BGA 型 で 実 装 を 行 な っ た 電 磁 カ ロ リ メ ー タ 試 作 機 (FEV10) に つ い て 2015 年 11/2 -11/16の 約 2週 間 CERNのSPS(Super Proton Synchrotron)加 速 器 の H2 ビ ー ム を 用 い て行なった。FEV8からの改善点としては、シリコンチャンネル数の増加(1スラブあたり 1024チャンネル)、BGA型SKIROC2の実装、アフターパルスの改善が施されている。ま た、配線長がQFPより短いためFEV8よりもS/Nが高いことが予想される。
4.2.1 測定系
図4.17,4.18がシリコン検出器のセットアップである。ビーム上流からFEV10が3枚置か
れている。
図4.17 セットアップの外観。ビームは左手前か ら右奥へ流れる。
図4.18 検出器の配置図。矢印はビーム方向 を表す。
DAQ
本実験で使用するFEV10は図4.19のような外観をしている。1スラブあたり1ピクセル 5 mm、全256チャンネルのシリコン半導体を4 枚搭載している。そして、計1024チャン ネルを16個のSKIROC2で読み出している。読み出しは図4.20となっている。DIF、CCC を使用するという点で2014年の読み出しと同じであるが、本ビームテストでは、LDAの代 わりにGDCCを用いている。
• GDCC (Gigabit Data Concentrator Card)
複数のDIFとPC、CCC間のデータとコマンドを仲介する装置。LDAよりもパケッ トロスが少ない。
チャンネルマスク
FEV10は、シリコンのチャンネル数分SKIROC2の読み出しが割り当てられているため、
マージしたチャンネルによるマスクは行っていないが、どのASICも37ch のみノイズが高
4.2 BGA型SKIROC2実装試作機性能評価 65
図4.19 FEV10。
図4.20 読み出しの概略図。実線がデータの流れ、破線がclockとspillの流れを示している。
かったため37chはマスクを行った(図4.21)。
4.2.2 SPS H8 beam
SPSの H8 ビ ー ム ラ イ ン は 、North Areaに 位 置 し 、運 動 量 10 - 400GeV/cの 電 子 、ハ ド ロ ン 、ミ ュ ー オ ン の 混 合 ビ ー ム を 出 す こ と が で き る ラ イ ン で あ る 。SPS か ら 出 る 400
-450GeV/cの運動量を持った1次陽子ビームがT4のターゲットに当たることで2次ビーム
を生成してH8に送っている(表4.3)。
本実験では、吸収層の役割をする8.4X0 のWと300 mmのFe が置かれている。本解析 では、吸収層によるシャワーの影響がほとんどなく貫通してくると考えられる150 GeVの muonデータを用いて解析を行った。解析は、3枚のスラブの内、一番前にあるスラブの16 枚あるうちの一番統計の多い中心付近のchip12を用いて行った。
66 第4章 電磁カロリメータ試作機でのSKIROC2性能評価
図4.21 FEV10のチャンネル配置図[7]。
Parameter T9
Momentum range [GeV/c] 10-400
acceptance [µsr] 1.5
max ∆p/p[%] 2
Beam height above floor [m] 2.46 Particle intensity [/spill] 2×108
Particle type electron,hadron,muon
表4.3 H8のビームパラメータ。
4.2.3 ペデスタル評価
ペデスタルは、メモリーが0番目でトリガーがかかっていないものを、チャンネル毎にガ ウス関数でフィットし中央値とσ を算出した。ペデスタルのピークが2つあったため、ピー クの大きい方を採用し計算した。なぜピークが2つあるかは、現在グループ内で調査中であ る。中央値は各チャンネルごとに大きな差は見られなかった。σ の値は、4∼5の間でばらつ いている(図4.22, 4.23)。これは、QFP版よりもばらつき方が大きい結果であった。原因と
しては、FEV10はFEV8とは異なりスラブに対してシールドを完全には施していないため
に入ってくるノイズによる影響が可能性の1つとしてあげられる。
4.2 BGA型SKIROC2実装試作機性能評価 67
channel
0 10 20 30 40 50 60
ADC
0 50 100 150 200 250 300 350 400
図4.22 各チャンネルのペデスタルをガウス関数 でフィットした時の中央値。
0 10 20 30 40 50 60
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
図4.23 各チャンネルのペデスタルをガウス 関数でフィットした時のσ。
4.2.4 MIP 信号
150 GeV muonがシリコン検出器を通過する際に検出器に落とす MIP信号を解析した。
解析手法は、QFP版のものと同様であるが以下に記している。
解析手法
MIP信号を見る為にHigh gain ADCにカットをかけることで導出した。カット条件は、
以下の通りである。
• chip12にトリガーがかかっている。
トリガーイベントを選定
• メモリーセルの0番目をとる。
後 段 の メ モ リ ー セ ル に は 、エ ラ ー ヒ ッ ト が あ っ た た め 一 番 最 初 の メ モ リ ー セ ル を 選 んだ。
• ADC値が0以上
ランダムで入って来る0イベントの排除。
MIP分布
図4.24は、先に述べたカットを各チャンネルにかけた後チャンネル毎にMIP信号の位置 からペデスタルの位置を引いて64chすべて足し合わせたものである。MIP信号にはランダ ウ関数でフィットを行い、1MIPあたりのゲインに相当するMPV = 62.71 ± 0.16を得た。
これは、QFP版の値より低い結果であった。この原因については、現在調査中であるが、エ レクトロニクスによる電荷吸収などを考えている。
68 第4章 電磁カロリメータ試作機でのSKIROC2性能評価
MIP
Entries 17199
Mean 99.34
RMS 71.69
/ ndf
χ2 74.59 / 62 Constant 2169 ± 30.2 MPV 62.71 ± 0.16 Sigma 6.878 ± 0.108
100 200 300 400 500 600
0 50 100 150 200 250 300 350
400 MIP
Entries 17199
Mean 99.34
RMS 71.69
/ ndf
χ2 74.59 / 62 Constant 2169 ± 30.2 MPV 62.71 ± 0.16 Sigma 6.878 ± 0.108
図4.24 150 GeV muonのMIPヒストグラム。ランダウ関数でフィットした。
4.2.5 S/N 評価
S/NもQFP版と同様に式4.1で算出した。誤差は統計誤差を見積もっている。本実験で のfeedback capacitorも1.2 pFに設定している。QFPより誤差が大きい理由は、ノイズ幅 のばらつきが大きいことに起因している。
S/N = 15.4±0.4 (4.3)