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「1、カメラはRAWモードで撮影すること。」

 JPEGをTIFFに変換することは行わない。

「2、PCとの連結撮影とする。」

 連結(テザー、リモート)撮影も同様。画像確認等スムーズな作業は双方のメリットとなるため。

「3、カメラのモードはマニュアルとする。」

  複写の場合当然と思われるが、マニュアルモードでの撮影では「絞り」「シャッタースピード」「ISO感 度」の適切な設定が前提となる。

 「絞り」

複写という性質上 F8〜F16程度が望ましい。

「シャッタースピード」

定常光の場合はカメラブレ、被写体ブレを考慮した数値で。

「ISO感度」

ISO100を基本として数段の増感を認める。ISO100と比較して画質低下がないことが条件。

「4、真俯瞰撮影とする。」

 通常は資料を平面に据え、真上にカメラを構える真俯瞰撮影を前提とする。

C-2 撮影機材

「1、デジタルカメラはレンズ交換式一眼レフタイプとする(有効画素数2000万画素以上)。」

 解像度で指定することもできる。この場合、画質は発注者が責任を持つ。

  画素数、解像度共に指定した場合、撮影サイズが決定するので、対象資料の大きさが撮影サイズに収まる のかを事前に確認する。

  ここではカメラの画素数を規定しているため、資料の最小文字が判読できる画角で撮影することを基本と する。すなわち、資料が大きく文字が小さいものは分割撮影される。

レンズ交換式一眼レフを指定した理由。

・単焦点のマクロレンズを使用するため。

・デジタルバックの場合、バックとカメラ本体の組み合わせが複数存在し、品質と機材の整合性を確認 しづらくなるため。

 2000万画素を指定した理由。

・古典籍資料の一紙の大きさがほぼA2サイズの紙に相当する大きさ(60cm 45cm)で撮影画角 70cm 50cmで200ppi程度を確保できること。

・Canon、Nikon、Pentax、Sony、Licaという主要メーカーの一眼レフカメラのラインナップが2000万 画素以上ということ。

 35㎜フルサイズ、APS-Cかは問わない。

「3、レンズはマクロレンズとする。」

 マクロレンズの指定は以下の理由による。

・歪曲収差が補正されている。

・画面周辺まで均一な描写である。

ー仕様書最小構成̲注釈ー

  この条件のレンズはマクロ以外にも存在するが、マクロ(マイクロ)と銘打つものであればある一定以上 の品質を維持できるという理由で指定した。

「4、照明光は熱源や紫外線に考慮したものとする。」

・タングステン光は撮影時以外は光量を落とす。蛍光灯は紫外線カットタイプを使用する。LEDも高演色タ イプは紫外線LEDを可視光に変換しているため、何らかの紫外線カットが施されたものとする。ストロボは 瞬間閃光のため特に処置は求めない。モデリングランプ(ハロゲン)の熱を考慮し、適切な光量で使用する ものとする。

「5、ガラスは適宜使用するものとする。」

  ガラスを適宜使用するの意味は、ガラスを使用しなくても十分資料の平面性が保てるもの、ガラスを使用 するのが困難なもの以外は原則使用するの意味。複写という性質上平面性を重視している。

  なお、1アイテム内でガラスの使用不使用は統一する。やむを得ない場合は現像処理で色や明るさを調整 するものとする。

  使用するガラスは通常のフロートガラス、高透過ガラスを問わないが、無反射ガラスはその性質上(すり ガラス様)資料と密着している部分以外は画質が低下するため用いてはならない。

V-C-2-3-図-2「無反射ガラス」を参照。

  資料の適切な保持と保護を考えるとブックホルダーの使用が望ましい。しかし、資料の多様性を考慮する と一概に使用を強制できないため規定はしていない。参考としてV-C-2-4-図-*「ブックホルダー」̲*を参照 されたい。

  製本や劣化状況によりガラスで資料が押さえられない場合は、まずブックホルダーの使用を考える。ブッ クホルダーも使用できない場合は担当者と協議し、竹串、竹篦、ムシピンやテグスなどで資料の一部を固定 するなどの処置をとる。

 使用するガラスは厚みを問わないが、傷のないものを用い、汚れを清拭した上で使用する。

「6、コピースタンドまたは同等の機能を有する装置を使用すること。」

  単焦点であるマクロレンズを使用することが前提のため、撮影距離を自由に変更できる装置が必要とな る。スタジオスタンドなども含む。原則としてエレベータ機能を有する三脚は使用しない。

