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GSK 蘇州製薬有限公司(葛兰素史克制药⁽苏州⁾有限公司)

ドキュメント内 修士論文 (ページ 62-65)

第四章 事例研究

第三節 グラクソ・スミスクライン社

2. GSK 蘇州製薬有限公司(葛兰素史克制药⁽苏州⁾有限公司)

GSK

蘇州製薬有限公司(葛兰素史克制药⁽苏州⁾有限公司)の前身は、

1997

年にグ ラクソ・ウェルカム社が単独出資で設立したグラクソ・ウェルカム蘇州製薬有限公司

(葛兰素威康⁽苏州⁾制药有限公司)で、投資総額が

1.35

億米ドルで、

GSK

社の中国 における最大の投資案件でもある。

主要製品は、抗B型肝炎の新薬ラミブジン(中国における商品名が「賀普丁」)、

セファロスポリン抗生物質の注射剤および錠剤である。2018年の中国における売上 高は4.2億人民元である26

ラミブジンは元々GSK社が開発した新薬で、同社によって1999年末に中国に導入 された。しかし、ラミブジンの新薬としての独占販売期間が過ぎた現在、中国市場で はGSK社は少なくとも4社の現地の競合相手のジェネリック薬に直面し、合算して 2018年この4社のラミブジンにおける売上高が4.1億人民元で、中国GSK社と殆ど 同等である27

ラミブジン「賀普丁」は元々中国GSK社の主力製品であり、抗B型肝炎薬の市場 におけるそのシェアが長期的に第一位であった。しかし、ラミブジンの耐薬性の疑惑 の集中的な発生と競合相手の増加によって、中国GSK社は難航していた。特に前述 したように、2013年の賄賂事件の後、中国GSK社の中国政府に対する交渉力

(Bargaining Power)が急減し、その影響で同社は自らラミブジン「賀普丁」の価格を

3割下げ、当局との関係を修復することに誠意ある姿勢を示している。このことは競 合の増加と相まって、GSK蘇州製薬有限公司の収益性にダメージを与えていた。

また、中国

GSK

社の重慶工場の例と同じく、蘇州工場の設立も

GSK

社の合併によ る誕生前のことであった。そのため、同じく合併後の資源配分の問題が見られた。そ の結果、中国

GSK

社は、2019年に、GSK蘇州製薬有限公司を上海複星医薬グループ 株式有限公司(上海复星医药⁽集团⁾股份有限公司)傘下の完全子会社である重慶薬友 製薬有限責任会社(重庆药友制药有限责任公司)に全株式を譲渡し、撤退することに した。

では、この事例の検証を始める。

まずStep 1は重慶の場合と同様、三つの優位性を全て所有しているため、海外直接 投資が可能である。次のStep 2も同じく全社戦略をメインにしていない状態で、Step 3の検証に入る。今回は重慶工場の経験があったため、補完的な資源が必須ではなく、

不確実性の判断に進む。前述したように、1997年の中国はまだ不確実性が高かった。

内部化のコストはそれほどかからないはずで、他の要因を考えることになる。

26 IQVIA CHPAのデータによる。引用元http://www.sohu.com/a/325750748_11503520191220日閲 覧.

27 IQVIA CHPAのデータによる。引用元http://www.sohu.com/a/325750748_11503520191220日閲

図表4.14 グラクソ蘇州製薬有限公司の参入形態の選択プロセス

出所:筆者作成

10年前参入した合弁事業である重慶工場の経験を踏まえ、そのネットワークを活 用できるので、ネットワーク理論からみれば、必ずしも提携相手を探すことが必須で はなかった。一方、シナジーのタイプは前述したのと同じで、レシプロカル・シナジ ーdれある。したがって、高い統制力の形態が相応しい。

1997年蘇州への参入当時、製品の領域から見れば、中国における競合がまったく ないと言っても過言ではない。それでモデルによって辿り着いた結論は、単独出資が 最も合理的な形態である。これは中国GSK社の選択に合致する。実際参入してから 約15年間、蘇州工場は確かにGSK社に莫大な利益をもたらし、当時同社の中国にお ける好業績に大きく貢献していた、という事実もこの単独出資の形態の合理性を裏付 けている。

しかし、中国GSK社のマーケティングやガバナンス上の失敗によって、GSK蘇州 製薬有限公司は失敗に終えた。この事例は、不確実性が相対的に大きい海外市場では、

参入形態さえ正しければ、企業は勝ち続け、生き残れるわけではないと、警鐘を鳴ら してくれた。

ドキュメント内 修士論文 (ページ 62-65)

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