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Jordan 標準形

ドキュメント内 線 形 代 数 学 (ページ 164-168)

第 9 章 2 次曲線と 2 次曲面 136

11.2 Jordan 標準形

ゑに,c1 =· · ·=crν = 0. 以上から rν rν1 もわかる. 従つてrν1−rν 個の vectors arν+1,

· · ·, arν1 が存在して, W2) の基にNa1, · · ·, Narν, arν+1, · · ·, arν1 を付け加へたものが W1) の基になる. すなはち

(11.2.8) W1) =hNa1,· · · , Narν,arν+1,· · ·,arν−1i ⊕W2). 従つて, 上と同様にして

N2a1, · · · , N2aν, N2arν+1, · · · , Narν1 ∈W2) は 1 次独立であり, かつ,

hN2a1,· · · , N2arν, Narν+1,· · · , Narµ1i ∩W3) ={0}

であることがわかる. よつて rν1 rν2. 以下同様にして rν rν1 ≤ · · · ≤ r1 で, vectors a1, · · ·, ar1 を適当に選べば

(11.2.9) W(i) =hNνiari+1+1,· · · , Nνiarν,· · · ,ari+1+1,· · ·,arii ⊕W(i1) となることが証明される. これらのvectors の全体

[

1iν

{Nj(ak)|0≤j ≤ν−i, rν + 1≤k ≤rν1} は, 10.1.4 と 11.1.5(2) により,V の基を与へる.

W(ν)の基

W(ν−1)の基

W(2)の基

W(1)の基 Nν−1a1,· · ·, Nν−1arν Nν−2arν+1,· · ·, Nν−2arν−1 · · · Nar3+1,· · ·, Nar2 ar2+1,· · ·,ar1

Nν−2a1,· · ·, Nν−2arν Nν−3arν+1,· · ·, Nν−3arν−1 · · · ar3+1,· · ·,ar2

· · · · · ·

Na1,· · ·, Narν arν+1,· · ·,arν−1

a1,· · ·,arν

さてri+1+ 1≤j ≤ri に対し haj, Naj, · · · , Ni1aji は明らかに N で安定な部分空間であ る. この基の順序を逆にしたものに関して N を行列で表現してみると

N(Ni1aj, Ni2aj, · · · , aj) = (Ni1aj, Ni2aj, · · · , aj)

0 1 0 0 1

. .. ...

0 1 0

となる. 従つて上の図に並んだ vectors のうち最左列にあるもの(ν 個)を下から上の順に並 べ, その次に, 第 2 列にあるものを下から上の順で並べ, これを最右列まで行なつて得られた

vectorsの組を基とすれば,対応する表現行列Aは所望の形になる. このとき,得られたJordan

行列は, 定理の主張の中の条件n1 ≥ · · · ≥nr を満たしてゐる.

(一意性)いま, NV のある基に関して別の Jordan 行列を表現行列に持つとせよ.(記号を

節約して)それを (11.2.6)の右辺の形であるとせよ. ここで n1 ≥ · · · ≥nr であるとする. この とき, その基をなすvectorsのそれぞれが N により写る様子を見れば,これまでに現れたν,ri, mi 等がすべて, (11.2.6)の右辺,特に n1,· · ·, nr のみから定まることがわかる. 例へばν =n1

補題11.2.10 線形変換 T の相異なる固有値のすべてからなる集合を 1, · · · , λr} と する. 各 i について TWf(λi, T) の線形変換と見做したものを Ti とする. また IiWf(λi, T) の単位変換 (恒等写像)とする. このとき T =T1⊕ · · · ⊕Tr であつて

T 1I1 ⊕ · · · ⊕λrIr) は羃零変換である.

証明 前半は 11.1.5に他ならない. 準固有空間の定義から Ti−λiIi は fWi, T)の羃零変換で, T 1I1 ⊕ · · · ⊕λrIr) = (T1⊕ · · · ⊕Tr)1I1⊕ · · · ⊕λrIr)

= (T1−λ1I1)⊕ · · · ⊕(Tr−λrIr) となつてゐるから, 結論を得る.

