5.5 急性期病院の一般病棟 7 対 1 入院基本料算定病棟に勤務する看護師の現状 . 77
5.5.2 仕事に対する認識
本研究では、中山、野嶋(2001)が開発した職務満足度尺度を使用した。この尺度は、看護 師の仕事に対する価値のおき方と満足度を測定するが、「管理システム」、「仕事上の人間関 係」、「専門職性」、「看護師としての自己実現」、「看護師の仕事の満足度」の5つのスケール
と表5-7~5-11に示すサブスケールから成る。
表5-7 管理システムスケール
サブスケール 内容
給与
私は仕事に見合った給与をもらっていると思う。
この病院での昇給の方法は妥当だと思う。
この病院では看護師の給料は他の職種と比べて低いと思う。
労働条件と福 利厚生
この病院は看護職員の福利厚生について考えてくれている。
自分の予定に合わせて勤務帯や休みの希望を受け入れられる。
夜勤の組み方に配慮がされていると思う。
有給休暇は希望通りにとることができる。
看護管理シス テム
この病院は看護部門を大切にしていると思う。
この病院では看護部の方針は明確である。
この病院の看護管理者は、看護師全体のことを考えていると思う。
病棟の管理上の問題解決にスタッフの意見が取り入れられていると思う。
看護部はケアの質を高めるような努力をしていると思う。
この病院では患者を大事にした医療が行われていると思う。
キャリアアッ プの機会
この病院ではキャリアを伸ばす機会が公平に与えられていると思う。
私は病院内の様々な委員会や研究会に参加する機会を得ている。
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表5-8 「仕事上の人間関係」スケール
サブスケール 内容
スタッフ間の 人間関係
仕事で困ったことがあってもスタッフ同士で気楽に話し合うことができない。
看護師は忙しい時、お互いに助け合い、協力し合っている。
病棟のスタッフは、お互いに気づいたことを率直に話すようにしている。
病棟のスタッフは私のことを肯定的に評価してくれていると思う。
私の病棟ではお互いが信頼しあっていると思う。
先輩看護師に対しては自分の気持ちや考えを言えない。
医師との人間 関係
医師の態度にかなり気を遣わなければならない。
病棟では、看護師と医師の間で十分なチームワークが取れていると思う。
医師から看護師が提供しているケアに対して正当な評価が返ってくる。
医師と患者の間に立って板挟みになることがある。
看護管理者と の人間関係
師長は仕事について聞くと、適切な助言をしてくれる。
師長は私のことを肯定的に評価してくれていると思う。
病棟では、よいケアを実践した時はいつもそれなりの評価が返ってくる。
患者との人間 関係
私は患者から感謝されることが励みになる。
私は患者に対して、感じたことや思っていることを率直に伝えられる。
私は患者とどうかかわったらよいかわからず戸惑ってしまう。
私は患者から看護師として頼りにされていると思う。
私は患者と接することが負担になることがある。
家族との人間 関係
私は患者の家族に対して感じたことや思っていることを率直に伝えられる。
私は患者と家族の間に立って板挟みになることがある。
患者のケアについて家族と対立して困ったことがある。
家族の前で患者の世話をするときには家族に監視されているような気がする。
病棟への 所属感
私は病棟のかけがえのない一員だと思う。
忙しくても、みんなで一緒に頑張っていると思うとエネルギーがわいてくる。
病棟の課題や目標を達成するために、自分を譲ったり犠牲にすることがある。
病棟の仲間は自分にとって大切な存在である。
表5-9 「専門職性」スケール
サブスケール 内容
専門職意識
病棟の他の専門職に対して看護師の立場から意見を述べることができる。
私の仕事は他の人に誇れる仕事であると思う。
決定権
病棟では、受け持ち患者のケアについて自分で判断して決めることができる。
病棟では医師が「看護師ができること」と「そうでないこと」を決定する傾向にある と思う。
仕事をしていてこんなことまで医師の指示を受けなければならないのかと思う。
医師の指示に関しても、看護師として意見を述べることができる。
自律性
私の病棟では、看護師自身の判断や意見が尊重されていると思う。
病棟では患者ケアについて個々の看護師の主体的な取り組みを奨励していると思う。
病棟では何か起こったときに責任が取れないからという理由で医師の指示を受ける傾 向にある。
ケア提供時間
私は患者のケア時間をより多く作るために様々な工夫をしている。
それぞれの患者に対してケアの時間が十分に取れていないと思う。
病棟では忙しすぎて看護師としての仕事が十分にできない。
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表5-10 「看護師としての自己実現」スケール
