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HUD 視認実験の考察

ドキュメント内 電気通信大学大学院 情報システム学研究科 (ページ 92-95)

第 4 章 複数情報を提示した場合のドライバへの影響

4.2 HUD 視認実験

4.2.3 HUD 視認実験の考察

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したがって,実験参加者は「HUD タスク中」は明らかに視認タスクを優先し,

HUD 刺激の表示数にかかわらず速度調節のためのアクセルペダル操作はあまり行 われず,HUDタスクを実施していないときに速度制御を行っていると推測された.

通常の先行車追従時の速度制御とは異なる傾向が現れていると考えられる.

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図 4.8 実際の垂直方向上下6度の背景

HUDの視認性に影響を与えるコントラスト比rを,スクリーンの背景輝度およ びHUD輝度を用いて下記式により求めた結果,水平線の上部分(天空部分)で約 4,下部分(道路部分)で約7という値となった.

r=(HUD輝度+背景輝度)/背景輝度

実環境におけるコントラスト比についての実測値について述べる.1 月の晴天 日,視界良好なテストコースにおいて13:20から15:30まで5分おきに,2次元色 度輝度計(KONICA MINOLTA CA-2500)を用い,図 4.8に示す水平位置(0 度), 上下3度,上下6度の5点(図中の○印で示す)を測定し,視野角1度分の値を平 均して背景輝度を求めた.同時に照度計(KONICA MINOLTA CL-500A)を用いて 天空照度を計測した(図 4.9).

図 4.9 背景輝度(左軸)および天空照度(右軸)

0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000

13:20 13:30 13:40 13:50 14:00 14:10 14:20 14:30 14:40 14:50 15:00 15:10 15:20 15:30 照度(lx)

輝度(cd/m2)

Time

上6度 上3度 中央 下3度 下6度 天空照度

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HUD輝度について実勢値を考慮して5,000 cd/m2(緑色単色)と仮定し,HUD輝 度と背景輝度求めたものを図 4.10 に示す.このとき背景輝度に関しては車両の窓 ガラスの透過率0.7を考慮して計算した.DS実験のHUD輝度と背景輝度からコン トラスト比を算出したものも図の右側に示す.時刻によってコントラスト比は変化 するものの,天空部分においては約 2,路面部分においては約 4~9 という値とな った.背景輝度は季節,天候などにより変化するものの,DS 実験と比較して,路 面部分においてはほぼ同等のコントラスト比,天空部分においてもコントラスト比 がDS実験時4程度のものが実際の屋外環境では2程度となるもののHUDを認識 するには十分なコントラスト比[4]が確保されていると考えられる.ただし,現実の 使用状況においては,天候や時間帯によってコントラスト比が変化することとなる.

実車において,コントラスト比の変化がHUDの視認性に与える影響についてはさ らに詳細な調査が必要である.

よって,垂直位置+6 度と-6 度の間,また,+3 度と-3 度の間における反応 時間に差がなく,上下とも6度と3度の表示位置の間に反応時間の差があったとい うことは,コントラスト比の影響ではなく表示位置による影響であると考えられる.

図 4.10 HUDと背景輝度のコントラスト比

(4)運転操作への影響

図 4.6を見ると,高速道路と市街地ともにHUDタスク中のアクセルペダル操作

は,HUD タスクの合間の走行中のアクセルペダル操作よりも小さかった.このこ とから HUD タスク中は速度調整があまり行われず,HUD タスクの合間の走行中 に補完されていると考えられる.二重課題に関する先行研究[5][6]では,片方の課

0 2 4 6 8 10 12 14

13:20 13:30 13:40 13:50 14:00 14:10 14:20 14:30 14:40 14:50 15:00 15:10 15:20 15:30

コントラスト比

時間 上6度 上3度 中央

下3度 下6度

0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00

DS

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題に集中しているともう片方の成績が低下する傾向があることが明らかにされて いる.今回のHUDタスクは逐次探索モデルが適用できたことから,HUDの情報取 得にある程度注意が向けられていたと考えられる.その結果,本来アクセルペダル 操作に充てられるべきドライバの注意が HUD タスクに向けられたと考えられる.

なお,カーブ走行時にHUDに課題を提示した場合,応答時間が遅れるという研 究結果[7]もあり,実際の運転行動では,本実験とは逆にHUDの視認よりも運転操 作に注意が多く割かれることも考えられ,運転操作への影響についてはこの注意の 配分がどう行われるかが影響する.

(5) 実環境との違い

今回のDS実験のHUDと通常に使用されているHUDとの間で異なる点として,

通常のHUDはドライバのアイポイントから前景までの距離とHUDまでの距離が 異なることがあげられる.このため,目の焦点調節が生じ,HUD の視認時間が今 回の結果よりも長くなる可能性がある.ただし,晴天の実環境では周辺照度が室内 よりも高いため,ドライバの瞳孔径が小さくなることにより,いわゆる「被写体深 度」が深くなり,焦点調節の負担は大きくない可能性も考えられる.今回の実験で はHUDの表示数や位置の影響を調べることが主な目的であるため,目の焦点調節 に要する時間の問題は考慮していない.これらの影響を調べるためには,別の実験 条件を設定する必要がある.

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