• 検索結果がありません。

2. 国内電子商取引の市場動向 -2010 年

2.2. BtoC-EC市場動向

2.2.3. EC事業者動向

同社のネットスーパーは、店舗型であるため、ネットスーパー拡大と受注件数の 増加に伴い、店舗が対応可能な件数を、受注件数が超えてしまうケースも発生する ことがあるという16。特に特売の日や、悪天候の日等に受注が殺到するため、受注 件数を制限する等の対応がとられている。

イトーヨーカ堂ネットスーパーは、2011年2月時点、約130店舗程度が展開され ており、売上規模は2011年2月期で300億円程度を見込んでいるという17。同社の ネットスーパーは、前述のイオンと同様、店舗型で運営されている。当然、受注が 多くなると対応が困難になる課題も発生するが、同社は十分な店舗バックヤードの 仕分・梱包スペースを確保することで、拡大する受注への対応を試行している。2011 年 1 月、同社は大森店(東京・大田)とアリオ札幌店(札幌市)で、ネットスーパ ーの配送頻度を、1日6便から10便に増やす実験を実施したが、この際、店舗に専 用の仕分・梱包スペースを設けて、対応した。今後順次、1日10便の地域を拡大し てゆくものとみられている。

住友商事の子会社サミットネットスーパーが運営するネットスーパーは、前述の 2 社が展開するネットスーパーとは異なり、センター型で運営されている。練馬区 と世田谷区の 2 ヶ所に倉庫を持ち、配送地域は、東京都内、及び神奈川県の一部を 対象としている18。同社はセンター型での運営を開始した結果、ピッキング等の作 業の効率化はもちろん、誤配率の低下等の効果も得られているという。

同社のネットスーパーで販売している品目数は、2010年8月時点で約4,000品目 あり、内500品目がネット専用商品(格安のミネラルウォーターや全国の産地直送 品等)であり、残りの 3,500 品目程度は店舗の商品と共通となっている19。ネット スーパーで予定通りに在庫が消化できない場合、生鮮食品等、長期保存が不可能な ものは、近隣のサミット店舗で販売している。ネットと店舗の双方で、在庫を共有 し、最適なチャネルでの販売が試行されているといえるであろう。

B) ソーシャルメディア・コマースの拡大

ソーシャルメディアは、2010年も急激な拡大を見せている。国内大手SNS3社(デ ィー・エヌ・エー、ミクシィ、グリー)の会員数は、各社とも右肩上がりで上昇し ており、2010年12月時点、ディー・エヌ・エーは2,448万人、グリーは2,383万 人、2011年1月時点でmixiは2,265万人に達している20

16 2011/2/9 日経MJ

17 2011/2/3 日本経済新聞 電子版

18 2011/2/9 日経MJ

19 2010/8/25 日本経済新聞 電子版

20 各社IR情報

各社の公表している年代別の会員構成比を見ると、各社とも30代以上の割合が4 割を超えており、利用者の裾野が着実に拡大していることがわかる。ディー・エヌ・

エーの提供するMobageでは、現在30代以上の割合は約4割であるが、「いい大人 の、モバゲー」をコンセプトに、CM 等によるプロモーションを展開しており、今 後も更に利用者の年代層が拡大していくことが期待される。

SNS利用者の特徴として、利用頻度が高いことがあげられる。gooリサーチが消費 者モニターを対象に実施した「ソーシャル・ネットワーキング・サービス利用実態 調査」によれば、SNS利用者の6割以上が週4 日程度アクセスしているという21。 利用者の増加に加えて、これら利用者のアクセス頻度の高さが、SNSの現在の活況 を産み出している。

図表 2.2-12 国内大手SNS3社の会員数推移

2,448

2,265 2,383

1,500 1,700 1,900 2,100 2,300 2,500

2010年1月 2010年2月 2010年3月 2010年4月 2010年5月 2010年6月 2010年7月 2010年8月 2010年9月 2010年10月 2010年11月 2010年12月 2011年1月

ディー・エヌ・エー ミクシィ グリー

(万人)

