3. 製造事業者の外部環境
3.2. LNG 基地との代替手段
2009年以降に運用を開始している LNG基地の建設計画の多くは 2008 年ごろの欧州の好 景気、再生可能エネルギー導入増によるガスへの需要増を背景に建設計画が議論されてお り、2011 年ごろまでに投資の意思決定がされている。しかし、これらの投資意思決定は、
2010年以降の欧州全体の景気低迷、暖冬によるガス需要の減少等を考慮していないため、
現時点で、LNG貯蔵容量は供給過多となっている。
ロシアによる 2 度のガス供給停止を経験した欧州は、政策的にガス調達源の多様化を図っ ている。特に、欧州西部から東部にむけて、緊急時にガスを供給できるように、欧州西海岸 のLNG基地の整備は進められてきた。この観点からEUの資金支援を受け、リトアニアと ポーランドは過去数年の間にLNG基地への投資を積極的に実施し、LNG輸入国となって いる。一方で、欧州では、パイプラインの輸入と国内生産で需要が満たされているため、パ イプラインの輸入と国内生産の不足分を満たすためにLNG輸入を行う国が多い。
3.2.1. ベルギー
ベルギーは、他国へ輸送されるガスが通過する分を含めて多様なガス供給源を持っている が、Zeebrugge 基地からの輸入量は全体の 4%にしか過ぎない。ガス供給源のほぼ全量を LNGに依存している日本とは大きく異なる。
出所)CREG(2017)
図 18 2016年のベルギーのガス調達手段
ベルギーは、天然ガスの国際輸送導管網のハブになっており、多くのパイプラインが建設さ れている。1988年、ベルギーはノルウェーとの契約を結び、ノルウェーのガスをベルギー 市場に輸送し、フランスと南ヨーロッパに輸送するための海底パイプラインを建設した。こ のパイプラインにおいて、FluxysはZeebruggeとBlaregnies 間のパイプライン建設を担 当した。 この結果、ベルギーでは、Fluxysはオランダとドイツに接続する新しい東西軸を 建設し、英国のガスをベルギー、ドイツ、オランダに移送できると共に、東からイギリスへ 輸送することもできるようになっている。これにより、Zeebrugge LNG基地が機能を停止 しても、国際輸送パイプラインからの天然ガス供給を受けることができる。
出所)http://www.fluxys.com/belgium/en/About%20Fluxys/Infrastructure/Network/Network 図 19 ベルギーのガス輸送導管ネットワークとLNG基地
3.2.2. フランス
2013年時点で、フランスのLNGへの依存度は14%であった。2017年時点で、フランスで はLNGへの依存度は15-30%くらいになっている。
出所)出張時にCREより提供された資料より作成
図 20 2013年におけるフランスのガス調達手段
LNGとパイプラインによって輸入されるガスとの間では価格競争が発生しており、LNG価 格が上がると、より安価なパイプラインから送られたガスを利用するため、LNGの消費量 が減少する構造となっている。
例えば、直近の2017年はLNG価格が低下したため、LNGの消費量が増加し、それに伴い LNG基地の稼働率が高くなった。このように、フランスにおいてLNGは極めて価格弾力 性の高い商材である。
LNGは世界の 17 の地域から輸入されているが、フランスの主要な天然ガスの輸入ルート はノルウェーとロシアからのパイプラインである。
LNG, 14%
パイプライン, 86%
出所))BP, EIA
図 21 フランスに輸入される天然ガスの輸入元
出所)http://www.gie.eu/download/maps/2017/GIE_LNG_2018_A0_1189x841_FULL.pdf 図 22 フランスのガス輸送導管ネットワークとLNG基地
3.2.3. スペイン
2016年には、スペインの天然ガス輸入の40%が液化天然ガス(LNG)であり、それ以外は パイプライン経由である。
出所)出張時にCNMCより提供された資料より作成
図 23 2016年におけるスペインのガス調達手段
スペインは、アルジェリアから2つの海底パイプライン、すなわちマグレブ・ヨーロッパの ガスパイプラインとMedgazのパイプラインを経由して天然ガスを輸入している。
出所)出張時にCNMCより提供された資料より作成
図 24 スペインのガス輸送導管ネットワークとLNG基地 パイプライン, 58%
LNG, 42%