2. 国内電子商取引の市場動向 -2010 年
2.2. BtoC-EC市場動向
2.2.2. EC市場動向
この利用率を当該年のインターネット利用者数に乗じて、便宜的なサービス利用 者数を算出すると、平成21年の「商品・サービスの購入・取引(デジタルコンテン ツの購入及び金融取引を除く)」は、パソコン経由での利用者数が3,695万人(対前 年差220万人増)、携帯電話経由での利用者数が1,033万人(対前年差290万人増)
となる。また、「デジタルコンテンツの購入」は、パソコン経由での利用者数が1,166 万人(対前年差 448 万人増)、携帯電話経由での利用者数が 1,882 万人(対前年差 809万人増)となる(図表 2.2-8)。
このように、利用サービス毎の利用者数の推移をみることによって、利用の裾野 が急速に拡大していることが確認できる。
図表 2.2-8 利用サービス毎の利用者数の推移
平成20年 インターネット利用者数
9,091万人
平成21年 インターネット利用者数
9,408万人
パソコン経由での インターネット利用者数
8,255万人
携帯電話経由での インターネット利用者数
7,506万人
パソコン経由での インターネット利用者数
8,514万人
携帯電話経由での インターネット利用者数
8,010万人
商品・サービスの購入・取引
(デジコンの購入及び金融取引を除く)
3,475万人
商品・サービスの購入・取引
(デジコンの購入及び金融取引を除く)
3,695万人
デジタルコンテンツの購入
718万人
デジタルコンテンツの購入
1,166万人 +220
万人
+448 万人
商品・サービスの購入・取引
(デジコンの購入及び金融取引を除く)
1,033万人
デジタルコンテンツの購入
1,882万人 +290
万人
+809 万人 商品・サービスの購入・取引
(デジコンの購入及び金融取引を除く)
743万人
デジタルコンテンツの購入
1,073万人
出所)総務省 『通信利用動向調査(平成21年)』から作成
百貨店では、インターネット販売への取組みが本格化している。従来、百貨店が インターネット販売で取り扱う商品は、店頭で取り扱う商品に比べて限定的であっ たが、近年では各社とも衣料・アクセサリーや食料品を中心にラインナップの拡充 に努めている。また、インターネット販売と店頭販売との連携の強化も進められて いる。公知情報によると、丸井は大手ショッピングモールである楽天市場との包括 的な業務提携を行い、楽天市場内に丸井オフィシャルショップを出店するほか、楽 天市場に出店しているアパレルショップが丸井の店頭に出店できるようにするなど、
ネットとリアルとの融合に取組んでいる。
こうした動向を背景に、「総合小売業」における2010年のBtoC-EC市場規模は1 兆6,110億円(対前年比112.7%、対前年差1,820億円増)に達している。
「自動車・パーツ・家具・家庭用品・電気製品小売業」では、昨年から続く“巣 ごもり消費”の傾向が続いており、家庭内で余暇を過ごすための消費が好調である。
それに加えて、家電エコポイントの付与が 2011 年 3 月までということもあり、付 与対象となる電気製品の需要が急増した。
家電エコポイントの付与対象9は「エアコン」、「冷蔵庫」、「地上デジタル放送対応 テレビ」である。大手ショッピングモールによると、このうち特に「地上デジタル 放送対応テレビ」及びそれに付随した「レコーダ(DVDレコーダ、HDDレコーダ、
BDレコーダなど)」の販売が好調であったという。
実際に、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が公表している『民生用電子 機器国内出荷実績』によると、2010 年の「薄型テレビ(10 型以上液晶+PDP)」の 出荷台数は 25,193 千台(対前年比184.9%)、「BDレコーダ/プレイヤー」の出荷台 数は5,240千台(対前年比173.4%)であり、急増している(図表 2.2-9)。
こうした動向を背景に、「自動車・パーツ・家具・家庭用品・電気製品小売業」に おける2010年のBtoC-EC市場規模は1兆 2,220億円(対前年比 129.2%、対前年 差2,760億円増)に達している。
9 統一省エネラベル4つ星以上または4つ星相当として扱うことが適当と認められる商品に限る
図表 2.2-9 主要な電気製品の出荷台数
1,588
3,022
5,240
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000
2008年 2009年 2010年
(千台)
BDレコーダ/プレーヤ
成長率 173.4%
9,703
13,626
25,193
0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000
2008年 2009年 2010年
(千台)
薄型テレビ
(10型以上液晶+PDP)
成長率 184.9%
出所)社団法人電子情報技術産業協会『民生用電子機器国内出荷実績』から作成
「宿泊・旅行業、飲食業」では、宿泊・旅行予約サービス、レストラン予約サー ビスの提供事業者を中心にBtoC-EC事業が好調である。
宿泊・旅行予約サービスでは、ダイナミックパッケージ10の取扱拡大、海外旅行 予約への対応が進んでいる。公知情報によると、楽天トラベルと全日本空輸(ANA) は業務提携範囲を拡大し、従来までは国内旅行のダイナミックパッケージとして提 供していた「ANA楽パック」を、海外旅行にまで拡大した。また、じゃらんnetで は旅行クチコミサイトであるトリップアドバイザーとの業務提携範囲を拡大し、国 内宿泊施設に加えて、海外宿泊施設のクチコミを参照できるようにした。
