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4. ビジネスモデルの策定

4.1 ビジネスモデル策定の前提条件

4.1.1 ビジネスモデル概要

(1) 全体概要

本ビジネスモデルでは、従来の電子マネーと異なり、自身でコストを負担してバリュー を取得するのではなく、第3者よりバリューを提供される『Giftバリュー』のことを想定 している。また、提供されたGiftバリューは現金に換金可能とすることで、Giftマネー受 領者にとって、より魅力的かつ汎用性の高いバリュー流通の仕組みを目指すものである。

Giftマネー流通の概要を図 4-1に示す。

図 4-1  Giftマネー流通の概要 (2) 登場するプレイヤーと各者の役割

本ビジネスモデルにおいて登場するプレイヤーと各者の役割について述べる。尚、ここ で言う各プレイヤーとは、本モデルにおける必要な機能の名称を表しており、具体的ビジ ネスにおいては、複数の機能(プレイヤー)を同一事業者が兼ねることが想定される。

a) Giftマネー提供者

利用者への何らかの対価としてバリューを提供する事業者、または単純にバリューの GiftマネーGiftマネー

決済事業者 決済事業者

GiftマネーGiftマネー 受領者 受領者

利用可能施設 利用可能施設

原資 提供

Giftマネーの配布

GiftマネーGiftマネー 受領者受領者

譲渡

々流通

利用

GiftマネーGiftマネー 提供者提供者 GiftマネーGiftマネー

付与施設 付与施設

換金事業者 換金事業者

換金

精算

Giftマネ 提供

GiftマネーGiftマネー 決済事業者 決済事業者

GiftマネーGiftマネー 受領者 受領者

利用可能施設 利用可能施設

原資 提供

Giftマネーの配布

GiftマネーGiftマネー 受領者受領者

譲渡

々流通

利用

GiftマネーGiftマネー 提供者提供者 GiftマネーGiftマネー

付与施設 付与施設

換金事業者 換金事業者

換金

精算

Giftマネ 提供

譲渡をおこなうもの。

b) Giftマネー決済事業者

Gift マネー提供者より提供された、Gift マネーの原資(現金)を電子的価値である Giftマネーに変換する事業者。また、変換されたGiftマネーを、Giftマネー受領者へ 何らかの手段を用いて配布、還元する。

c) Giftマネー付与施設

Giftマネーを配布する手段において、リアル店舗で配布する事業者。

d) Giftマネー受領者(保持者)

Giftマネーを受領し保管し、そのGiftマネーの譲渡(転々流通)、利用または換金す る人。

e) 換金事業者

Giftマネーをある一定料率に基づいて、現金へ換金する事業者。

f) 利用可能施設

Giftマネー保持者よりGiftマネーを受け取り、景品や物品との交換や各種のサービス を対価として提供する事業者。

(3) コスト要因

本ビジネスモデルにおいて発生すると想定されるコスト要因を下記に列挙する。

○ 初期コスト

・ Giftマネーの発行処理費設備コスト:

Giftマネーを安全に発行処理するための機器、システムの開発費など

・ Giftマネー付与の為の設備コスト:

GiftマネーをGiftマネー受領者の携帯電話へ安全に付与するための機器、システムの 開発費など

・ 利用可能施設における設備コスト:

Giftマネーを安全に利用可能にするための機器、システムの開発費など

・ 換金する為の設備コスト:

Giftマネーを現金へ安全に換金するための機器、システムの開発費など

・ Giftマネーを精算する為の設備コスト:

各プレイヤー間で発生したランニングコストを各プレイヤー間で相殺、応分の分担を 求めるための機器、システムの開発費など

○ ランニングコスト

・ Giftマネーの原資:

Giftマネーを流通させるための原資。現金。

・ Giftマネーの発行処理費用:

Giftマネーを安全に発行処理する各種オペレーション費用

・ Giftマネー付与処理費用:

Gift マネーを Gift マネー受領予定者の携帯電話へ安全に付与するための各種オペレ ーション費用

・ 利用可能施設における処理費用:

利用可能施設において、Giftマネーを利用された場合の各種オペレーション費用

・ 換金処理費用:

