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第 5 章 単極型超伝導バルク磁石を用いた 磁性キューブの磁気分離

5.2 磁性キューブの作製

5.2.1 磁性粒子

磁性キューブの作製には、2つの磁化率の異なる磁性粒子、マグネタイト(Fe3O4)と ヘマタイト(Fe2O3)を用いた。マグネタイトは前述の戸田工業 から提供していただい た。ヘマタイトは 高純度化学研究所より購入した。VSMを用いて、飽和磁化を測定し た。さらに、ゼータ電位、粒子径を前述のゼータ電位・粒子径・分子量測定装置を用いて 測定した。

マグネタイトは、10 kOe(1 T)で飽和し86.9 emu/gの飽和磁化(体積磁化率:0.57)を示 した。ヘマタイトは、10 kOe(1 T)で飽和し0.446 emu/gの飽和磁化(体積磁化率:0.002)

を示し、マグネタイトの方が磁化率が高いことを確認した。ゼータ電位、粒子径はpH 7 で測定した。マグネタイトとヘマタイトの磁化曲線をそれぞれ図5.1、図5.2に示す。ま た、マグネタイトのpH 7における粒子径の分布を図5.3に、ヘマタイトのpH 7における 粒子径の分布を図5.4に示す。磁性粒子の特性を表5.1にまとめた。

図5.1: マグネタイトの磁化曲線

図5.2: ヘマタイトの磁化曲線

図5.3: マグネタイトの粒子径分布

図5.4: ヘマタイトの粒子径分布

表5.1: 実験に使用した磁性粒子の特性

磁性粒子 磁化率[-] ゼータ電位[mV] 平均粒子径[nm]

マグネタイト 0.57 6.51 431.9 ヘマタイト 0.002 -15.3 857.8

5.2.2 キューブの作製

磁性キューブの作製は、角野らの方法[77]に従った。磁性体ハイブリッド固定化微生物の イメージを図5.5に示す。微生物包括固定化担体を用いた下水高度処理装置(PEGASUS、 日立プラントテクノロジー)を図5.6に、角野らの磁性体ハイブリッド固定化微生物を利

用した水処理システムの構想[9]を図5.7に示す。まず、ビーカーにプレポリマーを秤量 し、そこに図5.5の磁性体としてマグネタイト及びヘマタイトの粉末を添加する。MilliQ 水(超純水)を加え泡立てないように静かに撹拌する。さらにTEMEDを加え、pHをpH 7に調整する。KPSを加え撹拌したら固まらないうちにプレートに流し込む。固まった後、

プレートから取り出し、よく水で洗う。その後、30 mm角の立方体(キューブ)に切り分 ける。図5.8に作製したマグネタイトキューブの写真を、図5.9にヘマタイトキューブの 写真を示す。キューブの組成を表5.2に示す。作製に用いた試薬は、すべて東洋大学生命 科学部角野教授より提供された。

表のプレポリマーはライトエステル14EG(共栄社化学 )、TEMEDは、N, N, N, N tetramethylethylendiamine、KPSはペルオキソ二硫酸カリウムである。作製したマ グネタイト、ヘマタイトキューブの膨潤率、含水率を測定し、特性を表5.3に示した。膨 潤率、含水率の測定も角野らの方法[77]に従った。含水性のゲルは重合時に成形型から 押し出してみると膨潤したり収縮したりする。この割合を膨潤率という。含水率は、乾燥 後にどれくらい水を含んでいるかの割合である。作製した磁性キューブの膨潤率、含水 率、密度は、現在の下水処理で使われているPEG微生物包括固定化担体と同様の値であ る[77]。

微生物の培養液、及び活性汚泥の密度は、ほぼ水と同じなのでMilliQ水を用いても以 下の実験に影響ないと考えられる。

図5.5: 磁性体ハイブリッド固定化微生物のイメージ

図5.6: ペガサスの概略図

図5.7: 磁性体ハイブリッド固定化微生物を利用した水処理システム

図5.8: マグネタイトキューブ 図5.9: ヘマタイトキューブ

表5.2: キューブの組成 磁性粒子 2 g プレポリマー 15 g

TEMED 5.0 mL

KPS 5.0 mL

MilliQ水 25 mL

表5.3: 作製したキューブの特性

磁性粒子 膨潤率[%] 含水率[%] 密度[g/mL]

マグネタイト 97.0 64.8 1.01 ヘマタイト 97.1 87.5 0.94