3.4 DEA(Data Envelopment Analysis)による分析結果
3.4.2 出力指向包絡モデルによる分析
44
この場合、効率値が低くなるほど大幅に勤務看護師数と周辺業務の割合を削減すること が必要となる。しかし、病棟の特性上DMU-PとDMU-Iはこれ以上の看護師数の削減は現 実的ではない。ところが、DMU-AはDMU-Eは、類似の特性を持つ病棟であるため、 DMU-E程度までの超過勤務時間の削減は実現可能であると考える。そのためには、周辺業務の割 合を圧縮できるような業務整理が必要と考える。
現実的に超過勤務時間の縮減を目指すならば、佐藤60が指摘するように、「労働時間の長
さは、(1)業務量=要員マンパワー×労働時間のアンバランスを基本式としつつ、(2)仕事の管
理様式、(3)管理者の行動と意識、(4)社員の行動と意識などの変数から影響がある」ことを 考慮していく必要がある。特に、要員マンパワーは、人数×スキルレベルに分解できる61こ とから、経験年数のばらつきや専門性の高い業務を実践できる看護師自体の不足なども考 慮する必要がある。
次に、DMU-Hと効率的フロンティア上で最も近い参照集合とするDMU-G、DMU-L、
DMU-Dを比較した。その結果、特にDMU-Dは、周辺業務の割合を削減することが必要で
あるが、その中でも「記録」業務の割合がDMU-Hよりも10%以上高いため、「記録」業務 の見直しを中心に業務改善を行うことが必要である。
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BCC-Oモデルによる解析結果では、16DMUのうち、10件は効率値1であり、効率的
フロンティア上に存在していた(図3-4)。
図3-4 BCC-Oモデルにおける効率値の比較
BCC-Oモデルで効率的フロンティア上にあるDMUのうち、DMU-H、DMU-Kは5個、
DMU-Mは4個、DMU-Qは2個、DMU-C、DMU-Pは1個の非効率的DMUの参照集合
となっていた。そこで、参照集合となった数が最も多い DMU-H と、DMU-H が効率的フ ロンティア上で最も近いDMU-G、DMU-A と比較した(表3-9)。DMU-GとDMU-Aは、
DMU-Hとほぼ同じ勤務者数であるがDMU-H よりも超過勤務時間が多く、療養上の世話
の割合も総入院患者数も少ない。したがって、療養上の世話の割合を含めた看護業務全体の 業務時間のバランスを療養上の世話にシフトできるような業務改善が必要である。例えば
DMU-Aは周辺業務を見直し、1つの業務に係る時間量を圧縮させることで、療養上の世話
の割合を増加させることが可能である(図3-5)。また、超過勤務時間を減少させるには、1つ 1つの業務に係る時間の適正化が必要であり、看護業務 1 つ1 つに適正な時間設定を行う ことが重要になると考える。
次に、DMU-Mと DMU-Mが効率的フロンティア上で最も近いDMU-L、DMU-N、
DMU-Bと比較した(表3-10)。DMU-L、DMU-N、DMU-Bは、DMU-Mよりも総入院患者数が少 ないため病床稼働率は低いことが分かる。しかし、DMU-LとDMU-Bは超過勤務時間が極 端に長く、療養上の世話の割合が低い。そのため、看護業務区分ごとでの比較を行ったとこ
ろ、DMU-L、DMU-N、DMU-Bは診療の補助に関する業務の割合が多いことが明らかとな
46
った(図3-6)。これらの病棟では、注射関連業務がDMU-Mよりも極端に多いことが分かる。
第 1 章でも述べた通り、病院看護基礎調査でも他職種に任せたい周辺業務として注射業 務は挙げられているものの、1999年と2003 年の調査結果を見ても、看護師が実施してい る割合に大きな変化がないことから、他職種への業務委譲が進んでいないことが分かる。さ らに、本調査においても注射業務が診療の補助業務の中でも大きなウェイトを占める病棟 があることから、まずはこのような病棟から、積極的に薬剤師との協働によりタスクシフテ ィングやタスクシェアリングを推進していく必要がある。
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DMUScoreDataProjectionDiff.(%)DataProjectionDiff.(%)DataProjectionDiff.(%)DataProjectionDiff.(%) C19999075:20:0075:20:0000.162690.1626902892890C1 E1105105048:15:0048:15:0000.170020.1700203013010E1 F1100100028:15:0028:15:0000.169930.1699302802800F1 H11111110115:30:00115:30:0000.224160.2241602972970H1 I1126126091:50:0091:50:0000.308530.3085302002000I1 J1104104029:15:0029:15:0000.197810.1978102772770J1 K11281280106:15:00106:14:57-0.0010.178540.178540.001313313.0030.001K1 M1108108057:15:0057:15:0000.141340.141350.006308308.0010M1 P18787052:00:0052:00:0000.181910.1819101661660P1 Q1119119065:45:0065:45:0000.255240.2552402962960Q1 D0.99241201200124:20:0093:43:59-24.6110.217870.219540.768300302.3030.768H0.274K0.354Q0.372 G0.97191131130180:45:00112:05:35-37.9850.209220.215282.893291299.422.893H0.837K0.124M0.039 A0.96011091090176:00:00109:42:02-37.670.209480.21824.161278289.5684.161C0.061H0.886P0.053 L0.94711141140115:45:0072:34:45-37.2970.145350.153465.583293309.3575.583H0.012K0.298M0.69 N0.9458115115070:15:0070:15:0000.177610.187785.727288304.4935.727H0.037K0.165M0.471Q0.327 B0.90471141140163:20:0071:56:53-55.950.123930.152523.053280309.50310.537K0.3M0.7 参照集合看護師の勤務人数 (期間中の総勤務者数)超過勤務時間療養上の世話の割合総入院患者数