※点線部分は正確な数値が不明。

出所)各社IR情報

21 「ソーシャル・ネットワーキング・サービス利用実態調査」(gooリサーチ)

図表 2.2-13 国内SNS大手3社の会員年代構成比

22.0%

9.1%

20.0%

39.0%

50.2% 33.0%

39.0% 40.7%

47.0%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

ディー・エヌ・エー ミクシィ グリー

30代以上 20代 10代

出所)各社IR情報

SNS の活況を受けて、SNS 各社の業績は拡大している。ディー・エヌ・エーの 2010年第2四半期の売上高は、27,085百万円で前年同期比+216%であった。大幅 な増加を実現できた一番の要因は、ソーシャルゲームのアイテム課金が好調であっ たためである。同社の2010年第2四半期ソーシャルメディア事業の売上高は23,203 百万円で、対前年比 365%増となった。これは全売上高の 86%を占めている。更に これらソーシャルゲームの売上の構成比をみると、ゲーム関連の売上が18,655百万 円と、ソーシャルメディア事業の売上の約 80%を占めている。従来は、「アバター 関連(アバターのアイテム課金等)」、「広告」が収益の中心であったが、これらの収 益は横ばいに推移しており、現在では「ゲーム関連」が圧倒的な収益源となってい るといえる。同社は従来、「無料ゲームで集客し、媒体力を活かして広告等で収益を 確保する」ビジネスを取ってきたが、今後は「ゲーム自体の魅力を高め、ゲーム内 のアイテム課金で収益を確保する(ゲームが集客要素、収益要素の両方を担う)」ビ ジネスモデルを中心に据えるという。

同社が提供するソーシャルゲーム(SNS等で提供される、ユーザー同士が助け合 ったり、コミュニケーションをとったりしながらプレイするオンラインゲーム)は、

基本的には無料で利用することができる。あくまで、ゲーム中で利用可能なアイテ ムを購入する際に、支払が発生する仕組みとなっている。同社のソーシャルゲーム におけるアイテム課金は、アイテムを入手するために必要な時間をお金で買う、と いう考え方で提供されており、有料のアイテムを入手した利用者と、していない利 用者でゲームの内容が異なるような設計はなされていない。同社は現在、現在では、

約 600種類のソーシャルゲームを提供している。同社は 2009年よりソーシャルゲ

ームの自社開発を開始しており、600 種類のうち、9 割以上のゲームがオープンゲ ーム(提供パートナーによるゲーム)で、同社の自社開発によるゲームは 1割にも 満たない。

ゲーム開発のオープン化に関して、同社は2010年1月より「モバゲーAPI」を開 放している。これにより多くの開発パートナーが、モバゲープラットフォーム上で 稼働するゲームの開発を行うようになった。近年では、プラットフォームの集客力、

信頼性を評価され、提供パートナーとして大手ゲームメーカーも参入しており、「信 長の野望」、「モンスターハンター」のスピンオフ作品等のMobage版も提供されて いるという。

同社が提供する代表的なゲームとして、「怪盗ロワイヤル」、「海賊トレジャー」等 があげられる。人気の高い「怪盗ロワイヤル」は、世界各地でミッションを達成し ながら他の盗賊と争い、宝物の収集を目指すゲームである。仲間を増やすことで手 下が増えたり、協力して宝を集めたりでき、ユーザー間のコミュニケーション要素 がゲームに盛り込まれている点が特徴的である。SNS上の日記やコメント等でコミ ュニケーションをとることは敷居が高い(どのような反応がされるかが不安等)が、

ソーシャルゲームでのコミュニケーションは、ゲーム攻略に関する質問をする等、

気軽にコミュニケーションをとることができるという。

ソーシャルゲームの課金ビジネスは、流行廃りのサイクルが早く、利用者を飽き させない工夫が欠かせない。同社では、ゲーム内で定期的にイベントを実施する、

会員数の状況等に合わせてアイテムの流通量を調整し、アイテムが流通しすぎたり、

少なすぎたりしないようにする、既存ユーザーと新規ユーザーとの間で格差が生じ すぎないように、等の対応を日々実施しているという。

また、同社は近年著しいスマートフォン等の浸透を受けて、ソーシャルゲームを 含むバーチャルコミュニティの展開デバイスとして、これまでの携帯電話に加えて、

PC、スマートフォンでの提供を積極的に推進する方針(クロスデバイス戦略)であ る。端末毎に利用者の利用シーン、楽しみ方が異なるため、端末に応じたゲームの 設計を行っているという。例えば、携帯電話ユーザーは隙間時間にゲームを楽しむ、

