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4. ビジネスモデルの策定

4.3 ビジネスモデル例(来たら/回答したらあげる)

4.3.1 ビジネスモデル概要

(1) ビジネスモデル全体像について

「来たら/回答したらあげる」モデルでは、来店・イベント参加・アンケート協力など 利用者による時間や労力の提供の対価として、様々なサービスに利用できるGiftマネーが 付与されることを想定している。また、付与されたGiftマネーを利用して景品、物品、各 種のサービスとのバリュー交換、利用者間での転々流通や現金への換金が可能な仕組みを 提供する。

【来たら/回答したらあげる・モデルの事例】

本項では、具体的なビジネスモデル例として、デパート来店でのGiftマネーの付与を例 に用いて解説する。

デパート来店を例にした場合の「来たら/回答したらあげる」モデル概要を図 4-4に示す。

図 4-4 「来たら/回答したらあげる」モデルでのGiftマネー流通の概要

(2) 各プレイヤーの役割とメリット

デパート来店を例にした「来たら/回答したらあげる」モデルでの各プレイヤーの役割 とメリットについて述べる。また、本モデルにおいてどのような事業者が各プレイヤーの 役割を果たす可能性があるのかについて解説する。

デパート

(リアル/バーチャル)

Giftマネー 決済事業者

Giftマネー 提供者

利用可能店

(リアル/バーチャル) 換金事業者

来店客 知人・友人

転々流通 来店

Giftマネー付与

利用

利用

換金 換金

Giftマネー提供

原資提供 精算

A. Giftマネー提供者

Giftマネーの原資を提供する。

Giftマネー提供者は、Giftマネーを提供することによって、自社商品やサービスを提 供する店舗への来客促進を図ることが可能となる。

提供元となる事業者としては、デパート本体、デパート内のGiftマネー利用可能店ま たはデパートとの広告タイアップなどを行うスポンサーなどが考えられる。

B. Giftマネー決済事業者

Giftマネーの提供・付与・受領・利用・換金の流通全体を管理する。

Giftマネー決済事業者は、Giftマネーが流通することにより手数料等の収入を得るこ とができる。

各事業者に対しては、表 4-8のようなサービスを提供するプラットフォーム事業者と しての役割を担う。

表 4-8  Giftマネー決済事業者の役割

対象 提供されるサービス

Giftマネー提供者 提供された原資をもとに、制限なしまたは制限つき のGiftマネーの流通を提供

Giftマネー付与施設 Giftマネーを付与するためのシステムや機器の提供 来店客またはその

友人・知人

転々流通、利用、換金が可能なGiftマネーの提供 換金事業者 Giftマネーを換金するためのシステムや機器の提供 利用可能店 Giftマネーを利用するためのシステムや機器の提供

C. デパート(Giftマネー付与施設)

デパートへの来店客に対しGiftマネーの付与を行う。

デパートは、来場(店)客の増加と増販を見込むことが出来る。

実際に付与を行うチャネルとしては、デパートの実際の店舗への来店(リアル)とデ パートが主催するECサイトへの訪問(バーチャル)などが考えられる。

D. 来店客またはその友人・知人(Giftマネー受領者)

Giftマネーを携帯電話において受領し、転々流通、利用、換金を行う。

Giftマネー受領者は、デパートへの来店によりGiftマネー利用可能店舗での商品やサ ービスの購入や、換金が可能なGiftマネーを取得することが出来る。

E. 換金事業者

Giftマネーをある一定料率に基づき、現金に換金を行う。

換金事業者は、換金の際に一定の手数料等の収入を得ることができる。

代理店として専門の事業者が運営する場合、デパートが直営で運営する場合や決済事 業者がキオスク端末のようなものでサービスを提供する形態も考えられる。

F. 利用可能施設

Giftマネーを利用して景品交換、物品/サービスを提供する。

利用可能施設は、Giftマネーを利用する来場(店)客の増加と増販を見込める。

Giftマネーの提供元によって、利用可能施設に制限がある場合とない場合が考えられ る。例えば、デパート本体とデパート内の利用可能施設が提供元の場合は、デパート内 だけでの利用に制限されるだろう。また、広告スポンサーからの提供であれば制限が付 く場合と付かない場合が考えられる。

(3) 既存モデルとの差別化

来店客に対してなんらかのバリューを提供するサービスとしては、まずデパート系ポイ ントカードが挙げられる。京王百貨店(京王パスポートカード)や大丸百貨店(大丸ポイ ントカード)など多くのデパート系ポイントカードでは、デパートへの来店に対して「来 店ポイント」を提供している。また、催物会場への来場に対して「ご来場ポイント」や誕 生月の来店に対して「バースデーポイント」などを提供しているデパートもある。多くの 場合、来店ポイントの提供を1日1回に制限し、比較的少額(対価にして5~10円程度)

のポイント提供を行っている。利用可能施設としては、ポイントカードを発行する系列の デパート内の店舗のみとなっているところがほとんどである。

また、イーネット・ジャパンの運営する「いーでじ!!」などのEC系サイトでもサイ トへのアクセスに対して来店ポイントを提供している店舗が、数は少ないが存在する。し かし、ECサイトの場合はリアルのデパートへの訪問に比べて、比較的労力をかけずにア クセスできるため提供する来店ポイントも対価にして1円程度の提供となっている。また、

ポイントの利用は、ポイント発行元のECサイトに限られる。

上記、既存モデルの例を表 4-9にまとめる。

表 4-9 既存モデルの例

分類 具体例 バリュー付与タイミング バリュー利用可能施設 ご来店ポイント リアルのデパートへの来店

ご来場ポイント 催物会場への来場 デパート系

ポイント カード

(リアル) バースデーポイント 誕生月の来店

リアルのデパート店舗 内のみ

EC系サイト

(バーチャル) ご来店ポイント ECサイトへのアクセス ECサイト内のみ

携帯電話を利用したGiftマネーによる「来たら/回答したらあげる」モデルでは、これ らの既存モデルとの差別化ポイントとして来店客(Giftマネー受領者)に対しては友人・

知人への転々流通や換金などのメリットを挙げることができる。またサービス提供者側

(Giftマネー提供者、Giftマネー決済事業者、Giftマネー付与施設、換金事業者、利用可 能施設)にとっては電子的にバリューが流通するため流通経路のトレースが可能となり、

来店客の個人情報と紐付けることによりマーケティングデータとして様々な応用が可能で ある。また、リアルの店舗だけでなく携帯電話でアクセスできるバーチャルな店舗(EC サイト等)でも利用でき、リアルとバーチャル相互での利用が可能な点もメリットとして 挙げられる。