4. LNG 基地の運用状況
4.5. LNG 基地利用料金の設定方法
4.5.3. スペイン
スペインのLNG利用料金は、BOE-A-2013-1376815という法律によって定められており、
同法律Annex(Sec. I. Pag.106658)に、基本料金が決められている。現時点でのタリフ
は以下の通り。
表 18 気化・払出(送出)のタリフ
契約 期間
固定契約期間 [c€/(kWh/d)/月]
変動 契約期間 [c€/kWh]
10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
1年 1.961 1.961 1.961 1.961 1.961 1.961 1.961 1.961 1.961 1.961 1.961 1.961 0.0116 四半期 2.667 2.667 2.667 3.746 3.746 3.746 2.373 2.373 2.373 2.118 2.118 2.118
一か月 2.550 2.746 3.138 4.511 3.922 3.726 2.746 2.353 1.961 2.353 1.961 2.353
1日 0.177 0.177 0.216 0.294 0.255 0.255 0.177 0.177 0.157 0.157 0.137 0.157
1日未満 0.294 0.314 0.353 0.490 0.431 0.412 0.314 0.314 0.255 0.275 0.216 0.255
出所)http://www.enagas.es/enagas/en/Transporte_de_gas/Servicios_ofrecidos_y_contratacion/Tarifas-Peajes-Canones
スペインでは、LNG 基地の稼働率が低いため、LNG 基地での貯蔵は容量が空いている限 り、対価を支払えば可能である。以下は、LNG基地での貯蔵サービスのタリフである。
表 19 LNG基地での貯蔵サービスのタリフ サービス 変動契約期間 [c€/MWh/d]
LNG 貯蔵 3.24
出所)http://www.enagas.es/enagas/en/Transporte_de_gas/Servicios_ofrecidos_y_contratacion/Tarifas-Peajes-Canones
毎年料金の更新(revision)はなされているようであるがスペイン語でしか開示されてい ない。政府は、ガスソースからより遠くにある北部のLNG基地(Bilbao、Barcelona、
Mugardos)の利用促進を図るため、北部のLNG基地は、南部のLNG基地(Huelva,
Cartagena, Sagunto)に対して割安な着桟料金が設定されている。ただし、北部基地が休 止した場合に南部の基地を使う場合は、ディスカウント料金は提供されず、南部の基地の 利用料金で利用することになる。実際には、着桟に係る費用が全体に占める割合は小さい ため、こうした料金設定の工夫は基地利用者の嗜好にあまり影響を及ぼしていない。な お、このLNG基地の南北エリアの価格差はエネルギー省が決定したものであり、エネル ギー省が変更しない限り今後も継続する予定とされている。
15 https://www.boe.es/buscar/doc.php?id=BOE-A-2013-13768、
https://www.boe.es/boe/dias/2013/12/30/pdfs/BOE-A-2013-13768.pdf
表 20 スペインの南北の LNG 基地の料金差
基地 タリフ
払出(送出) 荷卸し LNG
storage
Gas in kind
容量課金
€/(kWh/d)/m
従量課金
€/kWh
定額
€/船
従量課金
€/kWh
従量課金
€/kWh/日
%
Huelva Cartagena
Sagunto
1.961 0.012 33,978 0.007 3.24 0.005
Barcelona Bilbao Mugardos
16,988 0.004
出所)https://www.boe.es/boe/dias/2013/12/30/pdfs/BOE-A-2013-13768.pdf
利用料金は、2013年以降変わっていない。どのようにこれを決めたかは公表されていな い。価格は、コストをカバーするように決めているはずであるが、元となるコストは LNG基地とパイプラインの両方を踏まえて料金が作られているため、LNG基地の単独コ ストで料金が設計されていない。これは、LNG基地の単独コストで設計すると、基地利 用料金が高くなり、相対的に割安になる国際パイプライン経由のガスに利用者が流れてし まうためである。
気化サービスに関する料金は、LNGの受入量で変わる。貯蔵容量は、従量比率になる。
また、当該料金表に基づき徴収された料金収入はプールされ、全基地の収入を集計した 後、各LNG基地の固有資産に応じて分配されることになっている。
なお、年次契約で容量を確保している基地利用者が、容量を別の事業者に2~3日といっ た短期間だけ使用権を売り渡すことは制度上可能であるがシステム上対応できない。この ため、1日単位からの契約が制度上可能ではあるものの、2~3日といった短期間での利用 を志向する事業者は、基地に着桟する前の時点で、一旦基地の使用権を有している事業者 にLNGを販売し、ガス化された後にバランシングポイントで買い戻すスワップ契約を結 ぶ。このような契約はスペインでは一般的であり、結果的に、LNG基地のサービスで対 応するのではなく、天然ガスの取引の二次市場を活発化させることで、実務的なニーズに 対応している。
容量の貸し抑えを防止するため、容量を予約しておいて利用しない場合には、ペナルティが 発生する。具体的に、基地事業者は過去30日間の平均貯蔵量を計算して、当該数値が15日
×日次の払出容量を超える基地利用者にはペナルティを課している。超過日数が 4 日量ま
では2.5倍、4日量以上は10倍の超過貯蔵タリフを課されることになる。
出所)CNMC資料より作成
図 36 平均貯蔵量の超過日・量に応じた貯蔵タリフのペナルティ(超過倍率)
この30日という期間は、利用率に応じて調整されており、1年の間で変わる。本ペナルテ ィ制度は10年前に始まったシステムである。昔は LNG 基地の容量の余力があまりなかった のでペナルティ評価に用いる期間も現在の30日より短かったが、最近は、LNG 基地の貯 蔵容量が増え、余力が以前より増えてきたので30日と長くなった。ペナルティを受けない ように、基地利用者は余分な在庫を手放すため、LNGの取引量が増える。ただし、小規模 ユーザー(300GWhよりも15×日次の払出容量が小さいユーザー)には300GWh(天然ガ ス換算24.1百万m3)を超えた分だけペナルティが課金されることになっている。
平均貯蔵量
15日からの超過日・量
▲ 4日
元の貯蔵タリフ 貯蔵タリフの
罰則倍率
×2.5
×10.0
4.6. 貯蔵設備利用料金の設定方法