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Catch up(技術効率性)と Frontier Sift(技術革新または技術変化)の関係 67

4.4 Malmquist 指数に見る急性期病院の看護業務の変化

4.4.3 Catch up(技術効率性)と Frontier Sift(技術革新または技術変化)の関係 67

先ほど示した通り、技術効率性がほとんど変化しておらず、フロンティアシフトは2015 年度まで発展し、その後低下していたことを考え合わせるため、縦軸をフロンティアシフト、

横軸をキャッチアップ指数として2期(前期:2009年度~2013年度、後期:2013年度~

2017年度)に分けてプロットした。(図4-9)。まず前期では、フロンティアシフトでは全て のDMUにおいて1未満であるため減退しており、Catch Up指数は0.833~1.755までば らつきがあることから、9個のDMUは技術効率性が上昇したことでフロンティアシフトに 追いついていることが分かる。しかし、後期では全てのDMUのフロンティアシフトが発展 し、8個のDMUの技術効率性が上昇しているものの、Catch Up指数は0.841~1.279と ばらつきは小さくなっている。そのため、全要素生産性も後期の方が上昇しているDMUが 11個と多くなっている。

第1象限 第2象限

第3象限 第4象限

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図4-9 2期のCatch-Up指数とFrontier Sift

これらのことは、2年に一度実施される診療報酬改定により、DPC の入院期間Ⅱに設定 されている入院日数を目標値として、対象施設全体で入院日数の短縮化が図られる中で、各 DMUで、短縮された入院日数内でいかにこれまでと同様の療養上の世話に関わる業務を実 践しながら、増え続ける周辺業務、特に記録に関わる業務時間を短縮化させる対策を検討し、

実践してきたことを示しており、このことがフロンティアシフトが上昇した要因と考えら れる。しかし、高度化、複雑化する医療現場での診療の補助業務に関わる業務の割合が徐々 に増加してきたことが、技術効率性に変化が生じなかった要因になっていると考えられた。

本研究において看護師の本来業務である「療養上の世話」に係る業務割合を年次比較して も、微増傾向であり、さらに「診療の補助」に係る業務割合も微増傾向である。この後、こ のフロンティアシフトをもう一度発展させるためには何ができるのだろうか。

やはり、第2章でも述べたように看護師の業務である「療養上の世話」と「診療の補助」

業務にかける時間を捻出するため、まずは周辺業務をスリム化し、その上で看護師でなけれ ばできない業務を明確化していくことが、効率性向上につながると考える。

69 第4章のまとめ

第4章では、DEAに基づく、Malmquist指数を用いて2年ごとの比較、2009年度~2013 年度(前期)と2013年度~2017年度(後期)の比較を行うことで、A病院における看護業務の 効率性の変化を分析した。

多くの場合、医療分野特に看護部門での効率性の検討は、単年度の業務量測定結果を元に 実施されることが多く、その分析評価は外部に公表されることは少なく、内部での全体的な 評価に留まるケースが多い。さらに、看護業務量調査だけでは、業務の実態を可視化するこ とはできるが、各病棟の効率性の変化について具体的な評価には至っていない。

本研究では、Malmquist 指数を用いることで、各病棟の効率性の変化を明らかにするこ とができた。さらに、診療報酬改定翌年度の条件下で年度比較をすると、2013年度~2015 年度を頂点として 2015 年度~2017 年度の Malmquist 指数は低下していた。特に、

Malmquist指数を構成するCatch-Up指数とFrontier Siftのうち、Catch-Up指数は経年 変化がほとんど発生していないにも関わらず、Frontier Siftが2015年度~2017年度で大 幅に減退していたことから、2014年度に行われた病院情報システムの更新時に大幅に看護 業務の見直しが行われ、フロンティアシフトは上昇したが、その後の診療報酬改定によって 発生した看護業務への負荷の影響もあり、その対応の遅れが効率性の向上につながってい ないことを示している。

このように、Malmquist 指数を用いた分析は、看護業務量調査だけでは知りえない看護 業務の効率性変化や診療報酬改定が看護業務に及ぼす影響についても明らかにでき、今後 ますます看護業務改善に役立つツールであることを実証できたと言える。

今後、本研究の手法を用いた経年変化の分析は、各医療機関における看護部門の改善活動 を評価する上でも重要なツールになると考える。

70 5 急性期病院における職務満足の現状

第 5 章では、急性期病院に勤務する看護師の職務満足度について日本で開発された職務 満足度尺度を用いて明らかにする。

本調査では、診療報酬改定や DPC の影響を最も受け、入院日数が年々短縮傾向にあり、

繁忙度が増している一般病棟7対 1入院基本料算定病棟に勤務する看護師の職務満足度の 状況に着目し、同一条件下での職務満足度の違いについて検討した。