3. 先行研究の検討
3.2. ソフトウェア開発の定量的マネジメントとメトリクスについて
3.2.6. FS (Function Scale) 法
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(c) 設計・開発の工程によるFP計測法の選択及び組合せ
各種のFP計測法の中から、設計や開発の工程に応じて適した手法を選択して組み合わせ て適用する方法がある。例えば、データ項目が明らかになった時点でFP試算法によりデー タファンクションの数に係数を掛けて規模を見積る。画面や帳票などの機能の設計が進ん だ階で、ファイル数の情報が不明確な場合には、FP概算法により複雑さの判定を簡略化す ることによって概算FPを求めることできる。データに関する設計によって、データ項目や 各機能別のアクセス対象テーブル数などが明確になった時点でIFPUG法による詳細なFPを 計算することが可能となる。このように、設計工程の進捗に応じて適切な手法を組み合わ せる方法がある。ただし、工程によって使い分けることによって、計測手法によって計測 値に乖離が発生する可能性がある点については、規模の変動状況を把握する際に注意が必 要となる。
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FS法は、ソフトウェアの外部設計情報を元にして機能規模を定量化する手法であり、簡 易的なFP法の一種として位置付けられる(富士通 2009)。FS法では、システムの画面や帳 票等の単位で機能規模を算出し、規模の単位は“FS”を使う。FS法は主としてWebシステ ムの規模の把握に適した手法であるが、他のシステム形態でも適用可能である。
図 3-4にWebシステムの画面レイアウトの例を示す。図 3-4の右側の表は、左の画面の FS 値の集計表である。画面上の入力フィールドやボタンに番号を付与しており、それぞれ の数字に対応した画面の構成要素ごとのFS値を表に整理したものである。画面の構成要素 であるディスプレイフィールド、エディットフィールド、リストボックスなどのコントロ ールの種類別に基準値(ポイント数)(単位:FS)が決まっている。ボタンについては、デ ータベースアクセスの処理内容を考慮した定数を設定しており、検索、更新、登録などの 機能によって基準値が異なる。
このように、画面の構成要素(コントロール)別の基準値に各構成要素の個数を掛けて 集計することで画面単位のFS値が求められる。帳票やバッチ形式のアプリケーションの規 模については、構成要素としてデータ項目数を使うなど、構成要素の種類や定数が異なる が、要素ごとの定数を積み上げるという考え方は同じである。
図 3-5 Function Scale法による規模計測用ワークシート
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図 3-5に、オンラインアプリケーション用のFS計測用ワークシートの一例を示す。画面 ごとのコントロールの数を記入することにより、画面単位やサブシステム全体の規模等が 自動集計される。
次に、図 3-6に、画面のレイアウトの一例とFSの計測値を示す。
(富士通(2013)の「ファンクションスケール法 測定マニュアル」より)
図 3-6 の 2 つの画面を比較すると、見かけ上は、画面1よりも画面2のほうが複雑な画 面に見えるが、FS法の計測値を比較すると、画面1のほうがFS値は大きい。これは、画面 1の方が、「更新」や「検索」などの、基準値の大きいボタンの数が多いことによる。この ように、画面の見た目などに左右されずに、誰が計測しても同じFS値が得られる。
以上のように、FS 法では画面などの構成要素を元に機械的に規模を算出するため、測定 者に依存せずにぶれのない機能規模を算出することができる。また、測定に要する時間に 関しては、ある程度習熟すれば一画面当たり数分で算出できる。また、標準の「画面項目 定義書」を使用して画面の外部仕様を設計することにより、FS 値を自動的に計算するため の計測ツールを作成することも容易であり、規模計測の自動化が可能となる。
FS法の特長を整理すると以下の3点に要約される。
(1) 画面や帳票に関する外部設計情報から画面や帳票の単位で規模を算出でき、利用者やプ ロジェクトオーナー等にとって理解しやすい
(2) 人に依存せずにぶれのない規模を算出できる (3) 比較的軽易に測定できる
図 3-6 FSの計測事例の比較
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本研究における規模変動の可視化手法においては、FS法を採用した。この理由は、上記3 つの特長により、外部設計情報から、ぶれのない機能規模を少ない負担で繰り返し測定で きるため、規模の変動状況を継続的に把握する上でFS法が適していると考えたためである。
ただし、提案する規模変動の可視化手法は、規模計測手法を特定のものに限定するもので はなく、同様の特長を有する規模計測手法であれば、他の計測手法の利用も可能である。