表3-9BCC-Oモデルにおける解析結果
48
図3-5 DMU-HとDMU-G、DMU-Aの業務区分割合の比較
図3-6 DMU-MとDMU-B、DMU-L、DMU-Nの業務区分割合の比較
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図3-7 DMU-MとDMU-B、DMU-L、DMU-Nの「診療の補助」業務に関する比較
以下、CCR-Oモデルによる解析結果を示す。まず、効率的フロンティア上に存在してい るのは7個のDMUだった(図3-8)。
図3-8 CCR-Oモデルにおける効率値の比較
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DMUscoreDataProjectionDiff.(%)DataProjectionDiff.(%)DataProjectionDiff.(%)DataProjectionDiff.(%) C19999075:20:0075:20:0000.162690.1626902892890C1 E1105105048:15:0048:15:0000.170020.1700203013010E1 F1100100028:15:0028:15:0000.169930.1699302802800F1 H11111110115:30:00115:30:0000.224160.2241602972970H1 I1126126091:50:0091:50:0000.308530.3085302002000I1 J1104104029:15:0029:15:0000.197810.1978102772770J1 Q1119119065:45:0065:45:0000.255240.2552402962960Q1 M0.9906108108057:15:0057:15:0000.141340.1754924.157308310.9280.951C0.255E0.788 A0.95271091090176:00:00113:14:26-35.6590.209480.219884.965278291.8044.965C0.006H0.976 G0.94751131130180:45:00112:05:44-37.9830.209220.220825.543291307.1295.543C0.198H0.841 P0.92568787052:00:0052:00:0000.181910.196538.038166179.3438.038I0.349J0.135Q0.244 D0.92281201200124:20:00120:14:09-3.2960.217870.236118.371300325.1138.371C0.167H0.932 N0.8863115115070:15:0070:15:0000.177610.2003912.826288324.93912.826C0.734H0.036J0.368 L0.88041141140115:45:0086:44:51-25.0560.145350.1873428.892293332.78813.579C1.152 B0.84141141140163:20:0086:44:51-46.8890.123930.1873451.163280332.78818.853C1.152 K0.84061281280106:15:0098:55:04-6.9010.178540.2123918.957313372.33518.957C1.238H0.049 参照集合看護師の勤務人数 (期間中の総勤務者数)超過勤務時間療養上の世話の割合総入院患者数
表3-10CCR-Oモデルにおける解析結果
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CCR-Oモデルで効率的フロンティア上にあるDMUのうち、DMU-Cは8個、DMU-H
は5個、DMU-Jは2個、DMU-E、DMU-I、DMU-Qは1個の非効率的DMUの参照集合 となっていた。そこで、参照集合となった数が最も多いDMU-Cと、DMU-Cが効率的フロ ンティア上で最も近いDMU-N、DMU-L、DMU-B、DMU-Kと比較した(表
3-9)。DMU-L、DMU-B、DMU-Kは、DMU-Cとほぼ同じ勤務者数であるがDMU-C よりも超過勤務
時間が多く、療養上の世話の割合も総入院患者数も少ない。したがって、療養上の世話の割 合を含めて看護業務全体の業務時間のバランスを療養上の世話にシフトできるような業務 改善が必要である(図3-9)。BCC-Oモデルでも述べたように、DMU-BとDMU-Lは診療の 補助業務の中でも注射に関する業務の割合が高い(図3-10)。さらに、CCR-Oモデルでは、
DMU-K も注射業務の割合が DMU-C より高い結果となったことから、病棟薬剤師との注
射業務のタスクシェアリングを、早急に進める必要性があることが裏づけられた結果とな った。2つのモデルの分析結果からも、薬剤に対する専門的知識が豊富な病棟薬剤師との注 射業務のタスクシェアリングにより、業務時間の大幅な圧縮が見込まれるため、連携協働に 向けた取り組みを提案していきたい。また、DMU-L、DMU-B、DMU-Kは、診療の補助業 務の中でも「診察・治療検査介助」業務の割合がDMU-Cよりも高かった。これらの病棟で は、特殊な処置や検査を実施することも多く、看護師の介助を要する場面が多い。さらに、
病棟で行う処置や検査について予定があらかじめ共有されていないこともあり、準備等に 時間を要していることが考えられた。緊急以外の予定処置や検査等に関する医師・看護師間 でのスケジューリング調整を行うことができれば、業務全体の時間の無駄がなくなるため、
待ち時間の圧縮やスムーズな準備につながることが想定される。医師の働き方改革とも合 わせて、双方が効率的な業務ができるよう、常にスケジューリング調整ができる体制整備が 必要である。
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図3-9 DMU-CとDMU-B、DMU-K、DMU-Lの業務区分別での割合比較
図3-10 DMU-CとDMU-B、DMU-K、DMU-Lの診療の補助業務の割合比較
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