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ハンドドリル先端モニタリングレーダの実証実験

44 6-1 アンテナ回転操作の実証実験

6-1-1 計測環境

開発したパルスレーダを用いてアンテナ回転操作の実証実験を行う。パルスレーダ の設定したパラメータをTable. 6-1-1に示す。また、使用アンテナは基礎実験同様のボ ウタイスロットアンテナとしFig. 2-2-3にその特性を示す。

Fig. 6-1-2に使用した供試体を示す。これも基礎実験同様形状は40 cm×40 cm×10 cmで

あり、4本のD16鉄筋が10 cm間隔に配筋されている。尚、鉄筋かぶりは5 cmである。

その中の一本を基準とし直上に原点を設け、ドリル穿孔位置(送受信アンテナ中心位 置)を鉄筋の軸方向と直交する方向にオフセットさせる。送受信アンテナと回転中心 との距離を3.5 cm、アンテナ間隔を7 cmとしてFig. 6-1-3のように固定した、アンテナ を5度づつ回転させながら計測し、レーダ波形を取得した。

Table 2-2-1 ネットワークアナライザの設定値 送信パルス周波数 [MHz] 200 相関用パルス周波数 [MHz] 199.999

周波数差 [kHz] 1

Points 150

一回の計測に用いる波形数 120

計測回数 1

Fig. 6-1-2 使用した鉄筋コンクリート供試体

45 6-1-2 計測結果

計測結果をFig. 6-1-4に示す。結果の(a)~(d)でそれぞれ鉄筋直上からのずれ0~4 cm を設けてある。まず1 ns付近に得られる成分は鉄筋からの反射波である。次に7 ns付 近に得られる成分はアンテナ間を直接伝う直達波である。次にそれぞれの波形に着目 すると鉄筋からのずれが0 cmの場合の結果では鉄筋反射の到達時刻の変化は捉えられ なかった。これは、ずれが1 cmの結果も同様に変化は大きくは捉えられなかった。し かし、ずれが2 cm、3 cm、4 cmの結果からは鉄筋反射に明瞭な正弦的な変化が確認出 来た。また鉄筋反射波は鉄筋が直上からのずれに応じて到達時刻が遅れることも確認 された。振幅の大きさも鉄筋からのずれが大きくなると相対的に低下していくことも 同じく確認された。

Fig. 6-1-3 アンテナ固定

(a) オフセット 0 cm (b) オフセット 1 cm

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(c) オフセット 2 cm (d) オフセット 3 cm

(e) オフセット 4 cm Fig. 6-1-4 レーダ波形

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次に Fig. 6-1-5はそれぞれの波形のレーダプロファイルである。まず 0,180度の回転

角の場合、アンテナの向きは鉄筋と平行であり、最も大きく鉄筋からの反射波が得ら れると考えられる。また、90,270 度の回転角の場合、アンテナの向きは鉄筋と直行し ており、鉄筋反射波振幅は最も小さい。またこのときコンクリート底面からの反射波 が大きく確認された。

(a) オフセット 0 cm (b) オフセット 1 cm

(c) オフセット 2 cm (d) オフセット 3 cm

(e) オフセット 4 cm

Fig. 6-1-5 レーダプロファイル

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次にFig. 6-1-6の右にシミュレーションを行なった結果、鉄筋反射の到達時刻の回転

依存性を計算したものを示す。また、左には基礎実験同様、150ポイントのレーダ波形 を 450 ポイントに補完しポイント数を増加させた。また、複素振幅にデータを変換し た。そこで、データの鉄筋位置にあたる到達時刻をデータの絶対値から計算した。す ると、シミュレーションでは、0 cmの鉄筋反射の到達時刻も0.01 ns変化することがわ かりほぼ変動しないことがわかった。2 cm では0.05 ns到達時刻が変化した。3 cmでは

0.1 ns変化し、最大ずれである4 cmでは0.15 ns変化し、変動の大きさは最大となった。

変動率は5nsごとに変化していることも確認出来た。また、実験では0 cmの鉄筋反射 の到達時刻も0.03 ns変化することがわかった。1 cmでは0.04 ns到達時刻が変化し、

変化が波形から確認可能であった2 cm では0.08 ns到達時刻が変化した。3 cmでは0.1 ns変化し、最大ずれである4 cmでは0.11 ns変化した。変動の大きさは3 cmではシミ ュレーションと等しくなり、2 cmではシミュレーションよりも大きく、4 cmではシミ ュレーションよりも小さくなった。この原因として、アンテナと鉄筋の偏波の関係に より、到達時刻が変化したと考えられる。しかし、変動が正弦的であること、鉄筋直 上からのずれが大きくなるにつれて変動が大きくなることが確かめられた。

(a) オフセット 0 cm 実験結果 (b) オフセット 0 cm シミュレーション

(c) オフセット 1 cm 実験結果

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(d) オフセット 2 cm 実験結果 (e) オフセット 2 cm シミュレーション

