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NTN TECHNICAL REVIEW No.80(2012)

[ 製品紹介 ]

NTNリニアモジュールの紹介

NTNリニアモジュールの紹介

イドの2種類から選択する.また,駆動方式は,送り ねじ駆動,タイミングベルト駆動,オメガ駆動の3種 類から選択する.なお,これらの詳細は3章で解説す る.

外部からフレーム内への異物侵入を防止する防塵シ ールを標準装備し,さらにグリース給脂やタイミング ベルトの交換作業を容易にする工夫を施し,メンテナ ンス性を高めた.

本シリーズは単軸での使用以外にも,AXCシリー ズ同士や他シリーズを組み合わせ,多軸の複合システ ムを構築することが可能である.

2. 2 パラレルタイプ AXDLシリーズ

AXDL110Sの外観を図2に示す.本シリーズは,

駆動部両側に2本の直動ガイドを複列配置し,大きな 負荷容量と剛性を確保している.特に,ピッチ,ヨー 方向の剛性が高く,偏荷重などの厳しい条件でも長期 使用が可能である.

AXCシリーズと同じ防塵性能とメンテナンス機能 も備えている.直動ガイドは,リニアガイド,もしく はローラガイドの2種類から選択する.また,駆動方 式は送りねじ駆動,もしくはタイミングべルト駆動の 2種類から選択する.サイズ,負荷容量,剛性,精度 面で最もバランスに優れたシリーズとして,ユーザか ら好評を得ている.

図1 AXC80Z AXC Series AXC80Z

79mm 100mm

110mm 65mm

図2 AXDL110S AXDL Series AXDL110S 表2 NTNリニアモジュール 寸法表

Lineup of NTNlinear modules フレームサイズ

A×B mm 最大全長 m

②パラレルタイプ

①小型タイプ

③大型タイプ

④テーブルタイプ

タイプ シリーズ・型式

AXC

AXDL

AXS

AXLT

40 40× 40 60× 60 80× 80 120×120 110× 50 160× 66 240×100 120×120 200×100 200×160 280×170 400×300 155× 30 225× 40 325× 50 455× 70

60 B

B

B

B A

A

A

A 80

120 110 160 240 120 200 230 280 460 155 225 325 455

6.00 8.00 8.00 8.00 6.10 6.10 6.35 3.00 6.00 10.00 10.00 10.00 3.50 3.50 3.20 3.20

静的許容モーメントも大きく,大型部材や重量物の 搬送,装置のコンパクト化に適している.また,モー タカップリングを豊富に用意しており,様々なモータ との組み合わせが可能である.

NTNリニアモジュールは用途に適したシリーズや フレームサイズ,直動ガイドや駆動方式を組み合わせ ることで,求められる用途や荷重,取り付け姿勢など の使用条件に対応する.

2. 1 小型タイプ AXCシリーズ

AXC80Zの外観を図1に示す.スリムで軽量なア ルミフレームに単列の直動ガイドと駆動部を内蔵す る.高剛性タイプの直動ガイドの採用により,一回り 小さいサイズで他社品同等の負荷容量を確保してお り,装置の小型化が可能である.

直動ガイドは,用途に合わせてボール循環型リニア ガイド,もしくはシャフトと軸受で構成するローラガ

2. 3 大型タイプ AXSシリーズ

AXS280Zを横軸とする組み合わせ例を図3に示 す.大型アルミフレームと高性能リニアガイドにより 高剛性,高負荷容量を実現した.主に,100kgを超 える重量物の水平搬送,ビームと呼ばれるガントリ構 造の上軸,あるいは縦軸姿勢の重量物の昇降機構など に用いられる.

本シリーズには他社にない超大型サイズがあり,

AXS460のフレームサイズは,横400mm×高さ

NTN TECHNICAL REVIEW No.80(2012)

3. 直動ガイド

NTNリニアモジュールに組み込む直動ガイドは,

荷重,速度,精度などの使用条件および要求コストに 応じ,リニアガイドとローラガイドの2種類から選択 できる.

3. 1 リニアガイド

図5に,ボール循環方式のリニアガイドの内部構造 を示す.リニアモジュールは長期間の安定した稼動が 求められるが,図6に示すグリースだまりを設けたボ ール保持器の採用により低発熱,低騒音,長寿命およ び長期メンテナンスフリーを実現した.

3. 2 ローラガイド

図7にローラガイドのAXCシリーズへの組み付け状 態を透視図で示す.ローラガイドはAXDLシリーズで も選択可能である.

図8に示すようにアルミフレーム内に内蔵する2本 の棒状案内シャフト間を外輪に溝を形成した転がり軸 受が転走する簡単な構造ながら,負荷容量が高く,最 大速度10m/sまで使用可能である.

グリースだまり

図6 グリースだまり付き保持器 Retainer with grease pocket 300mmである.駆動方式はラック&ピニオン駆動,

タイミングベルト駆動,オメガ駆動から選択し,最大 ストローク10m,最大速度10m/s,最大搬送質量 1000kgまで対応可能である.(5. 2 工作機械への 実用例 参照)

2. 4 テーブルタイプ AXLTシリーズ

図4に示すAXLT155は,フレームに位置決めテー ブルタイプのアルミ押し出し材料を使用する.他社リ ニアモジュール製品は,搬送用途に限定したものがほ とんどであるが,本シリーズは精密ボールねじと複列 の高性能リニアガイドを組み合わせ,高精度な位置決 め装置としても利用可能である.

