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2. 国内電子商取引の市場動向 -2010 年

2.1. BtoB-EC市場動向

2.1.3. EC事業者動向

することで欧米型(メーカーと小売が直接やり取りする)と同等レベルの情報交換 が可能となり、さらに日本型の多段階の商習慣にも対応できるというメリットがあ る。

今後は、MD やマーケティングなど、いわゆる非定型業務を支援するネットワー クサービスとして、バイヤーズネットを拡充していくことを喫緊の課題としている。

また、影響力を増しつつあるネットスーパー向けに、商品の使用方法や利用シーン 等の情報提供を検討しているという。

続いて、グローバルに展開するプラットフォーム事業者の動向を述べる。

代表的なグローバルプラットフォーマーとして、米国メリーランド州ゲーザーズ バーグに米国本社を置く世界最大のBtoBソリューションプロバイダーGXSがある。

現地オペレーション拠点は 50 カ国(導入実績のある国は 200 カ国以上)に展開 されており、年間のネットワーク内電子商取引トランザクション数は、100 億トラ ンザクションを超える。

顧客数は全世界で4 万社以上、米フォーチュン誌の「フォーチュン500」社のう ち、実に75%に当る企業が、世界各国で同社のサービスを利用している。顧客の業 種は、自動車等の輸送用機器製造業、電機・情報機器製造業が、約 6 割を占めてい る。他にも繊維・日用品・化学製造業、運輸業、小売業等、顧客の業種は多岐に渡 るが、日本では 2010 年より、銀行への導入が新たに拡大している。邦銀の海外展 開に伴い、グローバル規模で展開される同社のサービスへのニーズが高まった結果 である。

同社の業績は順調に拡大しており、2010年の新規売上は、対前年比60%増であっ た。近年、毎年30%~60%増のペースで業績が拡大しているという。

2010年6月、同社は当時世界第3位の規模のグローバルBtoBプラットフォーム 事業者Inovis社を合併している。Inovis社は、欧米を中心にサービスを展開してい る事業者で、特に3D CADデータのような大容量データ交換機能に強みを持つ事業 者である。この世界第1位(GXS)と第3位(Inovis)の合併は、BtoBプラットフ ォーム事業において重要な、規模の経済性における優位と、提供サービスの相互補 完を狙ったものであるという。

同社が提供するサービスのうち、著しい拡大をみせているのが、「GXS Managed Services」である。従来のサービスであるメッセージ変換等のVAN事業は頭打ちだ が、「GXS Managed Services」のような新たな付加価値サービスが同社の業績拡大 を支えている。同サービスは、包括的な BtoB ソリューションアウトソーシングサ ービスであり、BtoB統合プラットフォーム「GXS Trading Grid」経由でクラウド ネットワークを提供すると共に、BtoB取引周辺の各種業務や、システム運用のアウ トソーシングサービスを提供している。

同サービス導入のメリットとして、顧客企業は中核業務に専念可能であること、

BtoB取引関連業務・システムのコスト削減が可能であること、新規取引先が提示す るEDI接続要件等への対応が容易になることなどがあげられる。同サービスを利用 している顧客企業としては、東京エレクトロン、三菱自動車、柳河精機株式会社、

ヤンマー株式会社、BB&T、InFocus、ジャガーランドローバー、LGエレクトロニ クス、ヴァージンストア、エレクトロニックアーツ等がある。

また、同社は 2011 年 2 月、新たなサービスとして、組み込み型統合パートナー プログラム「GridConnect」のリリースを発表した6。本サービスを利用すると、ソ フトウェアベンダーや、SaaSプロバイダーが、各社のクラウドサービスや、ソフト ウェアアプリケーションに、「GXS Trading Grid」を組み込むことが可能となる。

本サービスが拡大すれば、「GXS Trading Grid」は、その上で様々なベンダーのア プリケーションが稼働する、巨大なアプリケーションプラットフォームとなる。既 に同社が合併したInovis社の様々なアプリケーションも、同プラットフォーム上で 提供されている。このプラットフォーム上で稼働するアプリケーション間では、デ ータ交換、共有も容易になるため、アプリケーション間連携が加速するものと考え られる。

GXSは今後も、「GXS Trading Grid」をBtoB取引機能中心のアプリケーション プラットフォームとして拡大し、業績拡大につなげる予定であるという。

GXS の例からもわかるように、海外の大手プラットフォーム事業者(かつての VAN事業者が多い)は、サービスの付加価値を向上させるため、クラウドを利用し たプラットフォームを提供し、アプリケーションプラットフォームとしての地位を 確立しようとしている。

プラットフォーム事業者の他にも独自に BtoB-EC サービスを展開している企業 も存在する。その一つとして、ラクーンがある。

ラクーンは近年、急速に成長している卸売事業者であり、2002年からオンライン の卸売サイトであるスーパーデリバリーを展開している。現在、会員数は出展者側

(東京、大阪の事業者中心)が 988 社、購入者側(主に地方の事業者)が 28,879 店(会員小売店数)となっている (2011年1月末時点) 。

スーパーデリバリーは取引の仲介のみのサービスではなく、商流に入る形でサー ビスを提供している。主な取扱商品としては主要顧客のアパレル・雑貨のセレクト ショップが店舗で扱えるものであり、取扱商品の販売単価は他の卸売チャネルと同 等の金額となっている。また、商品の価格設定は一律設定で顧客ごとの価格差は割 引という形で対応する仕組みとなっている。

