ILDカロリメータで実装されるASICは、SKIROC2の次のバージョンであるSKIROC3 が予定されている。SKIROC3に対して今回の研究から2つの改善を要求をする。1つ目は、
プレアンプ部分の改善である。現状、高エネルギー部分で飽和を起こしているため、測定可 能にする必要がある。2つ目は、S/N向上に向けてのノイズ源の改善である。アナログメモ リー部分でもノイズ幅がばらついていることが確認された。メモリーセルを有効に使うため には改善する必要がある。
また、S/N向上の案として現在Si-W ECALで基本として研究が進められている320µm 厚のシリコンから500µm厚のシリコンに変更することが考えられる。シリコンから出てくる 電荷量はシリコンの厚みに比例するため、この厚みを変更することによってシリコンから出 てくる電荷量は約1.5倍となりS/Nは十分目標値を満たすことができる。現在、厚さ500µm のシリコンに変更した際のシリコンの特性研究も九州大学で進められている。
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第 6 章
まとめ
ILDシリコン電磁カロリメータでシリコンからの読み出しに使用するために開発が進めら
れているASIC、SKIROC2について、評価基板を用いての性能評価、電磁カロリメータ試作
機に実装しての性能評価を行った。
テストボードにおける性能評価では、2つのSlow Shaperのアナログ部とデジタル部で線 形性を確認し、プリアンプにおいて1800 MIP以降は飽和が起こっていることも確認した。
トリガー部においては、1 MIPあたりS/N> 10が目標値であるところ、ほぼ全てのチャン ネルがS/N = 8.5-9.0 の間を推移していることがわかった。また、Slow ShaperのS/Nにつ いても調査し、S/N= 8.62 ± 0.06という結果を得た。これらの測定は、ILC稼働時の設定 であるfeedback capacitorが6.0 pFの際の結果である。
SKIROC2を実際に搭載した実機における性能評価では、QFP版のSKIROC2を搭載し
たFEV8 試作機、BGA版SKIROC2を搭載したFEV10試作機について、それぞれビーム
試験を行い、また、COB版の試作機については、テストパルスを用いた性能評価を行った。
320µmシリコンセンサーのMIP信号に対するS/NはそれぞれS/N = 22.2 ± 0.04(Cf=1.2 pF)、S/N = 15.4 ± 0.4(Cf=1.2 pF)となった。テストボードの結果を用いて6.0 pFに換算 すると、QFP版、BGA版、の結果はそれぞれS/N≃8.2、S/N≃5.7となる。この試作機の S/Nは、目標値である10に届いていないものの、センサーの厚みを500µmにすること等に よりILDカロリメータの読み出しシステムとして使用可能な水準を満たす。
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謝辞
本研究を行うにあたり、大変多くの方にお世話になりました。この場を借りて厚く御礼申 し上げます。
指導教員である川越清以教授には、実験を行うにあたっての姿勢、研究に対しての姿勢を指 導していただき、本論文の執筆においても細やかな指導していただきました。また、様々な ビーム試験や国際会議に参加させて頂く等、貴重な経験を数多くさせていただきました。吉 岡瑞樹准教授には、研究に関する相談に乗って頂いたり、研究外においてもアウトリーチ等 でお世話になりました。東城順治准教授には、面白い話を聞かせて頂いたり、研究以外の面 において相談にも乗っていただきました。末原大幹助教には、本研究テーマを提案して頂い たことをはじめ、ビーム試験や日々の研究生活のなかで直接指導していただき大変お世話に なりました。本論文を作成する上でも多くの助言をいただきました。音野瑛俊助教、織田勧 助教、山口博史博士研究員には、様々な場面においてアドバイスを数多くいただきました。
須藤裕司特任助教においては、CERNでのビーム試験をはじめ、数多くのことを直接指導し ていただきました。
大石航氏、中居勇樹氏、調翔平氏、富田龍彦氏には、研究室の先輩として模範を示していただ きました。同輩にも恵まれ、住田寛樹氏には、同じILCグループの一員として多くの議論を 交わすことができました。高田秀佐氏には、日常生活での高田節に大いに驚かせられ、楽しま せてもらいました。藤山翔乃氏、長澤翼氏、長島寛征氏、角直幸氏、田中聡一氏、Darnajou
Mathieu氏には、日常生活での議論をはじめ、ちょっとした息抜きの際にも付き合っていた
だき、楽しく研究生活を送ることができました。研究室の後輩である野口恭平氏、森下彩氏、
真玉将豊氏にも大変お世話になりました。野口氏には、論文執筆の際に助言をいただきまし た。森下氏には、研究生活のなかで持ち前の明るさや笑顔に助けられました。真玉氏には、
熱心に研究に取り組む姿勢には良い影響を受けました。上野和輝氏、伊藤拓実氏、古賀淳氏、
斉藤貴士氏、白濱脩太郎氏、関谷泉氏、山城大知氏には、研究に対し熱心に取り組んでいる 姿に刺激を受けることができました。特に古賀氏には、本論文の校正を手伝っていただきま した。また、先端素粒子物理研究センターの重松さおり氏をはじめ物理事務の方々には、研 究に集中できる環境を整えていただきました。
LALやLLR他、九大外の研究 機関の方にも大 変お世話になりま した。LLRのVincent Boudry氏、Vladislav Balagura氏にはCERNで行ったビーム試験の際に議論を交わした
79 り 、解 析 や Si ECAL の 構 造 に つ い て 様 々 な 助 言 を い た だ き ま し た 。Omega のStephane Callier氏 に は 、フ ラ ン ス に 行 っ た 際 に SKIROC2 に つ い て 様 々 な 助 言 を い た だ き ま し た 。 LALのRoman P¨oschl氏 には 私 が Paris Sud大 学に 訪 問し た 際に 直 接 指導 し てい た だき 、 日々議論しながら進めていくことで楽しみながら研究することができました。信州大学の竹 下徹氏、小寺氏には、会議などでお会いするたびに多くの助言を頂きました。その他多くの 方に本当にお世話になりました。皆様のおかげでこれまで研究を進めることができました。
改めて感謝申し上げます。
最後になりましたが、これまでお世話になった家族と友人に感謝いたします。