また,ジャバラにより外部からフレーム内への異物 侵入を防止するが,ステージ部側面にグリース給脂口 を設けたので,ジャバラを外さずにメンテナンスがで きる.

330mm 250mm

図3 AXS280Z組み合わせ例 Application of AXS280Z

ボール 保持器

図5 リニアガイド Linear guide

155mm 60mm

グリース給脂口

図4 AXLT155 AXLT Series AXLT155

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図9 タイミングベルト駆動 Timing belt drive

タイミングベルト

プーリ

図10 オメガ駆動 OMEGA drive

たわみプーリ 駆動プーリ キャリッジ

タイミングベルト 図7 ローラガイド

Roller guide

図8 ローラガイドの案内機構 Guiding system of roller guide 外輪溝付転がり軸受

案内シャフト

4. 駆動方式

モジュールに組み合わせる駆動方式は,①ボールね じまたは台形ねじによる送りねじ駆動,②タイミング ベルト駆動,③ラック&ピニオン駆動,④タイミング ベルトを利用したオメガ駆動の計4種類がある.

4. 1 送りねじ駆動

AXSシリーズを除くAXC,AXDL,AXLTシリー ズに適用可能であり,荷重や速度,用途に応じボール ねじ,もしくは台形ねじが選択できる.

ボールねじは,リード代表移動量誤差52μm以下 /300mmのJIS精度等級Ct7を標準仕様とし,さら に,高精度の要求に対しては,精密研削ボールねじも 選択可能である.

台形ねじは,主にコストを重視する簡易位置決め装 置で使用される.300mmあたりのリード代表移動量 誤差は100μm(サイズによっては200μm)とボ ールねじには劣るが,モジュール組み込み後の繰り返 し位置決め精度は±0.100mm以下,対応可能な最 大速度は115mm/sであり,コストパフォーマンス が高い.

4. 2 タイミングベルト駆動

AXLTを除くAXC,AXDL,AXSシリーズで選択 可能な,高速搬送に適した駆動方式である.図9にタ イミングベルト駆動を採用したAXCシリーズを示す.

長期間稼動しても伸びにくい高耐久タイミングベルト を採用し,モジュール組立調整の際にベルト張力を最 適値に調整することで,応答性能を高めた.

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4. 3 オメガ駆動

AXC,AXSシリーズに適応可能なオメガ駆動とは,

図10のようにタイミングベルト両端をフレーム側に 固定し,ステージ(キャリッジ)上に駆動プーリとモ ータ(図省略)を設けた駆動方式である.駆動プーリ にタイミングベルトを巻き付けた様子が,ギリシャ文 字のΩ(オメガ)に似ていることからオメガ駆動と呼 ぶ.例えば1軸のモジュールに複数のオメガ駆動ステ ージを搭載し,それぞれ別々の動作をさせたり,ある いはステージを固定しフレームを移動させる場合に使 用する.

5. NTNリニアモジュールの応用例

5. 1 組み合わせ例

NTNリニアモジュールを組み合わせ,ガントリ構 成とした例を図12に示す.

下2軸には小型タイプのAXCシリーズを使用し装置 をコンパクト化している.左右軸を同時に駆動するた め,連結シャフトでモータ回転を伝える機構を採用し ている.またビーム軸にはパラレルタイプAXDLシリ ーズを採用し,Z軸駆動モジュールのオーバーハング によるモーメント荷重に対応する構成とし,さらにZ 4. 4 ラック&ピニオン駆動

AXSシリーズのみに対応する図11に示すラック&

ピニオン駆動は,簡素かつ軽量な構造でありながら動 力伝達能力が高いため,最大1000kgの搬送が可能 で,垂直方向の昇降駆動やガントリ構造のビーム軸と して使用される.

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図13 ローダ使用例 Example of use for loader NTNリニアモジュール AXS シリーズ

(全長 6000 ストローク 3000 幅 280mm)

軸には大型タイプのAXSシリーズを使用し昇降性能 を高めている.

このように,各モジュールの特長を活かした構成が 可能である.

5. 2 工作機械への実用例

ワーク自動脱着ローダに,タイミングベルト駆動の AXSシリーズを使用した例を図13に示す.吊り下げ られた100kgを超えるロボットを位置決め動作後,

短時間で正確にロボットがワークを脱着するには,ロ ボット動作や荷重移動に伴い生じるハンド先端の変位 を要求精度以内に収めることが必要で,高い剛性を持 つAXSシリーズにより実現した.

5. 3 特殊用途

道路舗装用作業車の乗務室の左右スライド部に採用 された例を図14に示す.

リニアモジュールの豊富なバリエーションにより,

たとえば,植物ハウス内での農薬や水の自動散布装置,

植え付け作業設備,また,建材(大型壁面パネル)運搬 用のガントリ型クレーンなど超大型用途から,工業製 品や食品・医療分野の小型用途まで様々な実績があ る.

図11 ラック&ピニオン駆動 Rack-and-pinion drive

図12 組み合わせ参考例 Combination reference example

連結シャフト

AXDL シリーズ AXC シリーズ

AXS シリーズ

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