6 2011/2/23 GXSプレスリリース

利用料金は出展企業、小売店の両方から徴収している。これは、取引を行う意欲 の高い事業者のみがマーケットに参加している状態を保ち、マーケットの質を確保 したいという狙いがある。この他、小売店向けにはポイントサービス、売れ筋商品 のレポートなどを提供している。さらに、出展企業に対しては紙またはPDFベース でメールDMの反応結果等のレポートを提供している他、課題へのアドバイスなど のマーケティング支援を実施するなど、利用者の利便性を高めるためのサービスを 展開している。

近年は出展者側、購入者側の双方の絞り込みを強化している。ラクーンによると、

事業者を絞り込むことで、継続的に取引が行えるような事業者が集まるマーケット プレイスを構築することを目指しているという。海外事業については、香港・台湾 向けに日本の出展者の商品を輸出するサービスを提供している。一部の表記は中国 語(繁体字)に対応しているが、基本的な仕組みはスーパーデリバリーと同等であ るため、基本的にメーカーとのやり取りを日本語で行う必要がある。現在の利用者 は現地に日本語対応が可能なスタッフがいる企業である。海外配送は転送コムもし くは、スコアジャパンを利用している。また、海外決済はクレジットカードの円建 て決済のみに対応している。

今後は、スーパーデリバリーの国内サービスを充実させていくことを優先事項と している。海外への出店、EC展開は、スーパーデリバリーのモデルの場合、出展者 側と購入者側を繋ぐ役割であり言語の問題を解決することが必要となるため、具体 的な進出については未定である。また、課題としては小規模小売事業者の開業支援 を挙げている。小売事業者では、開業するに当たって仕入れの与信が得られず商品 を揃えられない場合が多いことが課題となっている。ラクーンでは、このような小 売事業者の開業支援をスーパーデリバリーのサービスの一環として支援したいと考 えているという。

物販以外の領域においてもEDIは利用されている。その利用例の一つが広告会社 と媒体社(放送局、新聞社)との間の受発注情報等、広告取引情報のEDIサービス を行っている広告EDIセンターである。

広告EDI センターは2002年 10 月に、電通、博報堂、アサツーディ・ケイ、お よび情報サービス会社であるインテックの4 社を発起人とし、広告・媒体各社で行 われている広告取引情報のEDIにおいて各社の運用事情に依存しない標準的なEDI を提供、普及させるために誕生した広告業界のEDI基盤の整備及びその運営を目的 とした事業者である。本調査では、2006年時点で当該事業者へのヒアリングを実施 している。

広告 EDI センターによると、近年の広告 EDI の全体のトランザクション数は数 年前と比較すると 5 割程度増加しており、送受信は合計で 25~30 万件程度となっ ている。各種メディア比率では 90~95%以上が TV となっている。TV 局側の広告 EDI は2006年時点で全局接続済みであり、現状は114局と広域局が接続されてい る。広告事業者については新たに3社が追加し、現在は合計14社となった。広告代 理店は全国でみれば、事業者数は多いが、大手は 10 社程度である。1 位~15 位く らいまでは自社のサーバーを利用してEDIを行っている。その他の事業者は手作業 が中心であり、EDI の利用はほとんどないが、一部、小規模の事業者でもビデオリ サーチ社の提供するパッケージを利用して広告データを送信している事業者もある という。新聞社の利用状況は4年前からほぼ変動はなく、中央紙におけるEDIの利 用率は 10%程度である。ラジオ局向けには 2010 年下期に新たなサービスとして

Web-EDIをリリースした。現在はまだ開始したばかりであり、今後10%程度まで伸

ばしていく意向である。

日本における広告EDIの標準化に関しては、主要広告代理店が参加している広告 EDI センターのフォーマット以外には存在し得ないという。但し、地方紙(新聞)

に関しては、地域毎に独自のフォーマットが利用されるため、新聞広告においては 標準フォーマットの利用は中央紙のみとなる。

EDIのメリットとして、データの送受信も実施することができるようになる点が ある。今後、各種データをEDIで同時に授受できるようになれば利便性は向上する ため、普及していく可能性もあるという。

運輸業においてもEDIは利用されており、大手の日本郵船では独自のシステムを 構築し、EDIによる業務の効率化に取り組んでいる。

日本郵船は国際的な海上輸送事業を中心に総合物流事業や、バルク・エネルギー 輸送事業などの事業を展開している、国内最大手の海運企業である。

同社における最近のEDIに関わる取組みとしては、まずは、これまでバラバラで あった荷主と定期航路基幹システムのインターフェイスを統合化したことである。

これまでEDIは主に大手荷主を中心に接続していたが、最近になって中堅、中小企 業の貨物の取扱いが拡大しているため、今後、それらの企業との接続拡大の可能性 はある。

次に、主力事業の一つである完成車輸送事業の強化にあたって、同社においては 完成車の海上輸送のみならず、陸上輸送、ターミナル(ターミナル内における PDI などの付加価値サービス含む)といった完成車輸送における総合物流サービスを展 開している。特に近年においては、完成車輸送インフラの整備の一環として、中国 における主要 4 拠点(上海、大連、天津、広州)やインドなどでターミナルオペレ ーションなどを展開している。