第 3 章 有機染料水の磁気シーディング 実験実験
3.7 Langmuir 吸着等温式
図3.23: pHによる脱着への影響(TOC特性)
飽和吸着量[g/g-MAC]、Kは吸着平衡定数[L/g]である。Cを大きくしていけば分母は、
ほぼKCになるのでqe =qsに近づいていく。すなわち飽和吸着量をもつ形で、qsとKが 実験から求めるパラメータである。
実験
実験は、以下の手順で行った。
0.06 g/LのOrange 水溶液及び0.06 g/LのCrystal violet水溶液をそれぞれ100 mL作り、
0.002 g/Lまで倍々希釈した。それぞれの水溶液に0.1 gのMACを添加して良く撹拌した。
4.3.1節と同様の方法で上清の吸光度を求めた。吸光度から検量線を用いて上清中の染料
分子の濃度を求め、さらに活性炭に吸着した染料分子の濃度を求めた。上清中の染料分子 の濃度を横軸に、活性炭に吸着した染料分子の濃度を縦軸にとり、グラフをグラフ解析ソ フトOrigin(Origin 8.5、Light Stone)を用いて作成し、Originの非線形フィット機能を用 いてパラメータを求めた。
結果と考察
Orange の結果を図3.24に、Crystal violetの結果を図3.25に示す。また、定数qeとK を表3.5に示す。
図3.24: Langmuir吸着等温線(Orange )
図3.25: Langmuir吸着等温線(Crystal violet)
表3.5: Langmuir定数(MAC)
染料分子 qs[g/g-MAC] K [L/g] R二乗
Orange 0.4401 368.67 0.947
Crystal violet 0.3522 1205.41 0.779
比較のため、同様の実験で求めたRNIPの定数を表3.6に示す。
表3.6: Langmuir定数(RNIP)
染料分子 qs[g/g-RNIP] K [L/g] R二乗
Orange 0.0782 535.82 0.959
Crystal violet 0.0688 471.98 0.968
Orange は、高い相関でLangmuir吸着等温式に従い、Crystal violetも、相関は高くない がLangmuir吸着等温式に従うことがわかった。これにより、MACの吸着もLangmuir等温
式に従うことがわかり、その飽和吸着量から吸着量を推測できる。また、MACのOrange とCrystal violetの飽和吸着量は、RNIPの飽和吸着量より、それぞれ約5倍多い。
飽和吸着量と吸着平衡定数は無関係で、吸着平衡定数は飽和吸着量に近づく目安であ る。すなわち、吸着質が同じ濃度の場合、同じ飽和吸着量であれば、吸着平衡定数が大き い方が吸着量は大きくなる。つまり、低濃度から飽和吸着量に近づくということである。
3.7.2 Freundlich 吸着等温式
Freundlich吸着等温式は、実験式で以下の式で表される。
me =ambsol (3.6)
ここで、meは、平衡吸着量(本実験では、MACに吸着された染料の濃度)[g/g-MAC]、 msolは、溶液中の化学種の濃度(本実験では、上清の染料の濃度)[g/L]、aは、Freundlich 係数、bは、定数である。Freundlichは、温度差があまり大きくない範囲でこの式が成立 することを経験的に見出した。式の形から、飽和吸着量はない。定数aとbが、増加する とグラフは上方にシフトし、定数aとbが、減少すると下方にシフトする。
4.6.1節で得られたデータを利用して、非線形フィットさせ定数aとbを求めた。
結果と考察
Orange の結果を図3.26に、Crystal violetの結果を図3.27に示す。また、定数aとb を表3.7に示す。比較のため、同様の実験で求めたRNIPの定数を表3.8に示す。
図3.26: Freundlich吸着等温線(Orange )
図3.27: Freundlich吸着等温線(Crystal violet)
表3.7: Freundlich定数(MAC) 染料分子 a b R二乗 Orange 0.8795 0.2292 0.956 Crystal violet 0.5146 0.1206 0.780
表3.8: Freundlich定数(RNIP) 染料分子 a b R二乗 Orange 0.1312 0.1732 0.884 Crystal violet 0.103 0.149 0.771
Orange 及びCrystal violetは、溶液中の染料濃度が高くなるとフィット曲線からずれ
てくる。従って、Freundlich吸着等温式には従わないことがわかった。