C-3 画面構成

「1、資料は画面のアスペクトに応じた向きに配置し、過大な余白は設けない。」

 資料自体のアスペクトも考慮の上柔軟に対応する。

C-3-1-図-*「画面構成詳細」̲*参照。

「2、冊の途中で縮小率を変化させない。」

  冊の途中で縮小率を変化させない撮影方法は、ビューアーで表示させたときに本資料と付属資料との大き さが明確に分かる利点がある。

  撮影方法としては「ブックホルダー」の使用が望ましいが、撮影距離を変化させなければ方法は問わな い。参考として V-C-2-4-図-*「ブックホルダー」̲*を参照されたい。

「3、冊の途中で縮小率を変化させる場合はスケールを写し込むこと。」

  一般的に冊子本の途中で付属資料を撮影する場合、縮小率を変化させたカットにスケールを写し込めばよ く、本文に戻ったときに再度スケールを写し込む必要はない。

  縮小率の変化は色や、明るさを変化させるためカラーチャートもスケール同様必要と思われるが、背景紙 で調整が利くと考え冗長性を排した。

ー仕様書最小構成̲注釈ー

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「4、1カット目にスケールとカラーチャートを配すること。カラーチャートはコダック社製かエックスラ イト社製のものとする。」

 全カットにスケールやカラーチャートを写し込む場合は指示する。

  カラーチャート(カラーパッチ)はコダック社製かX-right社製のものを使い分ける方法がよい。前者は 縦長で資料の余白に配し、後者は厳密な色の管理に向いている。エックスライト社製のものは本文の余白に 配することが困難で、表紙の余白(1カット目)に写し込むのに適する。

  一般的に冊子は天地左右の大きさを記述するが、画像内のスケールは画像のおおよその縮小率や資料の大 きさの目安として配置している。資料の大きさは書誌情報としてコーディングされている前提でいる。その ため画像のいずれかの位置にスケールが配置されていればよいとの認識である。

C-3-1-図-*「画面構成詳細」̲* 参照。

D-2-1-図-2「冊子本表紙プレースメント」参照。

「5、背景紙(バックペーパー)は無彩色のものを用いること。」

  背景紙は原則無彩色の紙(白、グレー、黒)を用いる。指定のものがある場合はメーカー型番で指示す る。通常は反射率50%か18%のグレーを用いる。撮影前に担当者に提示し許可を受ける。

  布を用いる場合はモアレ発生のリスクを考える。当初の利用目的でモアレが発生していなくても、WEB 用にリサイズした際にモアレが発生することもある。資料への糸くずの付着も考慮して本ガイドラインでは 紙を使用するものとする。

 なお、背景紙も色を特定する要素となるため、1アイテム(1冊)の中で背景紙を変更してはならない。

C-3-5-図-1「背景紙」参照。

「6、画面内のゴミ(資料から落ちたもの、センサーダスト)は極力取り除いて撮影する。」

  古典籍資料等を展開すると必ず塵芥は落ちる。全てを取り除くことは不可能なため,極力という曖昧な表 現としている。背景紙に落ちたものについては現像時のレタッチも許容している。

 センサーダスト(イメージセンサーについた汚れ)も微細なものはどのカメラにも付くとの前提でいる。

D-1-2-図-1「異物付着例」

B-4-6-図-1「 センサーダスト詳細」参照。

「7、資料の傾きに注意し、画面内に適切に配置する。」

  古典籍資料では完全な正方形、長方形は存在しない。そのため画面内で自然に見える傾きや文字の方向に 合わせる方法も取る。冊子本などは喉のラインを基準にする。

  極端な傾き以外は許容する。極端な傾きとは撮影者の傾きに対する基準を判断できない場合をいう。画面 上で明らかに不自然に見え、撮影者が何を基準に位置合わせをしたのかが明確でないものをいう。

 本ガイドラインでは冊子本などの複雑な形状のものは2 。一紙ものや巻子本などは1 を目安とする。

C-3-7-図-1-*「 資料傾き詳細」̲*参照。

D 資料別撮影方法

D-1 共通項目

  ライティングについては複写という性質上、文字や色再現を重視するためD-1-図-1「複写のライティン グ」のD-1-図-1̲1,2を基本とする。複写といえども完全に平面のものは存在しない。影の出方で判読性が 変化するもの(冊子本のノドなど)、照明の照射方向で光沢感や立体感が変わるものなどがある。複写の基 本ライティングはD-1-図-1̲1,2のような4灯ないし2灯を基本とする。冊子本のノドの判読性に影響が出 る場合は、D-1-図-2̲3のように照射角度を大きく変化させない方法で、資料の情報再現性に応じて方法を 選択する。D-1-図-1̲3,̲4のように照明のセッティングを大きく変更しなければ再現できないものについて は具体例と撮影対象箇所を提示した上で仕様書に記載し指示するものとする。

ー仕様書最小構成̲注釈ー