この章では,まず最初にL2マルチンゲールがL2において有界になるための必要十分条
件を示す.そして,この性質から得られる定理を用いて,3.2節でKolmogolovの3級数定理,続いて3.3節でKolmogolovの大数の強法則を示す.
3.1 L2において有界なマルチンゲール
M=(Mn:n≧0)をL2のマルチンゲール,すなわち,任意のnに対しMn∈£2である
とする.このとき,s≦t≦u≦vであるs,ちu,v∈Z+に対しE[Mv lfu] = Mu7 a・s・
となる.そして,Z∈£2(鑑)=£2(Ω,鑑,一P)に対し 〈Z, Mv 一 Mu> = E[Z(Mv Mu)]
= E(Z M.) 一 E(ZM.)
= E(ZM.)一E(ZE[M.1.71.])
= E(ZMv)一E(E[ZMv l・JETu])
= o
となるので,M.一一M、はし2(ら)に直交している.特に,
〈Mt−Ms 7 Mv−Mu>=O だから,Mnは直交する項の和として
Mn == Mo + 2(Mk m Mk−i)
k=1
と書ける.よって,定理1。9Pythagorasの定理より
E(Mn2)=E(Mo2)+2E[(Mk−Mk−i)2] (3・1)
k=1
となる.
34
定理3。1 MをL2のマルチンゲールとする.このとき,.Mがし2において有界となる ための必要十分条件は,
ΣE[(Mk−Mk一・)2]く・。 (3・2)
k=1
となることである.そして,このときMnはM。。に概収束かつL2収束する.
[証明](3.1)からし2において有界であるということは,(3.2)と同値である.
(3.2)が成り立つとき,Mは£2において有界だからノルムの単調性により,£1において有 界となる.よって,定理2.9より、M。。=lim Mnはほとんど確実に存在し,概収束している.
n→Oo Pythagorasの定理より れ ア
珂(一Mn+r−Mn)2]一Σ珂(M・一Mk一・)2]
k=n十1
が成り立ち,r→○。とし, Fat・uの補題を使うと
E[(MOQ − Mn)2] ≦ lim inf」Eフ[(Mn+r −Mη)2]
ポOo
■ΣE[(M・一一Mk一・)2]
n十1 となる.次に,n→Ooとすると
lim E[(M。。一Mn)2]=0.
7L→◎o
ゆえに,∠:2収束している. □
次に,独立確較蜘のΣ撮Σ呵X卸棘に関する定理を示す.
鳶 鳶
定理3・2 (Xk:k∈N)は, E(浜)=0,σ器=Vαr(臨)<。○(k=1,2,...)である独立 確率変数列である.このとき,次のことが成り立つ.
(a)Σσ1<。QならばΣX,は概収束する
k= 1 k=1
(b)あるK∈[0,00)が存在し,任意のnとωに対し1臨@)1≦Kが成り立つとき,
Σ&が概収束するならばΣσ1<。。となる.
k= 1 k=1
ろ={の,Ω},鑑=σ(x、,x2_, x。)
3.L2において有界なマルチンゲール
36
Mo=0, Mn ・・ X、+X2+…+Xnと定義して,
An一Σ・z, Nn−Ml−An
k=1
とおく.
[(a)の証明]定義よりMはマルチンゲールになり,
E[(Mk 一 Mk.、)2]=E(x2)=σZ が成り立つ.(3.1)より,
れ ハ
E(Ml)一E(蛸+Σ珂(M・一Mk一・)2]一Σσ舞
k=1 k=1
となる.従って,Σσ1<OoならMはし2において有界1こなるので, lim畝はほとんど確 丁る→OQ
k=1 実に存在する.
[(b)の証明]XkはJPIk−1と独立だから,
珂(Mk−M、一、)・1」・Tk.、]一二X忽.、]一E(xZ)一・量 となる.一Mk−1は.7 Tk_1一可測だから,
σZ=珂(Mk一一Mk.、)21五.、]=E[Ml lfk.、トM2.、
となり,
珂.M2−Aん1ゐ.、]=M9.、一Ak一、,・.・.
を得る.よって,Nはマルチンゲールである.
c∈(0,00)を任意に選び固定し
T=inf{γ・:1Mr l>c}
と定義すると,Tは停止時間で,定理2.3より,NTはマルチンゲールとなる.
よって,任意のηに対し
E(NT.n)=E(MT.n2)一E(AT.n)=o が成り立つ.