この他に、宿泊・旅行予約サービス、レストラン予約サービスともに、2010年は フラッシュマーケティング11の導入がみられた。楽天では「Rakupon」、リクルート では「ポンパレ」といったクーポン配布/共同購入サービスを提供している。現在 は、このようなサービスを提供する事業者が急速に増加しているが、一方で、割引 価格と実売価格を併記する二重価格表示の問題、ショップのキャパシティを越えた 過剰なクーポン配布の問題なども残っており、今後の動向が注目される。
こうした動向を背景に、「宿泊・旅行業、飲食業」における 2010 年の BtoC-EC 市場規模は1兆1,010億円(対前年比121.1%、対前年差1,920億円増)に達してい る。
10交通チケット予約や宿泊予約のような単体のサービスではなく、交通チケットと宿泊・旅行の予約サー ビスとを組み合わせて提供する手法
11商品・サービスを提供するにあたって、期間限定で、割引価格や特典がついたクーポンをインターネッ ト上で配布/販売する手法
「情報通信業」では、従来からの音楽配信や映像配信に加えて、2010年はゲーム
(ソーシャルゲーム12)や電子書籍などのデジタルコンテンツ配信が好調である。
ソーシャルゲームプラットフォーム「Mobage」を提供しているDeNAが公表して いる資料によると、同社のゲーム関連売上高13は、2010 年(2009 年度 4Q~2010 年度 3Qの合算値)には約 65,700 百万円に達しており、2009年(2008年度 4Q~ 2009年度3Qの合算値)と比較して1,400%以上の伸長となっている。この伸長は、
ソーシャルゲームによるところが大きいという。
また、2010年はスマートフォンやリーダー用の専用端末の登場を受けて、電子書 籍市場が活性化した。インプレスR&Dが公表している『電子書籍ビジネス調査報告 書』によると、2009年の電子書籍市場は574億円(対前年比123.7%)に達してお り、2010年以降はさらなる成長が見込まれる(図表 2.2-10)。
これに合わせて、各社の取組みも活発になっている。KDDIでは、2010年12月 に電子書籍専用端末として「biblio Leaf」を発売し、電子書籍配信サービス「LISMO Book Store」の提供を開始した。また、NTTドコモ、大日本印刷、CHIの共同事業 会社であるトゥ・ディファクトでは、NTTドコモのスマートフォンなどに向けた電 子書籍配信サービス「2Dfacto」の提供を開始した。
こうした動向を背景に、「情報通信業」における2010年のBtoC-EC市場規模は1 兆9,890億円(対前年比113.2%、対前年差2,320億円増)に達している。
12ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上で提供され、他のユーザーとコミュニケーション をとりながら楽しむオンラインゲーム
13アイテム課金、ゲーム内広告などを含む
図表 2.2-10 電子書籍市場の売上高の推移
94
182
355
464
574
0 100 200 300 400 500 600 700
2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
(億円)
出所)インプレスR&D『電子書籍ビジネス調査報告書』から作成
その他の業種横断的な動向として、2010年はスマートフォンの活用が伸展した。
大手ショッピングモールを運営している楽天とヤフーの状況をみると、楽天市場 におけるモバイル流通総額は2001年と比較して、2010年には約400倍にまで成長 している。このうちスマートフォンに着目すると、2010年 12月におけるスマート フォン経由での流通総額は、前年同月と比較して8倍以上である(図表 2.2-11)。
また、Yahoo! Japanトップページにおけるスマートフォン経由でのページビュー をみると、2010年12月のページビューは前年同月と比較して約7倍である。
このように、インターネットのブラウジング端末、ショッピング端末として、ス マートフォンの活用が急速に進展している。
図表 2.2-11 スマートフォンの活用状況の推移
0.0 50.0 100.0 150.0 200.0 250.0 300.0 350.0 400.0 450.0
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 楽天市場におけるモバイル流通総額の推移
(2001年=1とする)
0 100 200 300 400 500 600 700 800
2009年12月 2010年3月 2010年6月 2010年9月 2010年12月 Yahoo!Japanトップページにおけるスマートフォンページビューの推移
(2009年12月=100とする)
0.0 50.0 100.0 150.0 200.0 250.0 300.0 350.0 400.0 450.0
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 楽天市場におけるモバイル流通総額の推移
(2001年=1とする)
0 100 200 300 400 500 600 700 800
2009年12月 2010年3月 2010年6月 2010年9月 2010年12月 Yahoo!Japanトップページにおけるスマートフォンページビューの推移
(2009年12月=100とする)
出所)各社が公表しているIR資料から作成