraDAVの構成パラメータ
mod_oradavの構成と使用 9-5
OraDAV ユーザー ユーザー ユーザー ユーザー
OraDAVを直接使用する主なユーザーは、Oracle HTTP Server管理者とOracle Databaseの
データベース管理者です。エンド・ユーザーは、WebブラウザまたはWebDAVクライアント・
ツールを通じて、OraDAVと間接的に対話するのみです。
OraDAVの管理には、Web管理者およびデータベース管理者としてのタスクが含まれます。
■ Web管理者は、Oracle HTTP Serverの起動および停止方法と、Oracle HTTP Serverを構成 してURLの通信量をOraDAVドライバにダイレクトする方法を理解している必要があり ます。
■ データベース管理者は、Oracle HTTP Serverを実行中のシステムからOracle Databaseへの クライアント接続を設定する方法、OraDAVドライバをインストールして管理する方法、
物理的なストレージの特性に基づいてドライバで管理されるコンテンツをチューニングす る方法などを理解している必要があります。
OraDAV の使用モデル の使用モデル の使用モデル の使用モデル
OraDAVの使用方法には、次のアクティビティを任意に組み合せることができます。
■ ブラウズブラウズブラウズブラウズ: WebDAVを使用してOracle Databaseの内容にアクセスする読取り専用アクティ ビティ。その使用方法モデルは、典型的な読取り専用Webサイトと同じです。
■ 再構築再構築再構築再構築: コンテンツの削除、移動およびコピー。通常、再構築が行われることはほとんどな く、実行するのはWebDAVのコンテンツへの書込みアクセス権を持つ限定されたユーザー です。再構築に伴う制限と複雑さは、ファイル・ディレクトリを再構築する場合と同じで す。このディレクトリ階層を所有し、管理するユーザーが1人の場合もあります。ディレ クトリが共有されている場合、再構築を実行するクライアントには、WebDAVの排他ロッ クによって階層への単独アクセス権が付与されます。
■ 編集編集編集編集: 階層内の単一のリソースまたは小規模なサブセットの変更。適切に設計された
WebDAVクライアントは、リソースの共有ロックまたは排他ロックを使用して、これらの
アクティビティを調整します。
■ プロパティ管理プロパティ管理プロパティ管理プロパティ管理: プロパティと属性(作成者など)をドキュメントに関連付け、簡単な参照 や分類ができるようにする操作。WebDAVクライアントは、PROPPATCHディレクティブ を使用してドキュメントにプロパティを割り当て、PROPFINDディレクティブを使用して プロパティを取得します。
OraDAV の構成パラメータ の構成パラメータ の構成パラメータ の構成パラメータ
OraDAVは、主に、初期化中にOracle HTTP Serverインスタンスによって使用される
httpd.confファイル内のパラメータを使用して構成します。構成パラメータには、すべての
OraDAVドライバに必須のものと、ドライバ固有のものがあります。
Oracle Application Serverをインストールすると、OraDAVのすべての必須パラメータは、
WebブラウザやWebDAVクライアントからOracle Databaseの内容にアクセスできるように設 計された値に設定されます。デフォルト値が要件を満たしていない場合は、後で必須パラメー タの値を変更し、オプションのパラメータの値を指定できます。httpd.confでOraDAV構成 のサポートに使用されるパラメータは、DAVとDAVParamで始まります。これらのパラメータ は<Location>コンテナ・ディレクティブで指定され、次の機能を提供します。
■ Oracle HTTP Serverからデータベースへの接続を構成する方法
■ OraDAV動作のおおまかな制御
DAVパラメータは、URLの位置でDAVが使用可能であることを示します。DAVキーワードの 後に、次のいずれかの値を指定します。
■ On: この値は、mod_oradavがコンテンツにローカル・ファイル・システムを使用するこ とを示します。
■ Oracle: この値は、mod_oradavがすべてのコンテンツにOraDAVを使用することを示し ます。
OraDAVの構成パラメータ
9-6 Oracle HTTP Server管理者ガイド
DAVParamパラメータは、名前/値ペアの指定に使用します。必須のペアは、Oracle HTTP
ServerからOracle Databaseに接続できるようにするペアです。これには、名前の
OraService、OraUserおよびOraPasswordまたはOraAltPasswordが含まれます。
例9-1に、ローカル・システム上のファイルにアクセスするための構成を示します。この例で は、Webサーバーのドキュメント・ディレクトリ(デフォルトではhtdocs)のサブディレク トリmyfilesと階層内のmyfilesのすべてのサブディレクトリを、DAVが使用可能なディ レクトリとして指定します。myfilesまたは階層内のすべてのサブディレクトリには、シンボ リック・リンクを定義しないように注意してください。
例例
例例9-1 構成パラメータ構成パラメータ構成パラメータ構成パラメータ: ファイル・システムへのアクセスファイル・システムへのアクセスファイル・システムへのアクセスファイル・システムへのアクセス
<Location /myfiles>
DAV On
</Location>
例9-2に、Oracle Application Server Portalを介してコンテンツにアクセスするための構成を示
します。OracleAS PortalをOracle Application Serverにインストールした後で、OracleAS
Portalスキーマを指す<Location>コンテナ・ディレクティブをOracle HTTP Server構成
ファイルに移入する必要があります。この例では、ロケーション/portalがOraDAV対応に なり、(適切な値が移入されると)OracleAS Portalスキーマに接続されるので、ユーザーは
WebDAVクライアントを使用してOracleAS Portalデータにアクセスできます。
例 例 例
例9-2 構成パラメータ構成パラメータ構成パラメータ構成パラメータ: Portalへのアクセスへのアクセスへのアクセスへのアクセス
<Location /portal>
DAV Oracle
DAVParam ORACONNECT dbhost:dbport:dbsid DAVParam ORAUSER portal_schema
DAVParam ORAPASSWORD portal_schema_password
DAVParam ORAPACKAGENAME portal_schema.wwdav_api_driver
</Location>
各OraDAVドライバでは、DAVParamメカニズムを使用して、ドライバ固有の設定を作成でき
ます。すべてのDAVParamの名前/値ペアは、OraDAVドライバに渡されます。OraDAVパラ メータのみでなく、DAVDepthInfinityなどの特定のDAVパラメータを指定するかどうかも考 慮する必要があります。
表9-1に、各OraDAVパラメータ、そのパラメータが必須であるかどうか、およびそのデフォ
ルト値を示します。ORAGetSourceはファイル・システムへのアクセスにのみ適用され、他の パラメータはOracleAS Portalドライバやその他のシステム(ファイル・システム以外)へのア クセスにのみ適用されます。
関連項目 関連項目 関連項目
関連項目: 9-16ページの「DAVのディレクティブ」
表表
表表9-1 OraDAVのパラメータのパラメータのパラメータのパラメータ 名前
名前 名前
名前 必須必須必須必須/オプションオプションオプションオプション デフォルト値デフォルト値デフォルト値デフォルト値
ORAAllowIndexDetails オプション FALSE
ORAAltPassword 必須
ORAPasswordまたは
ORAAltPasswordのいずれか一方を指 定します。両方は指定できません。
(なし)
ORACacheDirectory オプション (なし)
ORACacheMaxResourceSize オプション (なし)
ORACachePrunePercent オプション 25