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第三者利用制度

ドキュメント内 LNGバンカリング等に関する調査・分析 (ページ 44-49)

4. LNG 基地の運用状況

4.1. 第三者利用制度

第一次指令では、LNG基地に規制TPAと交渉TPAの適用を求めた。第二次指令では、現 在の規制環境と同様に規制TPAが原則となり、交渉TPAは廃止され、規制TPAの適用免 除が例外的に認められることとなった。

第三次指令でも規制TPA が原則であり、適用免除は規制機関との交渉により新設LNG基 地に対して適用が認められる例外とされている。第三次指令ではさらに、2009/73/EC で、

規制TPAのLNG基地を保有する企業は、TSO業務と会計を分離することが要求されてい る。他方、TPA適用免除のLNG基地は輸送業務との会計分離を要求されていない。

また、指定EC/715/2009において、LNG基地の秘蔵量対策のために、すべての施設、流通 市場に対して、貯蔵情報の公開が義務付けられた。

LNG基地の利用容量の配分は、容量配分(Capacity Allocation Method:CAM)と混雑時 管理手順(Congestion Management Procedure:CMP)によって行われる。前者がいわゆ る一次市場であり、後者が二次市場になる。

主 な CAM は 、 先 着 順 (First Come, First Serve: FCFS) と 比 例 配 分 方 式 (Open Subscription Procedure OSP)である。前者は文字通り先着順に容量が割り当てられ、後者 は、すべてのユーザーが申込可能であるが、総容量が十分でない場合に、比例配分で容量を 配分する。

一方、主なCMP方法は、流通市場(当初割り当てられたユーザーは未使用分を必要なユー ザーへ再オファーできる)、ペナルティ(今後の利用制限または預り金からの差引き)、

UIOLI (Use it or Lose it:ターミナル事業者は未使用分を引き取り再配分する)の三種類が ある。

表 8 容量配分(CAM)と混雑時管理手順(CMP)の概要

方法 内容

容量配分

Capacity Allocation Method(CAM)

先着順

First Come, First Serve(FCFS)

先着順に容量が割り当てられる。

比例配分方式

Open Subscription Procedure

(OSP)

すべてのユーザーが申込可能であるが、総容 量が十分でない場合に、比例配分で容量を配 分する

混雑時管理手順 Congestion Management Procedure(CMP)

流通市場 当初割り当てられたユーザーは未使用分を必

要なユーザーへ再オファーできる

ペナルティ 今後の利用制限または預り金からの差引き Use it or Lose it (UIOLI) ターミナル事業者は未使用分を引き取り再配

分する

各国、各ターミナルはこれらの方法を組み合わせて容量配分を行っている。概要は以下の通 りである。詳細は、別途、各国の事例を詳述する際に紹介される。

表 9 フランス・スペイン・ベルギーのLNG基地利用順序決定方法 CAM 方法 (一次市場) CMP 方法 (二次市場)

ベルギー 一次市場での容量配分は長期契約でブロックさ れているが、空き容量について、open season 続きと呼ばれる公募プロセスで、募集がかけられ る。この募集において需要が空き容量を超えた場 合は、FCFSで分配される。

流通市場か、UIOLI により未使用容量は再配 分される。

フランス 一般的にFCFSであるが、Fos Cavaou ターミナ ルにおける1年以下の容量契約に関してはopen season 手続きが取られる。

流通市場、ペナルティ, UIOLI3種類の方法 がもちいられている。

スペイン FCFS ペナルティ, UIOLI 出所)ERGEG (2011)を一部編集

4.1.2. ベルギー

ベルギーでは、一次市場で割り当てられる容量(スロット)は長期契約でブロックされてい るため、空き容量についてOpen Season 手続きという公募で利用募集が掛けられる。Open

Season 手続きとは、LNG 基地や輸送導管の新規プロジェクトや新しい容量割当期間が始

まる際に、潜在利用者に関心を確認し、容量や投資についての意思確認をするプロセスであ る(ERGEG, 2007)。この利用募集における容量配分はFCFSである。

また、Open Season期間中に配分されなかった未使用容量については、以下の手続き6でス ロットが識別され、未使用スロットとして配分される。

 次年度の年間の荷卸しスケジュールが計画されている期間であるn-1年:3月から10 月の利用可能なスロットが識別される。

 四半期ごとの荷卸しスケジュールが計画されている当該年(n年):未使用のスロット

やFluxys LNGによって一連の連続満潮期間として識別された期間

長期契約者及び一次使用権者が未使用のスロットについては、使用権ホルダーが交渉ベー スで二次使用権者を探すか、UIOLIで再配分される。

4.1.3. フランス

フランスでは、一次市場にFCFS法を用いるが一部でOpen season 手続き(OSP)も用い られている。二次市場には、流通市場、ペナルティ、UIOLIの三種類が活用されている。

4.1.4. スペイン

スペインでは、一次市場ではFCFSが用いられている。一方で、二次市場はない。これは、

基地利用に関する受入・貯蔵の容量の売買がシッパー間で流動的に行われており、利用者が 使用していない容量を強制的に供出させる必要がないためである。

スペインでは、LNG船の受入及びLNGの貯蔵の権利に関して、シッパー間での売買が認 められている。一方、気化及びガスの払出の契約については、シッパー間での売買が認めら れていない。このため、基地事業者と契約を元々結んでいたシッパー(以下、旧シッパー)

から受入・貯蔵に関する権利を引き継いだシッパー(以下、新シッパー)は、基地事業者と 新たに気化・払出の契約を結ぶ必要がある。また、旧シッパーは契約が残っている気化・払 出契約に対して、①契約をキャンセルする、②基地を使用しないが、契約に従い料金を支払 う、③別の契約のLNGを調達し、受入・貯蔵の料金を払い基地を利用する、のいずれかを

6 Fluxys (2017), p.12

選択することになる。ただし、旧シッパーは通常LNGを全量売り渡すことはなく不要な分 だけ販売するため、③「契約をキャンセルせず基地を利用」を選択し、契約を残しておいた 分のLNGをガス化した後、LNG基地の出口やMibgas市場(ガス卸市場)でガスとして 販売することが多い。

また、欧州では、Use it or Lose itの制度に基づき、長期契約者及び一次使用権者が使用し ない容量が発生した場合、その利用権を基地事業者に返還する必要がある。

他方、スペインでは元々LNG基地の容量配分(一次市場)の際に、予備力が用意されてい る。この背景として、スペインでは、一次使用権の権利として一定程度の超過利用がもとも と認められているためである。また、予備力を開放しなければならないほどLNG基地の稼 働が高いわけではないことも理由として挙げられる。さらに、仮に20年間の長期契約でも 9か月後にはキャンセルできるなど、既存の契約をキャンセルしやすい環境が整備されてい る。これにより、1日単位、船単位といったどのような単位での契約が可能となり、新規参 入者はLNG基地を利用しやすくなっている。このように、スペインにおいては、新規利用 者の参入促進対策が既に十分であるため、実質的に二次市場が機能していないものと思わ れる。

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