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Colored black hole 解

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第 3 章 高次元 Einstein-Yang-Mills 系 23

3.2.3 Colored black hole 解

R. BartnikとJ. McKinnonによる粒子解が発見されてまもなく、M. S. Volkov, D. V. Galt’sovやP.

Bizonらは同じ理論における非自明なblack hole解を発見した[25]。この解はcolored black hole解と呼ば れる。この解が発見される前までは、重力場と電磁場が結合したEinstein-Maxwell理論におけるblack hole

解はKerr-Newmann解に唯一に決まることから、星などが崩壊してblack holeになるときはその崩壊過程

でほとんどの情報は失われ、定常状態では質量、角運動量、電荷の3つの物理量しか残らないであろうと 考えられていた(black holeの無毛仮説[42])。Colored black hole解やこの解を拡張した解は無毛仮説の反 例となる可能性があり、非常に興味深いものといえる。以下でこの解について説明する[25, 37]。

3.2.3.1 外部構造

Black hole解は一般に特異点が存在するため[29]中心r= 0での正則性は課さない代わりに、正則なevent horizonの存在を仮定する。すなわちevent horizonの位置をr=rhすると、

2μ(rh) = rh (3.46)

3.2. 4次元Einstein-Yang-Mills系 31

図3.4: 4次元colored black hole解におけるADM質量とhorizon半径rh(文献[37]より転載)。nはnode の数を示す。n= 0はSchwarzschild black hole解、n=はReissner-Nordstr¨om black hole解を示す。

が境界条件となる。また方程式(3.31)の正則性より、w(r)については w|r=rh = wh(1−w2h)

rh[1(1−w2h)/rh2] (3.47) という境界条件が必要となる。ここで、wh=w(rh)と定義した。またevent horizonの外側は正則であるた め、r > rhに対しては(3.41)を課す必要がある。r=での境界条件は粒子解と同じように(3.42), (3.43) となる。以上の境界条件よりevent horizonの位置を決めEinstein-Yang-Mills方程式(3.29)-(3.31)を数値 的に解くと、parameterwhに対し離散的に非自明な解が得られることがわかる。図3.3に得られた数値解 の振る舞いを示す。但し、event horizonの位置をrh= 1とした。Colored black hole解は粒子解と同様に 離散的に可算無限個存在し、それぞれの解は正の整数nによって番号付けられ、nはgauge場w(r)のevent horizonの外側にあるnodeの数に対応する。各node nにおけるcolored black holeのparameterwh, M を表3.2に示す。

粒子解と同様に式(3.45)によって実効的電荷関数Q(r)を定義し、得られた数値解においてこの関数分布

表 3.2: 4次元colored black hole解におけるnodeの数nとparameterwhおよびADM質量M の関係。

n= 4まで示す。

n wh M

1 0.6322 0.9372 2 0.3452 0.9938 3 0.1876 0.9994 4 0.1023 0.9999

図 3.5: 4次元colored black hole解のevent horizonの内側の構造(文献[37]より転載)。左図:質量関数 μ(r)およびgauge potentialw(r)の振る舞いを示す。nはnodeの数を示す。右図:n= 3のcolored black hole解の質量関数の対数値lnμ(r)、lapse関数δ(r)およびgauge potentialの微分値w(r)/(20r)の振る舞 いを示す。

をグラフに表すと図3.3のようになる。Event horizonの外側の時空および実効的電荷関数は粒子解のとき と似たような振る舞いを示している。すなわち、event horizonの近くでQ(r)が顕著に現れる領域が存在 し、この領域ではgauge場及び時空はReissner-Nordstr¨om解(3.36)-(3.37)と似た振る舞いを示す。Event horizonから離れた領域ではQ(r)は0に漸近し、時空はSchwarzschild時空に漸近する。

ここで、black hole熱力学の観点から、ADM質量Mのhorizonの半径rhに対する依存性を考える[20]。

Black holeのentropySはEinstein重力理論においてはblack holeの表面積Aに対してA/4となるため、

rhが大きいほどentropyは大きくなる。図3.4にMrhの関係を示す。これを見ると質量M を同じに 取ったときcolored black hole解のhorizon半径rhはSchwarzschild black hole解より常に小さくなる。こ れよりcolored black holeはSchwarzschild black holeよりも小さいentropyを持っており、colored black holeはSchwarzschild black holeより熱力学的に不安定であることを示している。また、colored black hole 同士のhorizon半径rhを比べてみると、nodeの数が多いほどhorizon半径は小さくなるため、nodeの数 が大きいcolored black holeはより小さいentropyを持っている。

3.2.3.2 内部構造

以上ではevent horizonの外側の時空構造についての議論であったが、event horizonの内側の時空構造

については解を記述するparameterによって2種類の振る舞いにわかれることが知られている[43]。以下 でこれについて説明する[37, 43]。境界条件(3.46), (3.47)からr < rhの方向に数値的に解いた結果を図3.5 に示す。μ,δおよびwはevent horizonの内側で奇妙な振る舞いを起こす。すなわち、関数μrが小さく なるにつれて0に落ちていくが、μ0の近くで減少から増加に変わり、その後非常に早く大きな値まで増

3.2. 4次元Einstein-Yang-Mills系 33

図3.6: 力学系(3.51), (3.52)の解の振る舞いの模式図(文献[37]より転載)。領域(a)から始まり、領域(b) で質量関数μ(r)は急激に増大する。その後領域(c)に移るとμ(r)の増大は止まり、しばらく安定に存在した 後領域(d)に移るとμ(r)は減少し始める。その後領域(e)で再びμ(r)は急激に増大する。r0 (τ→ ∞) に近づくに従いこのcycleを繰り返していくことになる。

加する。その後再びゆっくり減少を始めるが再びμ∼0の近くで増加に変わり、より大きな値まで増加す る。この振る舞いをr= 0まで無限回繰り返すことになる。この奇妙な振る舞いは次のようにして力学系 における解析を用いて理解することが出来る。関数μ,wおよび変数rを次のように変換する。

ex = w (3.48)

ey = (1−w2)2

f r2 (3.49)

τ = ln r

r0 (3.50)

但しr0は定数とする。またwの変換(3.32)に対する不変性より、w >0を仮定した。この変換を用いて

(3.29)-(3.31)を書き換え、方程式に最も寄与する項のみを書き下すと、2次元力学系における方程式

˙

x = ey1 (3.51)

˙

y = 1 +ey2e2x (3.52)

として表すことが出来る。但し·τ微分を表す。この系における不動点は(x, y) = (0,0)であり、この点

τ → −∞に対しattractorとなっている。この系における典型的な解を図3.6に示す。r = 0すなわち

τ→ ∞に向かうに連れx,yは大きくなり前述のような振る舞いになることがわかる。

以上で述べた振る舞いの解はinner horizonを持たない解であったが、特別な場合に対してはinner horizon を持つ解が存在する。すなわち、境界条件としてr=rにおいても正則性の条件(3.46), (3.47)を課し3

3すなわち式(3.46), (3.47)においてrhおよびwhrおよびw=w(r)に置き換える。

r < r < rhにおいて数値的に解くと、parameterrhに対し離散的に解が得られることがわかる。この解 はReissner-Nordstr¨om解のevent horizonの内側と似た振る舞いをし、前述のような奇妙な振る舞いを起 こすことはない。但しこの解を作るにはevent horizonの位置をうまく調整する必要があるため、一般的に

はinner horizonを持たない前述のタイプの解になるであろうと考えられている。

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