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パルス繰り返し周波数でレーダ波形を取得し、繰り返し毎に波形を並べた 2 次元のレ ーダプロファイルを考えるとレーダ波形の時間 𝑡 とその取得時間 𝑇 は独立とみなせ、

式(7-4)のように表される。

𝑟(𝑡, 𝑇) = 𝑅𝑝 (𝑡 − 2𝐿−𝛿 cos(2𝜋𝑓𝑣𝑇)

𝑣 ) (7-4) そこで、本来レーダ反射波形の振幅がピークを持つべき反射波の到達時刻 𝑡 = 2𝐿/𝑣 で の振幅に着目すると、𝑒(0)=1であるため、式(7-5)のように表される。

𝑟(2𝐿𝑣 , 𝑇) = 𝑅 cos {4𝜋𝑓𝑣𝑐𝛿 cos(2𝜋𝑓𝑣𝑇) + 𝜑} (7-5)

しかし、式(5)は初期位相 𝜑 の影響で到達時刻において最大値を持つとは限らない。

さらに、電磁波の波長が数cmに対し、振動変位は極めて小さいため式(7-6)が成立す る。

4𝜋𝑓𝑐𝛿 𝑣 =4𝜋𝛿

𝜆𝑐 = 2𝑘𝑐𝛿 ≪ 1 (7-6)

したがって、式(5-5)を1次近似すると式(7-7)が得られる。

𝑟(2𝐿

𝑣 , 𝑇) ≅ 𝑅{cos 𝜑 − 2𝑘𝑐𝛿 cos(2𝜋𝑓𝑣𝑇) cos 𝜑} (7-7)

𝑟(2𝐿/𝑣, 𝑇) は波形取得毎に振幅が振動周波数 𝑓𝑣で正弦的に変化しており、その振幅

が振動振幅 𝛿 に比例している。しかし、cos 𝜑 にも比例するため、初期位相 𝜑 によって パル変調波の形状が変わり到達時刻を正確に評価できない。そこで、送信パルスの変 調波の直交する位相成分を持つ 𝑞(𝑡) を考える。𝑞(𝑡) は式(7-8)のように表される。

𝑞(𝑡) = cos (2𝜋𝑓𝑐𝑡 + 𝜑)𝑒(𝑡) (7-8)

同様に 𝑞(𝑡) に対応するレーダ波形に対しても反射波の到達時刻での振幅に着目し、式

(7)と同様の1次近似をすると式(7-9)が得られる。

𝑖(2𝐿𝑣 , 𝑇) ≅ 𝑅{cos 𝜑 + 2𝑘𝑐𝛿 cos(2𝜋𝑓𝑣𝑇) cos 𝜑} (7-9)

ここで、ℎ𝑟(𝑡, 𝑇) を実部、ℎ𝑖(𝑡, 𝑇) を虚部にもつ複素波形(解析信号と呼ぶ) ℎ̇(𝑡, 𝑇) を定 義し、到達時刻での振幅に着目すると、式(7-10)が得られる。

ℎ̇ (2𝐿𝑣 , 𝑇) ≅ 𝑅𝑒𝑗𝜑{1 + 2𝑘𝑐𝛿 cos(2𝜋𝑓𝑣𝑇)}

≅ 𝑅𝑒𝑗𝜑{1 + 𝑗𝑘𝑐𝛿(𝑒𝑗2𝜋𝑓𝑣𝑇+ 𝑒−𝑗2𝜋𝑓𝑣𝑇)} (7-10)

これを 𝑇 方向にフーリエ変換すれば、直流成分𝑅と正、負の振動周波数 𝑓𝑣 において ピーク振幅値 𝑘𝑐𝛿𝑅 が得られる。以上から、振動周波数𝑓𝑣の抽出と、周波数領域での顕 著な振動成分を時間領域で抽出することで、ドップラ成分のみをレーダ波形から計算 できる。具体的にはFig. 7-1-2のように、高速な繰り返し周波数で得られたレーダプロ ファイルの解析信号を求め、繰り返し計測時間方向にフーリエ変換することによりレ ーダ波形の遅延時間毎に振動周波数成分を確認する。振動成分の線スペクトルが得ら

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れれば、その周波数成分の時間波形を取り出すことで、穿孔により振動する物体のみ のレーダ波形が得られる。

Fig. 7-1-1 供試体 2 加振ドップラ計測の概念図 パス長:

反射体 マイクロ 波 中心周波数 : 波数: 伝搬速度 : 固定アンテナ

振動変位: 加振 加振周波数:

Fig. 7-1-2 ドップラスペクトル取得のながれ

DFT

取得時間 0

ドップラスペクトル算出 時刻 (ドリルの振動による反射成分) 振幅

時刻 の振幅を抽出

200Hz

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そこで、4 章の供試体 2 のレーダプロファイルにおいて、ノイズ低減のためレーダ波 形にバンドパスフィルタを適用した後、あらゆる到達時刻においてFig. 6-2-5のように 計測時間方向にフーリエ変換した結果を Fig. 7-1-3に示す。遅延時間 1~2 nsの間のみ に強いドリル振動によるドップラ周波数 -20.3 Hz、20.3 Hzのピークを確認できる。

