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ドリルの振動周波数のうち前節までにドップラが検出されたのは計測されたドリル のドップラ成分は 20 Hz 前後である。ドリルの駆動時、ドリルは満充電時、打撃周波

数 81.8 Hz、回転周波数は 18.0 Hzと試算できた特にこの周波数はドリルの回転による

ものであると考察できる。そこでロータの回転成分をドリルの回転成分に変換しドッ プラフィルタリングに用いることにする。

これをパルスレーダシステムに組み込み、データをPCに取り込む。この際、データ 数はレーダの計測波形と同様のポイント数であり同期がとれている。それを計測回数 ごとに平均する。すると、200 回の計測では 200 個のデータが得られることになる。

例として一回の計測におけるドリルの振動周波数分布をFig. 7-2-5に示す。ドリルの回 転周波数である18~20 Hzの成分を取得することが可能であることが確認出来る。

Fig. 7-2-4 測定状況

LPF

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7-3 リアルタイムでドップラフィルタリング原理

前節のドップラフィルタリングの原理を用いることにより、ドップラ成分を選択的 に抽出することが可能であることが示された。しかし、この処理はオフラインの処理 であり、取得波形に対しあらゆる周波数でフーリエ変換すえることはリアルタイムで の処理では時間が大幅にかかり不都合である。そこで、ドリル自身から振動成分を抽 出しその周波数のみでフーリエ変換を行うことによりドップラフィルタリングを行う こととする。リアルタイムでのドップラフィルタリングの原理を Fig. 7-3-1 、Fig. 7-3-2 、Fig. 7-3-3、Fig. 7-3-4に示す。Fig. 7-3-1は一回の波形取得で得られるレーダ波形列 であり、120波形を取得したものである。これを200回繰り返し波形を取得するとレー

ダ波形はFig. 7-3-2のように並べられる。

Fig. 7-3-1 一回の計測で取得されるレーダ波形列

Fig. 7-3-2 200 回計測した際のレーダプロファイル

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次にFig. 7-3-3はレーダプロファイルと、レーダ波形の計測時間と同期のとれたドリ

ルの駆動の回転周波数成分である。また、それぞれのレーダ波形列の計測時間中に取 得されたドリルの回転周波数成分の平均をとり200個のデータを表示させている。

ここで、前節までのドップラフィルタリングではこれらのレーダ波形列を一度フー リエ変換し、ドップラの抽出を行なっていた。しかし、開発したレーダシステムでは レーダ波形を計測した時間に対応する周波数が同時に計測可能である。そこで、計測 された周波数の成分のみを含むようなレーダ波形を再現することにする。Fig. 7-3-4 に その概要を示す。まず、Fig. 7-3-3 の橙線で囲んだ部分を抽出し波形ごとに波形を分け

Fig. 7-3-3 レーダプロファイルの計測時間に対応するドリル回転周波数

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る。一回の計測レーダ波形は 120 波形取得されるため、レーダ波形は計測時間方向に 120個並ぶ。レーダプロファイルの計測時間方向に計測周波数の正弦波を再現し、計測 時間のレーダ波形の取得時間と正弦波の対応する成分を乗算する。これをレーダ波形 のあらゆる点で行なう。乗算された成分は計測時間方向に加算することで一回の計測 で 1 つのレーダ波形を再現する。ここで再現されたレーダ波形は計測周波数成分のみ を含んだ波形となりこの周波数で振動するドリルの先端からの反射波が強く表れると 考えられる。この処理を計測回数毎に行なうことでドップラフィルタリングをリアル タイムで行なうことが可能になる。

Fig. 7-3-4 リアルタイムドップラフィルタリング原理

120 波形

回転周波数

計測時間方向正弦波に対応する位置と レーダ波形のあらゆる点で乗算

計測時間方向に加算

フィルタリング後レーダ波形

68 7-4 リアルタイムドップラフィルタリング

前節の原理をもとに6章のFig. 6-2-3(a)の計測結果に対してドップラプラフィルタリ ングを行なっていく。まず、Fig. 7-4-1 に計測最中のドリルの回転周波数を取得したも のを示す。ドリルの回転周波数が Fig. 6-2-5(a)の周波数特性のドップラ成分が現れる位 置と一致するのが確認出来る。