PCユーザーはしっくり腰を据えてゲームを楽しむ、等のプレイスタイルの違いに対 応するため、ゲーム性、ストーリーの長さ、画面レイアウト等はそれぞれ最適化す るようにしている。また、スマートフォンには、特有の機能(加速度センサー等)

があるため、これを利用したゲームの開発も今後試行する予定である。

青少年保護の観点から、携帯キャリアは、20歳未満ユーザーの利用上限を1ヶ月 1 万円と決めている。携帯電話の契約者が本人(青少年)ではなく親の場合、利用 上限額の設定が無効になってしまうが、NTT ドコモ、au では、課金の際、毎回、

暗証番号を入力する必要があり、使いすぎの防止につながっているという。

また、アイテムの中には、特定のアイテムを購入するタイプの他に、「ガチャガチ ャ」タイプ(ガチャガチャを回して、ランダムにアイテムを購入するタイプ)も存 在する。

ミクシィも、インターネットメディア事業(「mixi」サイトの運営等)の2010年 第2四半期売上高は、3,891百万円と、前年同期比22%増となった。同社の売上は、

このインターネットメディア事業が 9 割以上を占めている。インターネットメディ ア事業の売上は SNS サイト mixi の広告主企業から得られる「mixi 広告」収益と

「mixi アプリ」における利用者からの課金収益で構成されているが、2010 年第 2 四半期において、「mixiアプリ」等による課金収益は 611 百万円であり、インター ネットメディア事業の売上の、約16%が課金収入であった。この課金収益は次第に 増加しており、今後、更に拡大することが想定されるが、同社は広告収益も、まだ まだ拡大の余地があるとみている。

同社は mixi アプリを友人間のコミュニケーションを円滑にしていくためのツー ルと認識している。同社が2010年12月現在、「mixiアプリ」よりユーザーに提供 しているアプリのすべては、パートナー企業からの提供によるものであり、提供ア プリ数は現在約2,200に達する。この12月には、海外最大手ソーシャルアプリケー ションプロバイダー(以下「SAP」)ジンガ社のアプリ「Farm Ville」の提供を開始 した。また、SAP 向けに、「mixi アプリ」内の所定の位置に広告を掲載することが できる「mixiアドプログラム」というサービスを提供している。

端末別にページビューをみると、モバイルが PC と比較して大きいという。一般 的に言われる画面が小さいことの弊害は、あまりないと同社はみている。近年、ス マートフォンの普及等を受けて、モバイルからのアクセスは増加傾向にあり、その 動きを踏まえて、同社は2年前からmixi内で日記以外に、「フォト」「つぶやき」「位 置情報発信」の機能を追加してきた。

同社は今後、スマートフォン等の浸透を受けて、スマートフォン端末特有の性質 を利用したサービス展開を図っていく方針であるという。スマートフォンのブラウ ザに最適化した「mixi Touch」や、ダウンロード可能なアプリを拡充していく。更

にiPhone等の外部プラットフォームとの連動を活かして、共にサービス価値を高め

ることが、基本的な方針である。

同社は新たなプラットフォームとして、「mixi Plugin」と「mixi Graph API」の 提供を開始している。「mixi Plugin」は、あらゆるWebサービスを簡単に「ソーシ ャル化」できる仕組みである。お気に入りのコンテンツ(ニュース、動画等)を共 有する「mixiチェック」とWebサービスを連携する機能や、mixiボイス、日記、

カレンダーの投稿等を Web サービスと容易に連携可能な仕組み等が提供されてい る。「mixi Graph API」は、Webサービス等のメディアや、家電、情報端末から「mixi」