D-1-2- 図 -1 「付属資料詳細」 _1
V- D 資料別撮影方法 D-1 共通項目
1「スケールおよびカラーチャート」
画像を記録として使用する意図からすると、同一資料内の特定のカットを頒布や印刷等の用途に供するこ とも考えられる。その場合、大きさや色に対する目安が写り込んでいることは必要だが、全カットにこれら を配置する技術的困難もキャプションと同様に考慮されたい。「配置することが困難な場合はその限りでは ない。」の文言を入れるのがよい。
厚みのある資料にスケール、カラーチャートを配置する場合、資料の大きさを正確に表示できないことや 資料のピント面に配置されていないため画像がボケる。この場合の許容値を規定する必要がある。例として C-3-1-図-3「画面構成詳細」̲3を参照。
仕様書文言(例)
・「全てのカットにスケールおよびカラーチャートを配置すること。ただし配置するのが困難な場合
(分割撮影等で画面に余白がない場合等)はその限りでない。」
・「スケール、カラーチャートは資料面(つら)位置にくるように配置すること。」
・「資料の厚みが*㎝以上のものについてはスケールカラーチャートを資料面(つら)位置にくるよう に配置すること。」
・「表紙には天地左右にスケールを配置すること。」
・「巻子本には全カットにスケールを配置すること。」
V-D-1-1-図-*「スケール、カラーチャート配置図」̲*参照。
V-D-1-1-図-4「画面構成例」参照。
2「間紙」
ーバリエーションー
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間紙は「あいし」と呼称する。間紙をすることを入紙と言っている。対象となる資料は袋綴本で料紙が薄 く裏写りがあり判読に支障をきたすもの。間紙はマイクロフィルムでの撮影では一般的に行われている。マ イクロフィルムの場合、裏文字と表文字の区別がつきにくくなるため入紙する傾向がある。カラーの場合は 裏文字と表文字を識別できる度合いが高まるため、間紙が必要となる対象は限られてくる。
間紙の要不要は各資料ごとに指示することが望ましい。「間紙の必要なものは」などの文言で指示する と尺度によって製品にばらつきができるため、発注者側が事前に各資料に対し要不要を決め、リストで指示 することが望ましい。入紙の手間を考えると入札や見積もり段階で全体の何割に入紙が必要がか判明してい れば正確にコストを算出できる。
入紙の仕方(形状)は大きく2種類ある。①本の天地に間紙がはみ出た状態のもの。②資料と原寸(わず かに小さく)に入れ、間紙を見えなくした状態のものである。マイクロフィルムでは前者を多く採用してい る。
①の特徴は入紙のし易さにある。多くの場合、間紙の天地は画像からはみ出るため、間紙の位置合わせに 正確性を要さない。資料からの抜き忘れも皆無といえる。
②の特徴は外観が原資料と変わらないということである。しかし、外から間紙の存在が分からないため、
抜き忘れには注意する。
間紙の入れ方を「原寸」と指示した場合、「資料よりはみ出てはならない」と指示する。また、資料原寸 より何ミリ程度小さくてよいかの許容値を指示する。「上下出し」と指示した場合、画面構成に影響を与え ることも考慮する。
漢籍等破損のおそれがある資料に対しては撮影者の判断に任せず指示する。通常、漢籍には間紙は入れな い。理由は和紙と異なり(竹紙)紙質が脆弱であること。漢籍に間紙入れをする場合は資料単位で指示す る。「破損のおそれがあるものには入紙をしないこと。」等の曖昧な指示は避ける方がよい。
間紙入れの基準は裏写りの状態に応じて基準を設けるべきである。
撮影者に間紙入れの判断を任せると、トラブル回避から入れる傾向になる。資料保存の観点からは入れて はいけない基準も設ける必要がある。V-D-1-2-図-4(製作中)に例示した。
また、間紙に用いる紙も指示する必要がある。撮影コストに関わるため、中性紙などを用いる場合は使用 に記載することが望ましい。
全資料に間紙入れを指示する場合は、間紙入れによって資料の破損がないことを確認する。実際に入紙が できなかった場合(糊付されていた等)の処理方法も考慮する。
間紙入れによって破損のおそれがある場合はその限りではない、などの文言を添えるのが無難。
仕様書文言(例)
・「 間紙入れの指示のあるものは入紙をして撮影すること。」
・「間紙を入れなければ判読が困難なものについては入紙をして撮影すること。ただし、虫損や癒着等 により入紙が困難な場合はその限りでない。」
・「 袋綴じのものには間紙を入れて撮影すること。」
・「 間紙は資料原寸よりはみ出てはならない。」
・「 使用する紙は事前にサンプルを提出すること。」
V-D-1-2-図-*「間紙」̲*参照。(一部製作途中)
3「画面上の異物」
画面上の異物は2種類ある。資料などから落ちた塵埃とカメラのセンサーに付着するセンサーダストと呼 ばれるものである。どちらもNG対象となる基準は必ず具体的数値をあげて明記する。
レタッチを認めるかどうかも事前に協議しておく。レタッチで処理した場合もRAWデータが納品対象と なっている仕様では注意を要する。画像作成のワークフローでは、撮影でRAWデータを作成し各種汎用形 態に変換する。納品形態がTIFFとPDFであれば、RAWからTIFFを作成しTIFFをPDFに変換する。TIFF画像 をレタッチした場合はRAWには反映されない。RAWをレタッチする方法ではRAW,TIFF,PDFと全納品物に 処理が反映されるが、RAWに加えたパラメータが反映されるかどうかは使用する現像ソフトに依存するこ とになる。V-B-1-1を参照。
仕様書文言(例)
ーバリエーションー
・「背景紙に落ちた塵埃は□ピクセル以上のものは再撮影の対象とする。」