Giftマネーを現金へ安全に換金するための各種オペレーション費用など

・ 精算処理費用:

各プレイヤー間で発生したランニングコストを各プレイヤー間で相殺、応分の分担を 求めるための各種オペレーション費用

(4) コスト負担の考察

・ 上記(3)において述べたコスト要因に関して、コスト発生者と受益者が異なることが想 定される。例えば、「Giftマネーの発行処理費用」は、「Giftマネー決済事業者」が発 生させるが、本処理作業によってメリットを教授するのは「Giftマネー決済事業者以 外の事業者」となることが想定される。よって、かかるコストの負担方法としては受 益者負担の原則から、本ビジネスにおいて、メリットを享受すると想定される「Gift マネー提供者」、「Giftマネー付与施設」、「利用可能施設」が共同で費用を負担する方 法が想定される。ただし、「Gift マネー付与施設≠利用可能施設」の場合には、各者 が同一の負担額ではなく、教授したメリットの比率によって負担率を変更する場合も 想定される。その際、各者間の調整や手続き作業が煩雑になる恐れがあるため、「Gift マネー決済事業者」が各種の精算、相殺処理を代行するクリアリング機能を有するこ とが望ましい。

・ また、Giftマネー提供者にとっては、最小限の投資で最大の効果を得ることが有益で ある。その為にも、Giftマネーの提供方法に関しては、柔軟な費用負担方法を設ける ことが望ましい。Giftマネーは電子的価値であるが故に、実際に「どこで、どれくら いGiftマネーが配布されたか」や、「どれくらいGiftマネーが使用されたか」を容易 に把握することが可能となる。この特徴を利用して、インターネットの広告ビジネス において一般的なコスト負担の方法を流用することが可能となる。例えば、「アフィ レート型」の場合には、配布/流通されたGiftマネーの総量に関係なく、「利用可能 施設」及び「換金事業者」で利用された金額だけを「Giftマネー提供者」が負担する。

また、「インプレッション型」のように、受領者に配布されたGift マネーの総量分を 支払うことも可能である。尚、この場合は、実際に利用されたかどうかには影響され ない。

(5) Giftマネーの付与手段

Giftマネー受領者に対する Gift マネーの付与手段としては、表 4-1 のように、「サイ トアクセスDL型」と「ローカル配布型」に大別できる。

表 4-1  Giftマネーの付与手段 分  類 Giftマネー配布の

インタフェース

特  徴 その他

サイト アクセス

DL型

携帯電話網 既存の携帯電話網を利用 するため、投資が少ない

無線網を介してバリュ ーをダウンロードする にはセキュリティ面で の考慮が必要

ローカル 配布型

近接コンタクトレ ス通信、蓄積メデ ィアなど

近接コンタクトレス通信 を行う機器や配布する蓄 積メディアの費用など、

投資が必要となる

既存の携帯電話利用方 法とは用途とは異なる 点が多く、顧客への啓 蒙活動も必要になる

・ サイトアクセスDL型

サイトアクセスDL型は、携帯電話のネット接続機能を利用し、Giftマネー付与サー バにアクセスし、無線通信網を介して、Gift マネーをダウンロードする方法である。

当該サーバのURL告知手段としては、印刷媒体にURLを明記する方法が一般的で ある。但し、ユーザの利便性を考慮すると、携帯電話の2次元バーコード読み取り機 能や、サイトスティック等を利用したアクセス補助手段を講じることが望ましい。

・ ローカル配布型(近接コンタクトレス通信、メモリ配布)

ローカル配布型は、GiftマネーをGiftマネー受領者の携帯電話にローカル環境で直接 提供する方法である。例えば、MMK(マルチメディアキオスク)のような機器に近 接又は近傍型のコンタクトレス通信機能を搭載し、携帯電話へローカル通信で Gift マネーを配布する方法が可能である。また、近年携帯電話にカメラ機能が搭載され、

撮像素子の高画素化とあいまって、外部記憶メモリカードを搭載する動きが顕著であ る。この外部記憶メモリカードにGiftバリューを安全に格納し、Giftマネー受領者へ 直接配布する方法も想定される。