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らの反射波が直達波と分離する頃にはドリルの先端は既に鉄筋と衝突寸前、または衝 突していることがわかった。ドリル先端からの反射波が計測された時間のレーダ波形 の周波数成分にはドリルの振動周波数であるドップラが大きく検出されていた。ドッ プラを用いることが可能であれば振動するドリルのみのレーダ波形を再現できる可能 性が示唆された。
一方、アンテナ走査の実験結果は、鉄筋のずれに応じた変化をネットワークアナラ イザほど明瞭に確認することが困難であった。理由としては、商用レーダではアンテ ナサイズが大きく、回転によって、それぞれの角度でアンテナ給電点間の距離が変化 し、鉄筋反射波の変動に影響を与えた可能性が考えられる。
第 5 章では、自作のパルスレーダを開発した。前章までの結果を踏まえ、小型アン テナを用いた高速パルスレーダが有効であると示唆された。さらに、ドップラフィル タリングを行なううえで、よりリアルタイム性をもたせた計測を行ないたい。商用レ ーダにフィルタリング処理を組み込むことが難しいと判断したため、自作の高速パル スレーダの開発を行なった。
完成したレーダシステムは1~4 GHzの帯域でダイナミックレンジ約70 dBの高性能 なレーダシステムが完成した。
第 6 章では、完成したレーダシステムを用いた実証実験を行なった。ドリルの先端 モニタリングでは商用レーダ同様、かぶりの深い供試体ではドリルの先端のモニタリ ングは可能であるが、かぶりが浅いときはドリルの先端からの反射波の分離は困難で あった。
一方で、アンテナの回転走査については、小型アンテナを用いることにより鉄筋反 射の正弦変動をレーダ波形から確認できた。特に鉄筋とドリルの相対位置が2 cm以下 では変動がなく、ドリル直下に鉄筋があると判断できる。2 cm 以上ずれているとき、
波形の変化からドリルの直下に鉄筋がないと判断が可能であった。
第 7 章では、かぶりの浅い鉄筋の供試体のデータに対してドップラフィルタリング を施した。また、ドリルの振動周波数をドリル自身から抽出し用いることにより、一 回の計測毎にフィルタリングを行なうことが可能であり、0.12 秒間 1 つのレーダ波形 を生成することが可能になった。結果は、複素振幅レーダ波形の絶対値での比較を行 なうと、ドップラフィルタリング前後で、ドリルの先端反射が選択的に抽出されるこ とが確認出来た。また、フィルタリングによって抽出されたレーダ波形には鉄筋とド リルの衝突前に、ドリル先端からの反射波と鉄筋反射波の振幅が低下する傾向がみら れた。この傾向は衝突の判定に利用できる可能性があると示唆された。
2 つの独立した検証の結果、アンテナ回転走査、ドリルの進展モニタリングともに、
原理同様の結果が得られ、ドリル先端のモニタリングレーダシステムを開発すること ができたといえる。また、鉄筋が特に浅い供試体においてはドップラフィルタリング が有効であり、システムに組み込むことで、ドリル先端からの反射波を選択的に抽出 することが可能になった。
75 8-2 今後の課題
今後の課題は以下の2つである。
・ドリル先端モニタリング時の衝突判定法の確立
まず、今回のシミュレーション、実験の結果ドリルの先端からの反射波が進展してい く様子をリアルタイムで計測することが可能であった。しかし、鉄筋衝突寸前にドリ ルを自動停止するためにはドリルと鉄筋の衝突判定法を確立する必要がある。
実験結果のレーダ波形を確認すると、鉄筋のドリルへの衝突前、鉄筋反射波の振幅 が低下する傾向がみられた。またこれはシミュレーションでも同様に確認されており、
衝突判定をする際に利用できる可能性がある。一方で、ドップラフィルタリングにお いても似たような現象が確認出来、ドリルと鉄筋の位置に関係する可能性がある。
しかし、これはドリルが鉄筋の直上にある場合も、少しずれた位置にある場合も同 様な変化をすることから、この現象のメカニズムの解明が必要である。
・2つの操作を組み込んだ計測
今回のシミュレーション、計測はどちらも独立操作の検証であり、同時に行なうこ とで新たな課題や発見があると考えられる。回転走査のリアルタイム計測では、アレ イアンテナを用いることで回転走査の代用をしたいと考えている。そこで、アレイア ンテナを作成しパルスレーダに組み込むことで、2つの操作を同時に行うことの可能な システム開発が必要である。
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参考文献
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pp.1678-1693,2003年9月
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[3] 津野祐丞, 三輪空司, 羽賀望, “RC構造物穿孔時前方探査のためのアンテナ一体型同
軸円筒コアドリルの適用性”アップグレード論文報告集 , vol.15(No.1), pp.331-336,2015年10月
[4] 高根沢彰兵, 三輪空司, ‘ハンドドリル先端モニタリングのためのRCドップラレーダ
の開発’,
vol. 119, no. 121, SANE2019-26, pp. 43-48, 2019年7月
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[5] 高根沢彰兵,三輪空司, “鉄筋コンクリート穿孔ドリル先端リアルタイムモニタリング に関する研究”, 第9回電気学会栃木・群馬支所合同研究発表会, vol.9, 2019年3月
謝辞
本研究を行うにあたり基礎から応用にわたる丁寧なご指導、ご協力を賜りました群 馬大学理工学部電子情報部門、三輪 空司 准教授に心より感謝申し上げます。
本研究を行うにあたり貴重な製品、資料、御意見を頂きました工機ホールディング ス株式会社 研究開発本部 開発研究所 研究 1 課 小堀 賢志氏、佐藤 慎一郎氏に深く 感謝申し上げます。
本研究を行うにあたり貴重な製品、資料、御意見を頂きました応用地質株式会社 技術本部 研究開発センター 高橋 一徳氏に深く感謝申し上げます。
本研究を進める上で、供試体の打設にご協力いただきました群馬大学理工学府環境 創生理工学部門 小澤 満津雄 准教授、に心より感謝申し上げます。
本研究を進める上で、計測システム作成にあたり貴重なご意見を賜りました群馬大 学、遠坂 俊昭 客員教授に心より感謝申し上げます。
本研究を進める上で、数値電磁界解析にあたり貴重なご意見を賜りました群馬大 学、羽賀 望助教授に心より感謝申し上げます。