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前払い証票の規制に関する法律に関る問題

7. 法制度関連

7.3 前払い証票の規制に関する法律に関る問題

携帯電話を媒介とするGiftマネーシステムは現行のプリカ法12条、前払式証票の券面 に記載すべき法的記載事項については物理的に記載不可能である。また消費者保護のため にGiftマネーに関する発行事業者、提供者、使用方法、使用できる場所、発行者と提供者 と利用者及び加盟店との権利義務関係、携帯電話会社と提供者、利用者間の法的関係、携 帯電話の破損、データ消失、盗難紛失、新機種交換時のデータ移管方法等取り決めを定め た約款、パンフレット、説明書等の交付は必須事項であるがそれをどのように対応するか が問題となる。Giftマネーシステムは現行のプリカ法の規制対象とも考えられるが消費者 保護の立場から言えばプリカ法上は問題がある。問題をなくして消費者が安心して便利に 使えるようにするにはどのような法的対応が望ましいか前払式証票発行協会(以下プリカ 協会)が先にまとめた報告書の早急に解決すべき法的課題と制度的改正点参考にして、Gift マネーとのかかわりを述べることとする。

7.3.1 券面表示事項

法第 12 条は、前払式証票の券面に法的事項を表示すべき物としている。表示事項は従 来の紙式カード、磁気式カード、ICカード等の単機能型のものは表示は可能であるがク レジットカードや定期券等の複合型カード、電子コイン、携帯電話、時計等の媒体がカー ド以外のものは物理的に困難である。たとえ可能であっても判読可能な文字で記載する事 は難しいし現実的でない。以上、前払式証票の形状によって券面表示が困難また不適当で ある場合はプリペイドシステムの更なる普及と発展を勘案して券面表示を法で義務付けす るのでなく、他の方法と相俟って適切な表示を求める制度へ変換すべきである。例えば携 帯電話の場合は携帯電話のディスプレイに電子的に表示するとかである。

7.3.2 券面表示に替わる表示事項

プリカ法に定めた券面表示事項の記載が不可能、あるいは、適当でないプリペイドシス テムにおいては券面表示に代わる利用者への取引条件、利用方法等の法定表示方法が検討 されるべきであるし、法改正も行うべきである。利用者の立場に立って必要な表示を考え れば次の場面においての表示が考えられる。

(1) 前払式証票を購入する時点での表示 (2) 前払式証票を利用する時点での表示 (3) その他利用者が必要であると考える表示

(1) 購入する時点での表示

前払式証票を購入する時点では前払式証票の発行者は取引条件、利用方法等を利用者に 表示すべきであり、利用者はこれらを認識して取引関係にはいると考える。ただし、証票 自体にこれらの必要事項を記載できない場合は証票に代わる取引き誘引媒体で取引条件等 を表示し利用者がそれを見て取引条件を認識できれば良いと考える。例えばチラシ、パン フレット等であるが、携帯電話に前払い機能を付加した場合、携帯電話自体に法定表示事 項を表記することは困難であるし不適切である。また、銀行カード、クレジットカード等 の複合カードの場合もこれらのカード自体の記載事項が有り、前払式カード自体の記載事 項をこれらカードの記載事項に追加して表記することは物理的にも困難であり不適切であ る。したがって、現状のプリカ法は前払式証票自体に法定記載事項を表示することを義務 付けており、新しい媒体や新しい多機能カードに前払い機能付加して発行することを法的 に想定していなかったため、多くの矛盾を生じさせている。このことは時代の流れによっ て生じた新しいニーズに対応してないばかりか規制によって進歩を阻害しているとも言え 一刻も早く規制を緩和すべきであろう。法的対応策としては法で証票自体に表示事項の記 載を義務付けるのではなく証票を離れて利用者が証票を購入するに先立って取引条件等を 知りうること、および、不適当な表示がなされないことを法的に定めればことが足りると 考える。

ただし、ここで検討しているGift マネーシステムから見るとGift マネー購入する時点 とは、すなわちGiftマネーの提供者が決済事業者に支払を行う時点のことであり、このと きに Gift マネーの提供者に対しては決済事業者から取引条件等を記載した約款の提供は 可能である。