(f) オフセット 3 cm 実験 (g) オフセット 4 cm シミュレーション

(h) オフセット 4 cm 実験結 (i) オフセット 4 cm シミュレーション

Fig. 6-1-6 鉄筋反射波の到達時刻の回転角依存性

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最終的にはアンテナの回転操作を実行しながらのドリルの進展モニタリングを行い たいと考えている。実健結果からアンテナの回転によってドリル直下に鉄筋ないと判 断するためには0.05 ns以上の正弦変動が必要であると考えられる。そこで、0.05 ns以 上鉄筋反射に変化があるときをドリルの直下に鉄筋がないと判断する。また、ドリル の進展モニタリングとアンテナ回転操作を同時に行うことを想定したとき、鉄筋との オフセットが最大の4 cmの場合、正弦変動は0.15 nsでありドリルの反射波には影響し ない位置で反射波が変動すると考えられる。よってアンテナの回転によりドリル直下 に鉄筋があるかないかの判断は可能であり、ドリル進展モニタリングとの併用も可能 であることが示唆された。

51 6-2 ドリル進展モニタリングの実証実験 6-2-1 計測条件

次にドリルの進展モニタリングの実証実験を行う。パルスレーダの設定したパラメ

ータを Table. 6-2-1 に示す。また、使用アンテナはと同じものを使用した。供試体は 2

種類を用いた。Fig. 6-2-2にその概要を示す。まず、供試体1は鉄筋かぶり9 cmと比較 的かぶりが深いのに対し、供試体2は鉄筋かぶり4 cmの比較的かぶりの浅いコンクリ ートを準備した。鉄筋はD16である。アンテナ配置は両者同様、アンテナ間を7 cmと し、供試体 1 ではアンテナ間の中点になる位置で鉄筋の直上から少しずれた位置を鉄 筋の深さまで計測し、供試体 2 では鉄筋の直上を、鉄筋の深さまでそれぞれ計測し た。また、穿孔するドリルの刃の径を6、8、10、12、14、18 mmの6種類を用いた。

Table 2-2-1 ネットワークアナライザの設定値 送信パルス周波数 [MHz] 200 相関用パルス周波数 [MHz] 199.999

周波数差 [kHz] 1

Points 150

一回の計測に用いる波形数 120

計測回数 200

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(a) 実験状況(左 供試体 1 右 供試体 2)

(b) 供試体(左 供試体 1 右 供試体 2) Fig. 6-2-1 実験の様子

53 6-2-2 計測結果

Fig. 6-2-2、Fig. 6-2-3 に各ドリルの径、供試体におけるレーダ波形を計測時間方向に

並べたレーダプロファイルを示す。Fig. 6-2-2は供試体 1 の結果であり、ドリルの径 6 種類での波形をそれぞれ示している。波形から0.7 ns付近にアンテナ間を伝う直達波、

2 ns 付近にコンクリート内部鉄筋反射が確認でき、ドリルの径が 6,8,10,12,14,

18 mmでそれぞれ,5 s,7 s、4 s、6 s、10 s、7 s付近から、それぞれの計測時間レーダ

波形において深さ方向に反射波の遅延が確認できる。これはドリル先端からの反射波 であり、レーダによりドリル先端のモニタリングが可能であることが確認された。

また、ドリルの径によって振幅が最大約0.015と6つの結果において大きな変化がな いことから、ドリルの径はドリル先端反射波に寄与しないこともこの波形からわかる。

(a)ドリル径 6 mm (b)ドリル径 8 mm

(c)ドリル径 10 mm (d)ドリル径 12 mm

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(e)ドリル径 14 mm (f)ドリル径 18 mm Fig. 6-2-2 供試体 1 計測結果

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次に、Fig. 6-2-3は供試体2の結果であり、ドリルの径18、14、12 mmで、鉄筋位置 まで穿孔を行った際の結果である。Fig. 6-2-3 同様にアンテナ間を伝う直達波が 0.7 ns に確認でき、1 ns 付近にはコンクリート内部の鉄筋からの反射波を確認できる。また、

それぞれの計測時間レーダ波形において深さ方向に直達波の遅延が確認できる。この 波はドリルの刃の進展によるものであることは明らかであるが、ここからドリルが鉄 筋に衝突したかの判断をするのは難しい。原因としては、供試体 1 ではドリル先端が ある程度深くなって以降、ドリル先端からの反射波と直達波が分離する様子が確認さ れるが、供試体 2 では穿孔深さが浅いため変化を確認できなかったものと考えられる。

(a)ドリル径 18 mm

(a)ドリル径 14 mm (a)ドリル径 12 mm Fig. 6-2-3 供試体 2 計測結果

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そこで4章でドリルの振動成分であるドップラの選択的抽出の可能性を確認するため に、それぞれの結果に対してレーダの計測時間方向に全ての時間でフーリエ変換を行 なった結果を、Fig. 6-2-4 に示す。レーダ波形のドリルの先端からの反射波が返ってく

る時間に 20 Hz 程度のドップラ成分を確認した。商用レーダを用いた実験でもこの傾

向は確認されたため、次章にて、ドップラフィルタリングを行なった結果について示 す。

(a) ドリル径 18 mm 周波数特性

(b) ドリル径 14 mm 周波数特性

(c)ドリル径 12 mm 周波数特性

Fig. 6-2-4 供試体 2 ドップラ周波数特性

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