そこで、直流成分および、-20.3 Hz、20.3 Hzの周波数成分のみを選択的に抜き出し、

その 3つの周波数特性を時間領域に戻し、複素解析関数化したレーダ波形を Fig. 7-1-4 に示す。黒線は複素振幅絶対値、赤線は実部、青線は虚部である。0 Hz は直流成分を 表し、生のレーダ波形と等価である。図から、0 Hz の複素振幅には直達波とドリル先 端からの反射波、鉄筋反射波、底面からの反射波が混在しており、時間方向にぼやけ た波形になっている。尚、1.4 ns付近の反射波が鉄筋からの反射波に対応する。一方、

-20.3 Hz、20.3 Hz の複素振幅では、1~1.4 nsの間に反射波が見られており、ドリル先

端からの反射波のみが取得されていると考えられる。したがって、ドップラフィルタ リングにより動かない直達波や、鉄筋、底面の反射等を除去し、ドリル振動に由来す るレーダ波形を選択的に得ることが可能であることがわかる。

Fig. 7-1-3 計測時間方向 FFT 後ドップラスペクトル

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一方、Fig. 7-1-4 だけではドリルの先端の反射波は確認できるものの、ドリルの進展 の様子は不明である。そこで、レーダプロファイルの波形取得時間方向に1.28 s (512ト レース)の移動窓を設け、その窓内でフーリエ変換を行い振動成分の取得を行い、ドプ ラ波形を抽出し、その窓を移動させながらドップラ波形を観測した結果をFig. 7-1-5に 示す。1.28 sの移動窓では周波数分解能は0.8 Hz程度であり、十分に振動成分を抽出で きる。図より、振動しない成分はすべて直流に現れるため、0 Hz のレーダプロファイ ルには直流成分とほぼ同様であり、Fig. 7-1-5 (b)のレーダプロファイル同等の結果が得 られた。一方、ドップラ周波数である-20.3 Hz、20.3 Hz のレーダプロファイルには振 動成分のみが算出されるが、計測時間方向4~9 sの間、1~1.4 ns付近に、反射波が遅 延していく様子が確認出来る。特に正の周波数では計測時間と共に遅延する様子が顕 著であり、最終的に鉄筋の到達時刻である1.4 ns付近に近づいていく様子がわかる。し たがって、この振動成分の反射波はドリル先端からの反射波であるといえる。また、

計測中、コンクリート内部に経過時間毎に進展しているのはドリルのみであることか らも、ドリルの進展をモニタリング出来たといえる。

(a) -20.3 Hz (b) 0 Hz (c) 20.3 Hz

Fig. 7-1-4 ドリル振動由来のドップラ成分及び、直流成分のレーダ波形

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(a) -20.3 Hz (b) 0 Hz (c) 20.3 Hz

Fig. 7-1-5 移動窓によるドップラフィルタリング後のレーダプロファイル Meas. time [s]

Time [ns]

0 2 4 6 8

0 1 2 3

Meas. time [s]

Time [ns]

0 2 4 6 8

0 1 2 3

Meas. time [s]

Time [ns]

0 2 4 6 8

0 1 2 3

63 7-2 リアルタイムドリル振動周波数抽出

ドリルの振動周波数をリアルタイムで計測するため改造ドリルを用いた。それを Fig.

7-2-1に示す。ドリル本体からの配線が伸びておりここからFig. 7-2-2に示す矩形パルが

出力される。この矩形波の周期は1 ms程度であり、周波数に変換すると1000 Hzであ る。第4章よりロータの回転成分は最大450 Hzであるためここから出力される成分は ロータの回転成分の2倍の周波数であると考えられる。そこでArduinoを用いてこの矩 形波をリアルタイムで制御し、リアルタイムでドリルの周波数成分を抽出する。

ドリルの振動周波数を取得するための計測アルゴリズムを Fig. 7-2-3に示す。まず、

ドリルの出力の矩形波の周期から周波数を算出したい。そこで矩形波のパルス毎に立 ち上がりと立ち下がりから矩形波の時間幅を計算し計測を行なう。次にArduinoにて計 測周波数を250~505 Hzの

255段階に制御し PWM 出 力にてデューティー比に沿 ったパルス幅に変換しパル ス を 出 力 す る 。 最 後 に PWM波を LPFを用いるこ とによりハードウエア的に 平滑化し、瞬時電圧値に変 換しリアルタイムでドリル 周波数-電圧の変換を行な う。実際に計測に用いたシ ス テ ム を Fig. 7-2-4 に 示 す。

Fig. 7-2-1 改造ドリル Fig. 7-2-2 ドリル回転周波数分布

Fig. 7-2-3 ドリル振動抽出のアルゴリズム

デューティー比 100% 50% 0%

0%

100%

ドリル回転数出力

ArduinoマイコンボードPWM出力

LPF通過後

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ドリルの振動周波数のうち前節までにドップラが検出されたのは計測されたドリル のドップラ成分は 20 Hz 前後である。ドリルの駆動時、ドリルは満充電時、打撃周波

数 81.8 Hz、回転周波数は 18.0 Hzと試算できた特にこの周波数はドリルの回転による

ものであると考察できる。そこでロータの回転成分をドリルの回転成分に変換しドッ プラフィルタリングに用いることにする。

これをパルスレーダシステムに組み込み、データをPCに取り込む。この際、データ 数はレーダの計測波形と同様のポイント数であり同期がとれている。それを計測回数 ごとに平均する。すると、200 回の計測では 200 個のデータが得られることになる。

例として一回の計測におけるドリルの振動周波数分布をFig. 7-2-5に示す。ドリルの回 転周波数である18~20 Hzの成分を取得することが可能であることが確認出来る。

Fig. 7-2-4 測定状況

LPF

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