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変動に対するマネジメント手法のまとめ

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 106-109)

4. ソフトウェア開発プロジェクトの変動マネジメント手法

4.6. 変動に対するマネジメント手法のまとめ

ここで、本章で提案した変動の可視化と再見積り方式を含むコントロール手法を合わせ た変動マネジメント手法の全体像を図 4-19に示す。

次に、図 4-19の変動マネジメント手法に基づく具体的なコントロールの実施パターンを、

図 4-20に示す。規模、進捗・コストの変動の可視化手法と変動に対する見積方式を活用し、

原因の種類に対応したプロジェクトのコントロールの方法をパターン化することにより、

変動のマネジメントに関する知識を形式知化したものである。

図 4-19 変動マネジメント手法の全体像

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以下の手順で見積結果を活用したマネジメントを行う。各手順の番号は図 4-20の番号に 対応している。

(1) 規模、進捗、個数の変動可視化

毎日の実績データから、ソフトウェア規模、進捗、コストの変動状況を可視化する。

この際、プロジェクトオーナーを含むステークホルダとの間で、規模変動に応じて仕様 調整や費用、スケジュールの見直しを行うことの事前合意を得ておくことが重要である。

(2) 原因分析

設計途中での規模、進捗、コスト(工数)の変動状況を可視化し、変動の大きい機 能や担当者、WBS対する重点的な監視を行う。変動可視化用の各種のドキュメントや 指標を活用することで、進捗遅延などの原因分析を行い、計画との差異を解消するめ に必要な対策を行う。規模の変動や期間の変更が発生した場合は、デイリーEVM主要 によるコスト予測に加えて、図 4-18の再見積方式等を活用し、要員追加やスケジュー ル見直し等の対策を実施する。この際の、変動の原因に応じた対策を、(3)~(5)の対処 1~対策3などの対処方法としてパターン化することにより、プロジェクトマネジャー に依存しがちなコントールに関する暗黙知を形式知化することが可能となる。

(3) 仕様調整

規模の増加が判明した場合は、ステークホルダとの間での仕様調整を早めに行うこ とが重要である。仕様の追加や変更が必要な場合は、そのためのコストを見積もり、

予算内に収めるために、コストと機能のトレードオフによる判断を行う必要がある。

この時に、コストの再見積り手法が有効に活用できる。

図 4-20 変動可視化によるコントロールのパターン

96 (4) スケジュール調整

仕様調整を行っても規模増加が避けられない場合や、生産性が計画値よりも低下した 場合などには、作業分割等を考慮した見積りや要員の手配などの予防的対策を早めに行 うことで、後工程の混乱を最小限するためのコントロールを行う。ステークホルダとの 間で予算の追加やスケジュール変更等の調整を行った上で、図 4-18 の再見積方式にし たがって増加工数を算出する。スケジュールやリリース時期の調整が可能な場合には、

プロジェクト計画の変更が必要となる。

(5) 予算、要員、計画の修正

内部設計からプログラム開発及び単体テストまでの工程においては、規模、要員別ス キル、反復回数等を考慮して画面などの開発単位ごとに最適な要員を割り当てる。

スケジュールの延伸が不可能な場合は、作業分割やファストトラッキングの必要性を 判断し、本見積方式によりさらなる追加工数を算出し、要員追加、体制変更およびプロ ジェクト計画の見直しを行う。

上記の変動マネジメント手法のポイントは、機能や人別の詳細なWBS単位の変動を日次 で可視化することと、プロジェクトの変動要因に応じた代表的な対応策を過去の経験を元 にパターン化し、対策に必要となる実績データの分析方法や見積方式等のコントールに必 要な知識を形式知化し、準備しておくことである。

従来は、計画との差異に対するコントロールについては、進捗遅延などの問題が発生し てから、その都度、プロジェクトマネジャーの経験による見積りや属人的な判断を加味し て行われていた。見積りのためのデータの蓄積も不十分であった。このように、コントロ ールに関するノウハウは、個々のプロジェクトマネジャーの経験に基づく暗黙知となって いることが多く、知識の活用や継承が難しかった。

本手法を適用することにより、実績データに基づいて、規模の変動や機能別、人別、WSBS 別の変動を日次で可視化し、生産性や予測工数等を継続的に把握することができる。これ により、変動の早期発見と、その要因となる機能、人、作業の特定が容易となる。さらに、

原因に応じた対処のパターンや工数の再見積方式を利用することによって、顧客交渉や要 員追加等の対策を早い段階で実施することで、スケジュール遅延等の問題を未然に防止す るための予防的なプロジェクトマネジメントが可能となる。

以上の変動マネジメント手法によって、過去の知識を活用したプロジェクトの円滑なコ ントロールが可能となることを、次章で具体的なプロジェクト適用事例によって示す。

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