・「センサーダストは□ピクセル以上のものは再撮影の対象とする。」
V-D-1-3-図-*「画面上の塵埃、センサーダスト」̲*参照。(製作中)
4「資料の傾き」
□%(□度)以内とする。
再撮影の対象とする場合は資料のどの部分を基準に何度以上の傾きかを明記する必要がある。
例えば、一紙もの等の資料で本紙と匡郭がずれている場合どちらを基準にするのか。
仕様書文言(例)
・「 □%(□度)以内とする。」
V-D-1-4-図-1「 資料傾き見本」参照。
5「ターゲット」
マイクロフィルムでは一般的な方法である。
ターゲットとは指標の意味であるが、独立した1カットに写される図板の意味で用いた。通常マイクロ フィルムでは「解像力試験図票」が配置され、縮小率が表記された図板や撮影資料に先立って撮影される書 誌情報を表記した「文献ターゲット」などがある。キャプションやスケール、カラーチャートなども一種の 指標であるが、この場合は文献ターゲットを指す。
仕様書文言(例)
・「資料の撮影に先立ち、当館指定のターゲットを撮影すること。」
V-D-1-5-図-1「ターゲット撮影方法」参照。
6「白紙の撮影」
白紙が三丁以上続く場合,最初の1カットは白紙を撮影し、次のカットで「以下白紙□丁」というター ゲットまたはキャプションを写し省略する方法もある。
仕様書文言(例)
・「白紙が続く場合は指定のターゲットを撮影し、省略すること。」
V-D-1-6-図-1「撮影例白紙」参照。
7「担当者との協議」
担当者との協議はプロジェクトの遂行に必ず必要だが、できれば協議する内容を具体的に記載することが 望ましい。
・喉部分の文字が綴じ込まれている場合。
・仮綴じ製本(洋書)で折丁の切断がされていない場合。
・袋綴じで紙背のある場合。
・異物が固着している場合。
・不審紙が付けられている場合。
これらは本来事前にどの程度あるかを調査する必要があるが、撮影前に精査できない場合はやむを得ずこ のような具体的状況を指示する。受注者側では悉皆調査がされていないことが分かり、コストの算出の参考 にできる。
仕様書文言(例)
「 以下の問題が発生した場合はその都度担当者と協議すること。」
8「虫損」
ページ下に敷く紙は間紙と区別するため以下「差紙(さしがみ)」と表記する。
差紙を本紙と原寸にするか、本紙よりはみ出してよいかを指示する。
間紙は入れられないという前提の作業である。
ーバリエーションー
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また、虫損によりページ同士が付着している場合、剝がしてもよいかどうかを指示する必要がある。一般 的には、虫損箇所の欠落がない状態のものは資料を破損させない前提の元で剝がして撮影する。
V-D-1-8-図-1「虫損処理方法」参照。(製作中)
9「資料付属物(共箱、帙等)の撮影」
複写という性質上立体物の撮影は仕様に盛込むことが望ましい。特に表記のない場合は箱は上蓋と書き入 れのある箇所、帙は正面のみ。背表紙に書き入れがあり、展開して撮影する必要がある場合は明記する必要 がある。
付属物のフォルダー構成は指示する。例、「一冊目の先頭に撮影すること。」「別途フォルダーを設ける こと。」
仕様書文言(例)
・「外装容器は本文に先立って撮影すること。」
V-D-1-9-図-*「帙共箱撮影見本」̲*(一部製作途中)
V-D-1-9-図-5「帙共箱撮影見本」̲5参照。
10「付属資料の撮影」
文言での説明は複雑になるので図や写真で説明することを推奨する。
「挟み込み資料は担当者に報告し、撮影箇所の指示を受けること。」
その都度担当者の判断を仰ぐ場合は必ず仕様に記載する。また、対象資料がどの位あるのか事前に精査 し、撮影途中に常に担当者と意思の疎通が図れるのかどうか考慮する必要がある。
「銀杏の葉、煙草の葉、植物の種子等の防虫目的で挟まれていたものも撮影すること。」
挟まれていた状態を撮影するか、表裏を撮影するか等具体的に指示する。
仕様書文言(例)
・「付属資料の撮影方法は V-D-1-12-図-*「 撮影方法付属資料」̲*」に準拠すること。」
・「付属資料の撮影は担当者に報告し指示を受けること。」
V-D-1-12-図-*「付属資料撮影例」̲*参照。
11「キャプション」
発注者、受注者どちらかがキャプションを製作するのか必ず事前に協議する。受注者に製作させる場合は 仕様に盛込む。
キャプションを配置する画面の位置、向き、キャプション自体の大きさ、文字の大きさは詳細に協議す る。
画面の位置を指定する場合、資料の陰等がキャプションにかかったときの対処法など具体的に指示する必 要がある。
厚みのある資料にキャプションを配置する場合、資料のピント面に配置されていないため画像がボケる。
この場合の許容値を規定する必要がある。ボケ(被写界深度)の例としてC-3-1-図-3「画面構成詳細」_3
(検討中)を参照。
画面内のどこかに入っていればよい、との意であっても、ディスプレイで表示されたときクレジットが読 める大きさであるとか、Web用にリサイズしたときに文字が解像されていなくてはならないなどを考慮する 必要がある。
連番のキャプションを画面に配置する場合は注意する。とりわけ発注者側の判断で(担当者立ち会いの下 で)キャプションを置く場合、キャプションのミスで再撮影となれば発注者側の負担になることを考慮す る。
連番の抜けやコマ落ちなどは予測し、枝番号で対処するか再撮影するかを予め決めておく。
仕様書文言(例)
V-D-1-11-図-*「キャプション配置方法」̲*参照。
12「ライティング」
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