• 検索結果がありません。

4. ビジネスモデルの策定

4.2 ビジネスモデル例(あげるから・・来てよ)

4.2.2 Gift マネーの流通

流通については、個別のビジネスモデルにおける対象と目的に応じて手段や金額が異な ると考えられる。(表 4-4および表 4-5参照)

流通対象については、Giftマネーを貰える店舗や付与施設の近接に対象者がいるかいな いか、相手が特定か否かどうかで最適な流通経路が変わってくる。

また、流通目的についても、例えばテーマパークまで来園(来店および購買)させるこ とを目的にした場合、小額マネーの配布でブランド認知してもらうだけでは効果がなく、

またGiftマネーの提供者にブランド力があればその必要性もない。場所と時間に使用限定 を加え費用対効果が見込める一定レベル以上のマネーの配布が効果的なマネーの流通とい える。以下、テーマパークを例に取り、具体的なマネーの流れについて、流通シーン別の 最適な技術の活用(表 4-6)をふまえて考察する。

 

表 4-4 流通対象について

 特定(会員) 非特定(匿名) 

近接 店頭に通りかかったら配信 店頭で非接触通信(配信) 

リモート 登録メルアドにURLを配信 紙媒体等で 2 次元バーコード のURLに接続して配信   

表 4-5 流通目的について

ブランド認知 マネー付与時にロゴの表示  来店 使用限定(場所・時間) 

購買 購買を促進する金額の提供   

(1) Giftマネーの流通方法について

本項では、テーマパークを例にした「あげるから来てよ」モデルでのGiftマネーの流通 方法の詳細について解説する。

 

A. Giftマネーの付与

近接した対象については、提携する店舗やコンビニ等の店頭での配布(1,000 円相当)

が考えられる。ただし、混雑したレジ等での赤外線通信は手続きが面倒なため、高速な非 接触型が適していると考えられる。また、広く流通させるためには、テーマパークの記事 を掲載した雑誌やチラシ等に2次元バーコードを印刷し、購入者が携帯電話のカメラでこ れを撮影し内蔵するプログラムでデータに復元し、これを元にアクセスしたサイトでダウ ンロード(1,000円相当)する等が考えられる。ただし、同一携帯電話には 1回限りのダ ウンロード等のコピー防止措置が必要。また、提携サイト等の景品として不特定多数を対 象にネット経由で配布する場合、コスト負担は折半もしくは提携先負担が妥当である。会 員制の各メンバーに対して実施する場合は、認証後相手の取引内容に合わせて自由に金額 を設定できるような機能を盛り込むことも可能である。

B. Giftマネーの利用

テーマパークの施設内でGiftマネーの利用シーンを想定すると、ギフトショップや出店 のポップコーン等、列ができて待たせることができないような場面に適しているのは、高 速さを生かせる非接触に軍配があがる。それに対して、やはり赤外線通信は時間と手間が かかるため、高速な処理に向かない。また、マネー情報から2次元バーコードを生成して、

専用リーダに読ませるという発想はあるが、現実的ではない。モバイルEコマースとして は時間と場所を選ばない利点があり、ネットで前売りチケットや時間がなくて選べなかっ たギフトの購入に充当することができる。また、残高として残った小額なマネーであれば、

テーマパークオリジナルのコンテンツやサービスの利用に使える。

C. Giftマネーの転々流通

1,000円程度のマネーを大規模に流通させることを想定すると、1人ひとりは 1,000円

であっても、これを合算することができれば青天井になってしまう可能性があり、数人の マネーを集めて、ほとんど無料でご招待ということにもなりかねないので、個人間の転々 流通においては、利用限度額を設定することも検討する必要がある。転々流通を行う手段 としては非接触通信または赤外線通信が適していると思われる。特に赤外線通信は、個人 間の通信において携帯電話同士であれば別途リーダライタがいらないため、コストレスで 流通させることができる。また、当事者同士が向かい合って時間をかけることから「あげ る」「もらう」というリアルなシーンとも違和感がない。オンラインでの転々流通につい ては、サーバ管理型で決済事業者が管理可能な場合、銀行のネット振込の要領で他人に転々 流通(振込)させることができる。

あくまで譲渡が基本であり、換金事業者等への転売は来店・購買という流通目的と合致 しないため制限を加えるべきである。

D. Giftマネーの換金 

テーマパーク施設内で使い切らなかったマネーについては、施設内の機器との決済履歴 をもった後、ネットワーク経由で限定解除の手続きを経て、施設内外の換金事業者で非接 触型によってスピーディに換金することが可能となる。

 

表 4-6 流通シーンと流通手段

  非接触型 赤外線通信 2次元バーコード オンライン 

付与  テーマパーク関連店舗の 店 頭 で 配 布 (1,000円 相 当)。 

テーマパーク関連店舗の 店 頭 で 配 布 (1,000円 相 当)ただし、手続きが面倒。

テーマパークのファン層の雑誌購入者にはバーコードで アクセスしたサイトでDL(1,000円相当)ただし、コピー防 止措置が必要。 

利用  テーマパークの施設内で 利用。高速さを生かせるケ ースとしてギフトショップや 出店のポップコーン等、列 ができて待たせることがで きないような場面に適して いる。 

非 接 触 に対 して 時 間 と 手 間がかかるため、高速な処 理に向かない。 

マネー情報をバーコードで 生成してリーダに読ませる という発想はあるが、現実 的ではない。 

Eコマースとしてネットでチ ケットやギフトの購入に充 当することができる。また、

小額なマネーであれば、コ ンテンツやサービスの利用 につかえる。 

転 々 流通 

合算が青天井になってしまう可能性があるので利用限度 額を設定することも検討。 

現実的でない。 サーバ管理型で決済事業 者が管理可能な場合、銀

転 々 流通 

携帯電話機側にリーダライ タが実装されていれば、非 常に簡便な方法となりうる。 

 

個人間の通信において携 帯電話同士であれば別途 リーダライタがい らないた め、コストレスで流通させる ことができる。 

行振り込みの要領で他人 に転々流通させることがで きる。 

換金  テーマパーク施設内でスピ ーディに利用可能。 

施設内で利用可能だが面 倒なため混雑したシチュエ ーションには向かない。 

現実的でない。 サーバ型 であれば、施設 内の機器との接触履歴を もった後、限定解除の手続 きを経て、施設外の換金事 業 者 で 換 金 す る こ と が 可 能。