問題なのは Giftマネーの購入者と利用者が全く異なる点に特徴のあるシステムであり、

Giftマネーの購入段階での利用者への各種条件提示は依然として考慮しなければならない が、支払条件は不要と考えられ、利用者に対しては支払条件よりも利用条件を明確に提示 することが重要である。

(2) 利用時点での表示

利用時点での表示については使用金額や未使用残高情報の表示のニーズが一番高いも と思われる。一般的にはカード自体に表示されているが、様々な前払い取引の仕組みがあ りえる事からこれらの表示を必ずカード自体に表示せよと義務付けすることは好ましくな い。表示は必要ではあるが他の方法で利用者が知りえれば良いのであって証票自体に表記 する事を義務付けすると多様な取引の仕組の創設を阻害する恐れもある。例えば携帯電話 の場合はディスプレイに表示するとか,発行者のサイトにアクセスすればいつでも知りえ るとかである。その他は利用時点でのレシートでいつでも判るとか、別途パソコンで発行 者のサイトにアクセスすれば知りえるとかである。

(3) その他必要とする時点での表示

その他必要とする時点での表示事項とは利用者が取引の仕組や取引約款の内容を知り

たいと考えた時にいつでも知りえると言う環境を用意することが大切である。例えば、電 話や口頭で約款を説明できるようにするとか、郵送で約款を送るとか、ホームページでい つでも見られるとかである。いずれにしても適切な方法で利用者に知りえる機会を創設す れば事足りると考える。

7.3.3 標準約款

標準約款については前払式証票発行協会(以下協会)が各種カードの標準約款を公表し ており,これらを参考にすることも大変有益である。なかでも、前払式ICカードに関す る第3者型、加減算型の標準約款は今後の多機能型,非接触型ICカード、携帯電話型の 普及を見込むときこれらの約款は大いに参考とすべきである。その他、ECOMの電子決 済WGが平成8年に作成したECOMキャッシュに関する標準約款も参考になろう。携帯 電話型については過去に前例がなく、ECOMの来年度の課題として標準約款を策定し、

公表すべきであろう。

7.3.4 消費者保護のための発行保証金をめぐる問題

プリカ法は消費者保護のためにプリペイドカード発行者に未使用残高の2分の1に相当 する金額を法務局に供託する事を義務つけている。供託金は現金、公社債、銀行、保険会 社の保証書でも良いが、この制度は消費者保護の見地からは大変良い制度であると考える が、現実的には事業者の視点から見ると事業収益の圧迫要因にもなっている。しかし、利 用者保護の点では相応の効果を上げていることも事実である。第2次マネー懇談会での発 行見合い金がこの保証金であるが、第2次マネー懇談会での見解は残高の100%を積み立 てさせると言うルールを策定したが、これは行き過ぎなルールと考える。何故ならば電子 マネーの発行事業者はこの条件では事業が困難となる恐れがあるからである。現状のとこ ろ発行事業者の倒産による発行保証金の還付事例が増加しているが、社会問題となるまで には至ってはいない。何故ならば還付の請求を行わない人も多く存在することから、実際 の還付率は現状時点においては還付金請求者への還付率がほぼ100%となっているケース が多い。ただ、その一方では還付手続きの負担が重いことや還付請求権の認定手続きに負 担がかかりすぎるとの意見も出てきている。還付の公示や手続きをもう少し利用者の立場 に立って簡素化することが求められている。特に還付手続きのなかでの未使用残高の確認 と証明が今後問題となろう.その事由はチップ時代になるとチップの中の残高を読み取り、

残高を証明するセキュリティ方式が発行事業者ごとに異なってくと残高を解明するのに、

事業者毎の読取装置が必要と言う事態に陥ることになるかもしれないからである。この点 は何らかの法的処置が必要となろう。法的処置には色々な方法があるが今後の普及、発展 を鑑みれば極めて重要な問題であり、関係者の保護と負担が少ないルールを決める必要が あろう。Giftマネーについて言えば換金自由ということであり、事業者の倒産時にはいつ でも換金(還付)できるようにせねば利用者の信頼性確保の点で問題が起こる可能性があ る。また、携帯電話に実装されているチップを利用すると言う点から、この問題について は事前に充分検討すべきであろう。