サブスケール 内容
看護志向性
私は、エネルギー・知識・情報など、持っている力を看護に投入している。
いろいろあるけれど、私は看護にやりがいを感じている。
私のケアで患者がよくなったという手ごたえを感じる 現実志向性
私は現実を直視し、できるところから努力していると思う。
病棟では様々な問題が起こっているが、私は解決に向けて建設的に努力していると思 う。
創造性
私は患者との関わりの中で、自分なりの看護観を作り上げていると思う。
私は創意工夫しながら看護を実践していると思う。
変革力
私がいることで、職場がずいぶん変わってきたと思う。
看護の現状を変革していくことは、自分の使命だと思う。
私は同僚と共に、現状を変えていると思う。
表5-11 「看護師の仕事の満足度」スケール
内容 総合的に見て、あなたは右記
のことについて満足していま すか。
1 給与
2 労働条件
3 看護部の管理のあり方 4 看護師の自律性 5 職場の人間関係 6 看護に取り組む姿勢 7 看護ケアの質
仕事に対する認識の 4 つのスケールの平均得点と標準偏差、変動係数及び各々のサブス ケールの平均得点と標準偏差、変動係数を示す(表5-12)。
本研究では、4つのスケールで比較すると、管理システムスケールの変動係数が最も大き く、仕事上の人間関係スケールの変動係数が最も小さいことが分かる。特に、管理システム スケールを構成する4つのサブスケールにおいて変動係数が大きい順に、「給与」、「労働条 件と福利厚生」だった。
表5-12 スケール別の平均得点、標準偏差、変動係数
スケール 平均得点 標準偏差 変動係数 管理システムスケール 41.871 7.273 17.371 仕事上の人間関係スケール 81.125 8.356 10.3 専門職性スケール 36.204 4.166 11.507 看護師としての自己実現スケール 27.333 4.376 16.01
逆に、4つのスケールで最も変動係数が小さい「仕事上の人間関係スケール」を構成する サブスケールでは、「医師との人間関係」の変動係数が最も大きく、「患者との人間関係」の 変動係数が最も小さいことが分かる(表5-13)。
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さらに、仕事に対する満足度スケールでは、平均得点が最も高いのは、「職場の人間関係」
だった。また、仕事に対する満足度の項目ごとの変動係数では、「給与」が最も大きく、次 いで「看護部の管理のあり方」「労働条件」の順だった(表5-14)。
表5-13 サブスケールの平均得点、標準偏差、変動係数
スケール サブスケール 質問数 平均 得点
標準 偏差
変動 係数 管理システムスケール 給与 3 7.749 2.132 27.515
労働条件と福利厚生 4 10.194 2.714 26.628 看護管理システム 6 17.346 3.158 18.207 キャリアアップの機会 2 6.581 1.247 18.952 仕事上の人間関係スケール スタッフ間の人間関係 6 19.864 3.122 15.716 医師との人間関係 4 11.116 2.654 23.875 看護管理者との人間関係 3 9.238 1.962 21.243 患者との人間関係 5 15.538 1.631 10.497 家族との人間関係 4 13.551 1.961 14.469 病棟への所属感 4 11.818 2.215 18.738 専門職性スケール 専門職意識 2 6 1.188 19.795
決定権 4 12.974 1.887 14.548
自律性 3 9.017 1.411 15.645
ケア提供時間 3 8.215 1.706 20.769 看護師としての自己実現
スケール
看護志向性 3 9.224 1.645 17.828 現実志向性 2 5.931 1.019 17.181
創造性 2 5.891 0.989 16.788
変革力 3 6.287 1.834 29.174
表5-14 仕事の満足度スケールの項目別平均得点、標準偏差、変動係数
仕事の満足度 平均得点 標準偏差 変動係数
給与 2.366 0.751 31.736
労働条件 2.455 0.721 29.378 看護部の管理のあり方 2.402 0.739 30.753 看護師の自律性 2.861 0.552 19.309 職場の人間関係 3.006 0.814 27.066 看護に取り組む姿勢 2.997 0.606 20.231 看護ケアの質 2.815 0.613 21.791 満足度全体 18.703 3.421
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