定理11.2.11 V の線形変換T の相異なる固有値のすべてを1, · · · , λr} とする. T は 適当な基に関して次の形の行列により, 直和の順序を無視すれば一意的に, 表現される

A=J(λ1, n11)⊕ · · · ⊕J(λ1, n1m1)

| {z }

固有値がλ1

⊕ · · · ⊕J(λr, nr1)⊕ · · · ⊕J(λr, nrmr)

| {z }

固有値がλr

. またT の最小多項式は Ni = max{nij|1≤j ≤r}として, 次式で与へられる :

µT(t) = Yr i=1

(t−λi)Ni.

証明 11.2.10 の証明により, V の直和分解 V =

Mr i=1

Wf(λi, T)に応じて, T (λ1I1⊕ · · · ⊕λrIr) =

Mr i=1

(Ti−λiIi) (ここに IiWf(λi, T) の単位変換) であり, この直和因子のそれぞれが羃零変換であるから, 11.2.5 により, 適当な基に関して T (λ1I1⊕ · · · ⊕λrIr) の表現行列は J(0, ni1)⊕ · · · ⊕J(0, nimi) の形で表される. ゆゑに Ti =λiIi+ (Ti−λiIi) の表現行列は, Ikk 次単位行列として,

λiI+ J(0, ni1)⊕ · · · ⊕J(0, nimi)

= λiIni1+J(0, ni1)

⊕ · · · ⊕ λiInimi+J(0, nimi)

=Ji, ni1)⊕ · · · ⊕Ji, nimi)

と相似になる. これから所望の主張が従ふ. 一意性は 11.2.5 の一意性からの帰結である. 定義11.2.12 11.2.11 の一意性に鑑み, 線形変換T の表現行列 が Jordan 行列 B に相似 であれば, BT のJordan 標準形と称する. また正方行列 A について TA の Jordan 標

準形が B のとき,BA のJordan 標準形と称する.

最後に 11.2.11を行列の言葉で述べておく.

定理11.2.13 (1) 任意の正方行列AはあるJordan行列 B と相似である. しかも, Jordan 細胞の順序を無視すれば B は一意的に定まる.

(2) µA(t) = µTA(t) ( 10.2.10を見よ) であり, それは Jordan 標準形を構成する Jordan 細胞 の様子から 11.2.11 の様に与へられる.

定義11.2.14 正方行列 A が対角化可能であるとき A は半単純行列であるといはれる.

補題11.2.15 任意の行列 A は次の様な和に一意的に表される.

(11.2.16) A=S+N, S は半単純行列, N は羃零行列, SN =N S.

このとき, S,NAK 係数多項式として表される. 証明 いま A の異る固有値の全体をα1, · · ·, αr とし,

φA(t) = Yr

i=1

(t−αi)ni, fi(t) =Y

j̸=i

(t−αj)nj

とおく. このとき 11.1.5 の証明と同様に

1 = Xr

i

gi(t)fi(t) となる gi(t)K[t] が存在する. いま,

S =X

i

αigi(A)fi(A) (これは AK 係数多項式である )

とおき, fW1, A), · · ·, fWr, A) のそれぞれの基 (列 vectors) を取り, それらを順に並べてで きる正方行列を P とすれば Aj Mat(nj,K) が存在して

AP =P

 A1

. ..

As

 と書け, また(11.1.12) から SP =P

 α1In1

. ..

αsIns



となることがわかる. つまり B =P1SP が対角行列となる. よつてS は半単純である. また N =A−S とおけば

P1N P =P1AP −B =



N1

N2

. ..

Ns



, Nj =Aj−αjInj.

Ni が羃零であるから,N も羃零である. 次に一意性を証明する. A=S+N =S+N と 2 通りに分解されたとせよ. 仮定により SN =NS であるから, SNA と可換であり, さらに A の多項式であるSN とも可換である. 10.3.6 より SS は同時に対角化される から S−S は半単純であり, 10.5.7 によりN−N は羃零行列である. いま S−S =N−N で あるから10.5.12により S−S =N−N =O,即ち S =S, N =N でなければならない. 演 習 問 題 11.2

11.2.17 上の 11.2.15 において, A の Jordan 標準形を J とし, J =P1AP なる正則行列 P を取り, さらにJ の対角成分の1 つ上の 1を(存在すれば)すべて 0 に置き換へてできる対 角行列を B とするとき,

S =P BP1, N =P(J−B)P1

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