C<#2TEG>
第5節 Dの事例
□:男性 ○:
■:男性(死亡) ●
・圏・・臼・・@離女囚
D:35歳既婚女性◎
女性
:女性(死亡)
結婚
ロロロ ロ コロロ コ ロロロ のロ ロコ のロロ
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○ ○
○
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:
1 Dの生育歴
【両親(第1世代)から母親D(第2世代)への世代間伝達】
Dは,婿養子の父親と母親の間に(男男女)の長女として生まれた。母方祖父 は半身不随状態で寝込んでおり,その看病を母親の姉が面倒を見ていた。一緒 に生活していた母親の姉は心臓を患っており,Dの父親との仲が悪かった。父 親は口うるさく自分の考えをDに押しつけてきた。Dは「11歳年上の兄は,
大学へ行って教員になりたかったが,父親に役場に勤めるように決めつけられ
た」と語った。Dは「父親は『勉強したのか?』と言って,テレビを消してし まったことがあった。いつも怒っているイメージが強い」と語った。Dは「母 親は嫁にいっていないので,苦労がわからない人。家のことも子どものことも かまわない人であった」と言う。Dは小さい頃から母親の姉に懐いており,ず っと一緒に寝ていた。Dは「小学校の頃父親が怒って私を蔵に閉じこめたとき も,母親の姉が助けてくれた。自分にとっては母親のような存在であった」と 語った。Dは父親似で肌の色が黒いことに対してすごい劣等感を抱いていた。
2 エゴグラムからみた世代間伝達
【両親(第1世代) → 母親D(第2世代)への世代間伝達】
●Dのエゴグラム
【ABCAA】A低位型
(現実無視,白日夢タイプ)
「使命感とか責任感が,つね に重たくのしかかっている人で す。やりたいことをやり,いい たいことをいいながら,人には よく思われようと気をつかうの で,ちぐはぐな言動がいつも目 につくようになります。理想と 欲望に振りまわされながら,し
きりにイイ子になろうとしても がくのですが,そこをすり抜け る適応手段がヘタなので,非常 に強いストレスをうける可能性 があります」。Dは子どもを塾 に通わせることに対して,他人 には塾なんて必要ないと言いな がらも,将来のために子どもを 無理にでも塾に行かせようとす るなどの自己矛盾が起きること がよくあった。
TEGエゴグラム・プロフィール
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17 15 P6 14
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1 3 4 2 1 2 2
2 31 2
1 1 1
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男女 男女 男女 男女 男女
CP NP A FC AC
1
H
皿 IVV
図2−5−2DのTEG
●Dの父親のエゴグラム
【ACBCB】W型(厭世タイプ)
「きまじめで冷たい人間です。
情に動かされるということがま ったくないタイプで,無表情,
無感動にものごとを運んでいき ます。他人にも自分にも厳しい タイプです。コツコツとネクラ に努力を積みかさねていくだけ で,金がいくらたまっても,き
らびやかな生活をするとかいう こととは,まったく無縁です。
人情の機微を理解しようとしな いで,一言で表現するならば『無 味乾燥型人間』といえます。1
+1=2にならなければ絶対に
承知せず,プラス・アルファは 求めないけれども,それ以下に なることも絶対に赦さない,融 通性と思いやりに欠けたタイプです」。
TEGエゴグラム・プロフィール
Dの父親は,戦争でシベリア に行ったことがあり,その時の
苦労は並大抵のものではなかつ 図2−5−3Dからみた父親像
た。婿養子に入ったこともあり,
意固地になって自分が一番正しいと思っており,人付き合いができない人であ った。大学への進学を希望した長男に対しても,自分の意見を優先させて役場 へ勤務させた。
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男女 男女 男女 男女 男女
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1
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皿 IVV
●Dの母親のエゴグラム
【CBCBB】N型(お人よしタイプ)