そして,T<OQならIMT−MT一,1 =IXT 1≦Kだから,任意のnに対しIMT〈n l≦K+Cと なる.T=○○のときもIMT〈。1 :IM。1≦IM。 1+1x。1≦K+cとなり,任意のnに対し E(AT.。)≦(K+・)2
となる・また,仮定よりΣ臨がほとんど確実に収束するので,その任意の部分和は有界で んコユ
ある・従って,あるM(ω)?oが存在し,任意のnに対し れ
1Σx・(ω)1≦M (・)
k=1
が成り立つことから,P(T=○○)>0となるような。>0が存在する.なぜなら,もし任意の
。>0に対しP(T=○○)=0と仮定すると,
P(T〈Oo)=1 (**)
となる,そこで(*)と(**)を同時に満たすωを固定すると,ある番号IVo(w)がとれ,
も
1Σx・(ω)1>・・
、kニ1
cは任意なので,c>Mとなるように。をとると
む
1Σx・(ω)1>M kニ1
となり,(*)に矛盾する.ゆえに,P(T<Oc)<1.
一方,
An =E(An)= E(An;T<○○)十E(An;T=OQ)
= E(A.;n≦T)十E(An;n>T)十E(An;T=OQ)
= E(AT〈n i n≦T)十An P(n>T, TくOQ)十E(AT〈n;T=Oc)
より,
E(AT〈n;n≦T)→一E(AT〈n;T=○○)
An≦
1−P(n>T,T<○○)
E(AT〈n;Ω)
≦
1−P(n>T,T<○○)
(c+K)2 ≦
くOQ l−P(T<○○)
となり,瑞は収束する, □
3.L2において有界なマルチンゲール
38
3.2 Kolmogolovの3級数定理
定理3.3(Kolmogolovの3級数定理)X1,X2,_を独立確率変数列とする.このとき,
ΣXnが概収束するための必要十分条件1ま,あるK>0が存在し,次の三つの条件力減
れコユ
り立つことである.
(1)ΣP(lx。1>1・ )<・。
n二1
(2)ΣE(X5)が収束する
πご
(3)Σv・r(x5)<・。
こ還
x5(ω)一{劉1鋼ξ憂;
この定理を証明するためには,次の補題が必要である.
補題3.4 (X。)は独立確率変数列で,あるK∈[0,00)が存在し,任意のnとωに対し lXn(ω)1≦Kが成り立つとする.このとき,
ΣXnが概収束するならばΣE(X。)}ま収束し,Σyαr(Xn)<○O
n=1 n==1 n=1
となる.
[証明]E(Xn)=0なら定理3.2(b)と同じである. E(Xn)≠0のとき,(Ω,∫,一P,(Xn:n∈N))
を(Ω,∫,P,(X.:n∈N))と同じ確率空間,確率変数とする.そして,
(st ,一 ,P ) 一= (st,f, P) × (st, J7, P),
ω*=(ω,c))∈Ω*に対し
XX (tu ) : Xn (W)) Xfi (LV*) == Xn (C2>), ZX(ca*) = XX (CV*) 一 XX (LV*)
と定義する.このとき,(XX:n∈N)∪(驚:n∈N)は(Ω*,.7 *,一P*)上の独立な確率変数列
であり,X寛とX拷のP*に関する分布は,X。のPに関する分布と同じである.すなわち,
一B∈β(R)に対し
P*((XX)一i(B))=P(Xn i(B))) P*((一]il:)一i(B))=P(X.一i(B))
となる。
(Zn:n∈N)は,任意のnとω*に対しIZl(cv*)1≦2Kである(Ω*,ア*,P*)上の平均0の 独立な確率変数で,
Vαr(zM* n)=2σ蒐 となる.ここで,鴫=Vαr(Xn).
σ一{ω∈Ω・ΣX・(ω)は収束する}・a一{cl) G si・Σ瓦@)は収束する}
n =1 n:=1
とすると,P(G)=♪(δ)=1なのでP*(G×δ)=1である.ところが,Σ町ω*)1まσ×δ n=1
上で収束するので
P*(Σ Zliは秘する)=1 n=1
を得る.よって,定理3.2(b)より
Σσ萱<・。
n= 1
となり,定理3・2(a)よりΣ{X。 一E(Xn)}は概収束する・X。 一E(Xn)は平均0の独立な n=1
確率変数なので
E[{Xn m E(Xn)}2]=σ言.
仮定よりΣXnは概収束しているので,ΣE(Xn)は収束する. □
n=1 n=1
[定理3・3の証明](必要性)Kを任意の正数とする・ΣXnは概収束しているので, Xnは n=1
0に概収束し,
{w : lim X.(w n−oo)一・}⊂U∩{ω・1Xn(ω)1≦K}
m=1n=m が成り立つので,
P(U∩{1X・1≦κ})== 1・
mニln=m ,よって
P(∩U{1淵〉κ})=・ o・
mニ:1n=m
3.L2において有界なマルチンゲール
40
ゆえに,Borel−Cantelliの第二定理の対偶より
Σ 一P(lx。 1>K)〈・c n=1
となり,(1)が成り立つ.
