(1)環境への意識の変化と取組状況
①環境意識の高まり
ここ5年くらいの間で事業活動における環境への意識がどう変わっているか、その回答結果は【図表17】のと おりである。「意識はかなり高まった」が14社、19.4%、「意識はやや高まった」が45社、62.5%で、両者合わせて、
81.9%の企業で意識が高まっていると回答している。これは昨年の調査とほぼ同じ結果である。昨年以降、とりわけ 業績の急激な落ち込みにより環境面に配慮する余裕がなくなってきているとも推察されるが、そうした中でも環境 意識は後退していないことがわかる。
②ここ数年の環境への取組
それでは、具体的に長岡地域の企業は環境面でどのような項目に取り組んできたか。それを見るために、ここ数 年環境関連で取り組んでいること(5つまで)の集計結果を【図表18】にまとめた。「廃棄物削減」(41社、56.9%)、
「リサイクルの推進」(40社、55.6%)、「エネルギー消費削減」(36社、50.0%)の3つについて、半数以上の企業が取 り組んでいると回答している。これらは昨年の結果とほぼ同じ傾向であるが、「リサイクルの推進」が21.4ポイント、「中 古品利用」が15.4ポイント、「従業員の環境教育」が9.5ポイント上昇しているのが注目される。長岡地域でも産業廃 棄物の最終処分場不足の問題が深刻化しており、それに対してリサイクルを進めるなどして廃棄物を減量する必要 性が高まっている。さらに、業績が落ち込む中で、最終処分場への持ち込みに伴う手数料などの負担は無視できない。
そうした現実の諸問題が背景となっていると考えられる。また、「従業員の環境教育」に関しては様々なレベルの取 組があるが、ヒアリング結果によると、廃棄物減量に向け従業員に廃棄物の分別を徹底させるよう経営者が指導し ているなどの事例がある。他方で、新たな環境市場開拓など環境志向の高まりを積極的にとらえた取組に注目すると、
「環境新商品の開発」は昨年比で変化がほとんどないが、「低環境負荷商品への転換」が4.9ポイント増加しているの が注目される。
なお、環境への取組には、比較的容易に開始できるものと、多くの費用がかかり組織的取組が必要など容易に開 始できないものとがある。そこで、選択肢となった各取組を「より積極的な取組」と「それ以外」に二分して、「よ り積極的な取組」がどの程度実施されているかをみた。「より積極的な取組」に分類したのは、「エネルギー転換」「環
19.4%
62.5%
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境新商品の開発」「ISO14000シリーズ取得」「環境会計」「環境報告書の作成」「省エネ機器の自社内開発」「再生可能 エネルギー(太陽光等)推進」「グリーン調達」「循環型生産方式への転換」「低環境負荷商品への転換」の10項目である。
その集計結果によると、全72社中の取組企業は23社、31.9%で、昨年の結果(31.6%)とほとんど同じだった。
これを環境への意識変化とクロス集計した結果が【図表19】である。それを見ると、「より積極的な取組」に取り 組んでいる企業のうち26.1%が「意識がかなり高まった」企業で、取り組んでいない企業(「その他」)に比べて意識 が高い企業が多いことがわかる。環境に対する意識が高まった企業とそうでない企業との間では、環境面の取組状 況に差があることが確認できる。
③今後の環境への取組課題
今後、環境関連で取り組んでいきたいと考えていること(5つまで)の集計結果をみると、これまでの取組状況 とほぼ同様の結果となった(前掲の【図表18】参照)。「廃棄物削減」(41社、56.9%)、「リサイクルの推進」(40社、
55.6%)、「エネルギー消費削減」(36社、50.0%)の順で多い。昨年の結果との比較では、「リサイクルの推進」が 21.4ポイント上昇しており、これはここ数年の環境への取組状況で見られたのと同様の変化である。なお、全項目に ついてここ数年の環境への取組状況と比較すると、「従業員の環境教育」において今後の取組課題の選択率が現在の 取組状況の選択率を8.3ポイント上回っている点が目立っているが、それ以外は顕著なギャップがみられなかった。
7.まとめ
(1)全般に関して
本年度の調査では、昨年秋以降の急激なマクロ環境の悪化を背景として、全般的な業況悪化が決定的な説明要因 となっているような結果がもたらされたように思われる。そうした今回の調査結果の中からのみ企業の成功に向け たポイントを示すことは難しいであろう。ただし、全般的に業績が悪化した企業が多い中でも、業績を伸ばしたな いし落ち込みを回避した企業は存在した。その企業に注目することが一つの分析視点となった。さらに、企業規模 に関する考え方として、今後拡大させたいと考える企業と、現状以上の企業規模の拡大は望まないと考える企業が あり、その基本姿勢の違いも分析の1つの鍵になった。これらを踏まえて、長岡地域企業の業績の変化、成功に向 けた取組などに関して確認された主なポイントは以下のとおりとなろう。
まずは、売上高、従業員数、経常利益ともに、昨年までの悪化傾向が一気に加速する様子が鮮明となった。たとえば、
売上高については1年前に比べて「減少した」企業は75.2%と大半を占めた。業種別に見ると、金属製品、一般機械 など、企業間取引が主要な分野で業績の悪化傾向が深刻であるが、最終財製造のウエイトの高い食料品・たばこ・
飼料等の分野では健闘した企業も少なくなかった。さらに、企業規模の拡大を志向している企業に比べ、現状以上 に企業規模の拡大を望んでいない企業では売上高の減少傾向が強かった。これらの業績状況を反映して、業績に対 する評価も全般的にこれまでになく悪化した。そのなかでも、規模の拡大志向を持たない企業の評価の方がより満 足度合いが低い。
成長・発展のために現在特に力を入れている取組としては、昨年同様に、コストの削減、新規顧客・取引先の拡
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大の2つが圧倒的に多い結果となった。特に注目される点として、売上高が減少しなかった企業では、営業力の強 化や新製品・サービスの開発により積極的に取り組まれていた。また、現状以上に企業規模の拡大を望んでいない 企業においてコスト削減にとりわけ積極的な様子が目立っているが、コスト削減への依存度が拡大志向の企業より も強まっていることが示唆された。
(2)環境対応について
環境面の取組に関して、まずは環境への意識が昨年以降の業績悪化の中でも後退することなく維持されているこ とがわかった。環境への優しさが建前ではなく、廃棄物の問題、エネルギーコストの問題など様々な面で企業の存 続に直結する問題として認識されつつある様子がうかがえる。ただし、循環型生産方式の形成やグリーン調達など のようにより本格的な環境対応に取り組む企業はまだごく一部である。さらに、低環境負荷商品への転換など環境 志向の高まりをビジネスチャンスとしてより積極的にとらえた取組の中で、まだ少ないが昨年に比べてわずかなが ら増加が見られる項目があった。今後の加速に期待がかかるところである。