「あなたは出世欲とか名誉心 のほとんどないタイプです。意 欲が欠乏しているとか,ルーズ であるという側面もあって,は
なから自分には縁のないもの
と,あきらめかかっているよう なところがあります。そういう 人生観をもつにいたった最大の 理由は,過去においていろいろなことに挑戦してみたときに
『いすかの階のくいちがい』と いうように,事のなりゆきと自 分の思惑のポイントが,いつも 大きくズレていった経験や失敗 が大きく作用しているように思
われます」。
TEGエゴグラム・プロフィール
Dは「母親はいろいろと心配 はするのだが,そのことをうま
く表現できない人だ」と言う。
母親は畑仕事だけを考えてお
り,父親にも子どものことにも知らんぷりであった。母親の姉 図2−5−4Dからみた母親像
が一緒にずっと生活していたの
でいたので,自分の存在価値を見いだすことができなかったとも思われる。
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CP NP A FC AC
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V
●〈東大式エゴグラムにみる考察〉
Dの父親は,批判的な親のCPが17(98パーセンタイル)と高く,母親2(10 パーセンタイル)と低い。その反対に父親の養育的な親であるNP2(0.6パー
センタイル)と低く,母親16(70パーセンタイル)と高い。このことはDには父 親が非常に煙たい存在であったと推察される。Dは母親の姉から母親以上に愛 情を受けてきたことを,Dの養i育的な親であるNP16(70パーセンタイル)に 示されたと考える。Dは3人娘の真ん中のY子に対してだけ,異常なほど気に
くわなかった。Dは「私とY子は性格が似ていて,このままだとどうしようも ないくらいひどい子どもになってしまう」と泣きながら筆者に訴えてきた。D はY子に対して一生懸命しつけようとするのだが,大人であるA8(25パーセ ンタイル)と低いために混乱をきたしていた。Dは順応したいい子であるAC 14(85パーセンタイル)と高く,同じようにCPも高いので,自己否定・他者 否定的な生き方となり,自己矛盾した対応をしてしまう結果になったと推察さ れる。DのY子に対する厳しい暴力的な態度は, Dなりの愛情の裏返しが,憎
さとなって表現されていた可能性が高い。Y子はDの心の裏側を知る由もない ので,自分だけが姉妹の中でのけ者にされいじめられる毎日であった。
3 Y子の生育歴
【母親A(第2世代)からY子(第3世代)への世代間伝達】
Y子は,(女女女)の二女として生まれた。Y子は3姉妹のなかで叱られなが ら育てられた。Dは「Y子が自分の言うことを聞かなくて,謝ることもできな いことに腹を立てて,車で山へ連れて行って,ここで降りうと言ったら,降り ないと思ったのに,Y子は車から降りて山の方へ行ってしまった。なんて強情 な子なんだ」と泣きながら語った。Dは「Y子が姉妹と同じように祖父に甘え にいっても,喧嘩になってしまうことが多く。Y子がすねてしまうことがある」
と言う。そうなるとDは頭にきてY子に「お前なんか出ていけ,そんなことを 言う子はうちの子じゃない」と叱ってしまった。Y子は裸足で真っ暗な中を出 ていってしまった。Dは「うちの家系でY子だけが太っていて,リレーの選手 にも選ばれない」と批判した。Y子は必死にD(母親)の愛情を獲得しようとす るのだが,いつもDとの歯車が合わなくて,ひねくれていく一方であった。こ のままではY子の将来が思いやられると感じたDは,体罰的なしっけ(身体的 虐待),蹴ったり叩いたり,山に放置したりすればY子がよくなるだろうと思
って,必死にやっていた状態が続いていた。
4 Dの事例にみる世代間伝達に関する考察
Dは父親似である黒い肌に対して非常に強いコンプレックスを抱いて生きて きた。3人の娘のうちY子だけが,肌が黒かった。Dは無意識的に自分の生育 史の中で感じてきたコンプレックスをY子にダブらせていたと思われた。この
ことはDとの面接終了後,2年後のインタビューでわかった。DはY子が自分 に似ていることが憎かった。Dにとって肌が黒いことは不幸な人生を意味して いた。Y子の肌が黒いことは遺伝でありどうすることもできない事実であった が,そんなこととは気づく由もなく,DはY子に身体的・心理的虐待を繰り返 していった。このことからDの事例では,Dが虐待を受けてきた事実はそれほ どないけれども,父親似である黒い肌に対するコンプレックスが世代を越えて,
DをY子への虐待へと走らせて原因であったと推察される。Dの事例の虐待の 世代間伝達を断つための過程については,第3章で述べることとする。