このドリルの回転周波数を用いることにより、120波形毎に一つのレーダ波形を再現 していく。Fig. 7-4-2 に計測した複素レーダプロファイルとドップラフィルタイング後 のレーダプロファイルのうちの 1 波形を示す。の黒線は複素振幅絶対値、赤線は実部、

青線は虚部である。波形より複素レーダ波形では、1 nsにかぶり4 cmの鉄筋からの反 射波が確認出来る。しかし、ドリル先端からの反射波や、直達波の分離は波形からは 確認出来ない。一方ドップラフィルタリング後のレーダ波形からは 1 ns の鉄筋からの 反射波と共に0.5 ns付近にドリルの先端からの反射波が確認出来る。

Fig. 7-4-1 計測時ドリル振動周波数分布

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次に、Fig. 7-4-3に計測した複素レーダプロファイル、 Fig. 7-4-4にドップラフィルタ リング後のレーダプロファイルを示す。複素レーダプロファイルでは計測時間方向 12 sからドリルが遅延時間方向に遅延していく様子が確認出来る。やはり直達波とドリル 進展からの反射波が重なることにより,ドリルの進展を波形から確認可能になる頃には 鉄筋とドリルの先端は非常に近くなってしまっている。

(a)複素レーダ波形 (b)ドップラフィルタリング後レーダ波形

Fig. 7-4-2 複素レーダ波形とドップラフィルタリング後レーダ波形

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一方、ドップラフィルタリング後の波形には黒の点線でドリルの仮想的なドリル先 端からの反射波の遅延時間に線を引いた。また、横軸はその仮想反射遅延に沿ったド リルの穿孔深さを示してある。するとドップラフィルタリングのレーダプロファイル からドリル穿孔深さ1 cmからまず0.5 nsにドリルの先端からの反射波が確認出来、同 時に 1 ns に鉄筋からの反射波が確認出来る。また、ドリルの先端からの波形は遅延移 管方向に徐々に遅延していく様子が確認出来、計測時間の 12 s には鉄筋とドリルの先 端の位置が非常に近くなっていることも波形から確認出来る。アンテナ間を伝う直達 波はドップラフィルタリングを行なうことで除去され、ドリルの先端からの反射波が 特に大きく抽出された。鉄筋からの反射波もドリルの振動が伝わることにより同じく 抽出された。

また、ドリルの先端と鉄筋が衝突したと考えられる4 cmの位置でドップラ成分は最 大となっている。その少し前の鉄筋衝突前に鉄筋反射、ドリル先端からの反射波のド ップラ成分が小さくなる傾向がみられた。

Fig. 7-4-3 供試体 2 複素振幅レーダプロファイル

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Fig. 7-4-4 ドリル径 18mm ドップラフィルタリング後 レーダプロファイル

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次に Fig. 7-4-5 、Fig. 7-4-6にかぶりの浅い供試体の結果の他の 2つに対しても同様

の処理をした結果について示す。レーダプロファイルからはドリル先端からの反射波 は分離して確認することできないが、ドップラフィルタリングを施すことで穿孔深さ 1.5 cm からドリル先端からの反射波が微小に現れ、鉄筋とドリルが衝突したと考えら れる4 cmの位置でドップラ成分が非常に大きくなる。穿孔深さが2 cm同じく鉄筋から の反射波が確認できはじめ、鉄筋衝突前にドップラ成分が小さくなる傾向がみられた。

この傾向を用いて鉄筋衝突前にドリルの穿孔を止めることが可能であると考えられる。

つく g に

Fig. 7-4-5 ドリル径 14mm ドップラフィルタリング前後の比較

Fig. 7-4-6 ドリル径 12mm ドップラフィルタリング前後の比較

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