U∩{ω:IXn(ω)1≦K}∋ωに対し,ある番号noがとれ, IXn@)i≦K(n≧no)が
mニln= m
成り立つ・ゆえに,踏=&(n≧no)となる・従って,Σ踏は概収束し,ネ甫題3・4より n= 1(2),(3)が成り立つ.
(十分性)(1),(2),(3)を満たすIs >0が存在したとすると,
くンつ
ΣP(Xn≠踏)一ΣP(1x。1>一κ)<。・.
n==1 n=1
Borel−Cantelliの第一定理より
P(∩u{x・≠x5})一・・
m=1n=m ,よって
P(∪∩{Xn一踏})== 1 mニ1n=m
となる.
U∩{Xn = X.K}∋ωである任意のωに対し,ある番号noがとれて, X.=X5(n≧no)
m=ln=7n
となる.よってΣ踏が概収束することを示せばよい.踏=踏一E(X−ls n)とおくと,(2)
れコユ
が成り立っているので,YnKが概収束することを示せばよい.ところで, Y.Kは平均0の独立 確率変数なので,
珂(踏)2]=v・r(x5).
(3)よりΣ畷は概収束しているので,十分性は示された □
n=1
3.3 Kolmogolovの大数の強法則
私たちは次のようなことを経験的に知っている.公正なコインをn回投げる.このとき,
表または裏が出た回数を投げた回数で割った相対度数は,投げる回数ηを大きくすると告に 近づく.あるいは,公正なさいころを投げるとき,ある目が出た回数を投げた回数で割った相 対度数は,投げる回数を多くするときに近づく.このことはKolmogolOVの大数の強法則に
よって,理論的に説明できる。
定理3.5(K:olmogolov大数の強法則) X1,X2,. は,同一分布の独立確率変数で,
E(IXk 1)〈○○(k=!,2,_)とする.このとき,
pa = E(Xk) , Sn = Xi + X2 + + Xn
とすると,
童
一 pa ) a.s.n
となる.
表を1,裏を0として,(stn, ・Zn, Pn)を
1・
stn = {O, 1}, 」i n = P( fln), Pn ({O}) = Pn ({1}) = S
の確率空間とする.そして,
(st7−7 P) = ll (stn, fn, Pn)
nEN
と定義する.Ω∋tU一:(ω1,ω2,..),@∈{0,1})に対しX。(ω)=ωnと定義すると,(X。)は
同一分布の独立確率変数で
1
pa = E(Xn) == S (n = 1, 2, …)
である.このとき,
Sn = Xi + X2 + + Xn
と定義するとSnは表の出た回数を表わしている. Kolmogolov大数の強法則より 童→μ,。.s.
n
ゆえに,表の出た回数を投げた回数で割った相対度数は圭に近づく.さいころ投げの場合も 同様に,ある目が出た回数を投げた回数で割った相対度数は,きに近づくことが示せる.
3.L2において有界なマルチンゲール 42 K。lmog・1・v大数の強法則を示すのに,次の4つの補題が必要となる.
補題3.6(Ceshroの補題){bn}雛1は, bn>0,bn↑○○である実数列,{Vn}雛1は収束 列で,その極限をv。。とする.このとき,
zi ill.li,(bk m bk−i)vfo . voo
となる.ただし,bo=0とする,
(n.oo) (3.3)
[証明]ε>0に対し,番号Nを次のようにとる.
vk 〉 v.. 一e (k 〉一 N)
このとき,
1甑書(b・一b・一・)・k≧1脚f{辞書(b・ 一・b・一・)vk+転云6N@QQ−E)}
〉一 voo−e.
εは任意なので,
1鯉f毒書(b・ 一・b・一・)・・≧v・・
同様に,
lilli−1 s.Up ill S. 1,(bk 一 bk−i)vk fll v..
となる.ゆえに,(3.3)が成り立つ.
B
補題3.7(Kroneckerの補題){bn}盤1を, bn>0,bn↑○。である実数列,{xn}雛1を実 数列とし,s. =: x1 + x2+…+Xnとする.このとき,
璽 が収束するならば lim曳=0
Σ
n→。・bn bn
n=1
となる.
闘賜 Rとおくと,…諏備在L,
生
ZLn 一 ZLn−1 =:
bn
である.そして,
れ れ
Sn一Σ6・態噸一・)一b。・n一Σ(bk−bk一・)ILk一・
k=1 k=1
だから,Cesdroの補題より