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先行研究のまとめと本研究のアプローチ

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 63-66)

3. 先行研究の検討

3.10. 先行研究のまとめと本研究のアプローチ

3.10.1. プロジェクトの変動マネジメント手法の必要性について

従来の定量的マネジメントに関する研究は、メトリクス自体の定義や精度の向上に関す る研究が中心であった。3.2.2節の再見積りに関する先行研究も、実績データを利用して見 積りの精度を向上させるものであった。しかし、プロジェクトマネジメントにおいて課題 の多いプロジェクトの変動の把握やコントロールの方法や、計画変更や要員追加にともな って発生する工数増加を考慮した再見積りの方法等に関する知識をいかに継承するかにつ いては研究が行われていない。そこで、本研究では、プロジェクトを計画通りにマネジメ ントする上で重要な変動の監視と制御に焦点を当て、早期の原因分析やコントロールを可 能とするため、詳細な粒度で日々の変動を可視化する手法と、知識の活用や継承を促進す るために知識を形式知化する方法を提案する。

工数見積りに関する従来の研究の多くは、計画立案のための工数見積りの精度向上のた めの研究であった。再見積りについての研究も多数あるが、工程の情報から次工程以降の 工程別の工数を見積もることによる見積り精度向上を目的としたものである。プロジェク トの変動発生に対して要員数やスケジュール等を変更する際に必要となる工数の再見積り には、規模の変動や計画の変更自体が期間短縮や要員追加、作業分割などの工数増加に及 ぼす影響などはプロジェクトマネジャーの経験に基づいた暗黙知となっており、こうした 開発期間や作業分割等を考慮した再見積りの研究は行われていない。

本研究では、従来はプロジェクトマネジャーの経験や暗黙知に依存していた、規模や期 間、作業の反復回数の変更があった場合の工数や要員数の再見積りの方法を含む、コント

52 ロールの知識を形式知化する方法を提案する。

本研究で提案するプロジェクトの変動に関するマネジメント手法は、規模や進捗、コス ト等の変動を可視化する方法のシステム化と、変動に対するコントロール方法に関する知 識のパターン化や形式知化の両面によって知識の継承を促進するためのものである。すな わち、提案する手法を知識継承の観点で捉えると、プロジェクトマネジメントの知識を、

システムやパターンとして形式知化する手法として位置付けられる。

3.10.2. プロジェクトマネジメントの知識のモデル化の意義について

従来の知識継承に関する研究は、知識の表出化や継承のためのプロセスの解明や、知識 の共有や継承の方法に関するモデル化等が中心であった。

他方、プロジェクトマネジメントの知識の蓄積や活用を目的とした具体的な知識の体系 化については、PMBOKやPRINCEなどの知識体系として整理されている。しかし、Horner

and Yong (2006) は、「PMBOKガイドは、形式知や宣言的な知識に偏っており、暗黙知や

理由(Why)に関する知識にはあまり注意が払われていない」と分析している。例えば、プ ロジェクトの変動に対する原因究明や対処方法については、プロジェクトマネジャーの暗 黙知の領域と見なされていた部分が多く、従来の知識体系化にはほとんど含まれていない。

また、プロジェクトマネジメントの知識を継承する手法としての形式知化やシステム化な どの観点での知識の分類や整理についての研究は行われていない。このように、従来の

PMBOKやISO21500などの知識体系が、実施すべきこととしてのWhatの種類を分類する

に止まり、どのようにプロジェクトの状況を監視、コントロールするのかという、Howや Whyに関する知識を蓄積及び活用する上では不足している。

本研究では、開発プロジェクトの変動の監視と制御に関する知識の具体的な内容に焦点 を当て、制御対象としてのプロジェクトに対する監視(モニタリング)と制御(コントロ ール)及び、プロジェクトの状態を表す管理要素とそれを介した変動管理、さらにそれぞ れの背景知識となる実践知という形の知識レイヤーに分けて分類し、各知識レイヤーや具 体的な知識要素間の動的な関係を示す。これにより、プロジェクトマネジメントの知識を、

どの場面で、どの知識と組み合わせて活用するのかなどが明確になるため、知識の継承や、

計画的な知識の蓄積、システム化可能な領域の見極めなどへの活用が進めやすくなり、プ ロジェクトマネジメントにおける知識の継承の実用的な枠組みとなることが期待される。

このモデルの活用方法や効果を、プロジェクトの変動を可視化する手法を適用した事例 によって検証し、プロジェクトマネジメントの知識の蓄積や継承および活用のための研究 の発展に貢献する。

知識構造モデルの体系化に当たっては、内平(2010)による研究開発のプロジェクトマ ネジメントの知識継承に関する知識の分類や構造化の方法を参考に、ソフトウェア開発の プロジェクトを制御対象として捉え、監視と制御に関する具体的な知識を構造化し、知識

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階層間の動的な関係等を考慮したモデルとして提案する。

また、提案する知識構造モデルの発展的な活用方法として、プロジェクトマネジメント の知識を補完するためのシステムの構築や、AI技術のプロジェクトマネジメントへの活用 に関する検討への活用方法について考察し、知識構造モデルの有効性を示す。

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4. ソフトウェア開発プロジェクトの変動マネジメント手

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