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cmc

d : 29.7-31.5 Ǻ (75-82 wt%)

M H Q (Ia3d) L

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Figure 4‐20  a ,  b にC8Glu/NaCl/水三成分系の試料(C8Glu/水の重量比1:9, NaCl 2.0 mol  kg 水溶液)を凍結融解した際の、凍結過程と融解過程の結果をそれぞれ示した。a は氷が 既に形成している状態より‐2 oC/minで冷却した際の凍結過程を示しており、‐17 oCから冷 却された後、2.0 minほどで共晶の結晶化が開始することがDSC熱曲線から観察された。共 晶の結晶化開始時においては、XRD は氷由来の回折ピークのみを示したが、共晶の結晶化 由来の発熱が終了する温度付近では2θ   3.0  deg  付近の低角領域に、新たな回折ピークを 示した(symbol: ★)。それはさらに冷却されることで‐50 oCでは2θ   3.1  deg へと推移し た(symbol: ★)。この2θ   3.0と2θ   3.1  deg  は2d   2λ sin 2θ(λ 1.54 nm)の関係か ら、それぞれd   29.5 Ǻ と28.5 Ǻの規則性を有するC8Gluの集合体が形成していることを 示しており、それはSakyaらが報告するC8Glu/水系の層間距離の結果と比較した場合、ラ メラ相の層間距離に相当している。39 Figure 4‐19で見られるように、C8Glu/水系における ラメラ相は82 wt%以上で形成される高濃度相であり、共晶の結晶化によって、初期濃度を

10 wt%とするC8Glu/NaCl水溶液は濃縮され、最終的にはラメラ相のような高濃度相を形成

している可能性が示唆された。 

その後の融解挙動に相当するFigure 4‐20  b は a に引き続き、2.0 oC/minで3 oCまで昇 温させた際の結果を示したものであり、‐50 oCから‐30 oCまでの昇温過程ではDSC, XRDに おいて特別な変化は見られなかった。しかし‐30 oC付近になると、低角度におけるX線回折 ピークは再び2θ   3.1  deg  (symbol: ★)から2θ   3.0  deg  (symbol: ★)へと変化し、

共晶の融解が開始される温度付近になると、共晶の融解に先立ち、低角度の回折ピークは より低角側へと推移していき、共晶の融解に際して完全に消失する挙動を示した。このよ うな共晶の融解によりXRDの回折ピークがより低角度側へと推移していく挙動は、より大 きな層間距離を有する集合体への推移と言うことができ、Figure  4‐19における高濃度相か ら低濃度相へと推移していく挙動に相当すると考えられた。これは、共晶の融解により希 釈された未凍結相が、より低濃度な液晶相へと転移していることを示唆するものである。 

ところで、Figure 4‐20におけるXRDの結果では1次回折ピークしか観察されておらず、

凍結下において繰り返し単位を有する相を形成しているのか、または1次回折ピークに相 当する有限サイズの棒状ミセル相などの状態で存在しているか判別することは不可能であ る。Jefferyらは、濃度勾配が形成された相のXRD回折測定において、1次回折ピーク以外 が観察されなかったことを報告しており40、凍結により濃度勾配が生じていると考えられ る本研究の系においても同様の結果が得られた可能性が考えられた。著者はつづいて、XRD において層間距離が変化する際の温度領域におけるDSC熱曲線について着目した。 

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  Figure 4‐20    C8Glu/NaCl/水三成分系のXRD‐DSC同時測定(C8Glu/水の重量比1:9, NaCl 2.0  mol kg 水溶液)。 a  凍結過程。測定条件: 氷を形成下‐17 oCから‐2.0 oC/minで‐50 oCまで 冷却した。 b  融解過程。測定条件:  a につづいて2 oC/minで3 oCまで昇温した。 

(b) (a)

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Figure 4‐21はFigure 4‐1  b において共晶の融解が開始する直前から終了までの拡大図を、

層間距離(Ǻ)を添えて示したものである。ここで、層間距離の変化を示した前後の温度に おける DSC 熱曲線上では、なんらかの相転移に起因すると考えられる吸熱挙動がいくつか 観察されることが明らかとなった。そこで、先のガラス転移の検出において、XRD‐DSC 装 置備え付けのDSCよりも、DSC‐60によるDSC結果の方が高い精度を示すことが示唆された ため、DSC‐60によるDSC測定を行うことで吸熱ピークが明確に観察されるものと考えた。 

Figure  4‐22はやや濃度を高めたC8Glu/水の重量比2:8,  NaCl  2.0  mol  /  kg 水溶液とする

C8Glu/NaCl/水三成分系試料を融解させた際のDSC熱曲線を示しており、Figure 4‐21と同じ

く三つの吸熱ピーク様はそれぞれ‐27 oC,  ‐24 oC,  ‐22 oC付近において観察されることが認め られた。濃度変化に伴う液晶‐液晶間相転移は一次相転移であり、それは吸熱を伴う挙動を 示すことが知られている。41 すなわち、吸熱ピークの存在は、共晶の融解により希釈され た未凍結相中において、より低濃度で形成される液晶相へ一次相転移していることを示す ものと考えられる。 

   

   

Figure 4‐21   共晶の融解前後における層間距離と吸熱ピーク挙動の関係。(Figure 4‐20  b

の拡大図。)DSC熱曲線の色とXRDの色は同じ測定時間に相当している。 

29.4 [Ǻ]

32.7 [Ǻ]

34.0 [Ǻ]

40.2 [Ǻ]

Endothermic Endothermic Endothermic No signal

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Figure 4‐22    DSC‐60によるC8Glu/NaCl/水三成分系(C8Glu/水の重量比2:8, NaCl 2.0 mol /  kg 水溶液)のDSC単独測定。 

   

  Figure 4‐23   顕微鏡によるC8Glu/NaCl/水三成分系(C8Glu/水の重量比3:7, NaCl 4.0 mol / kg  水溶液)における共晶の融解挙動観察。u.n.p. : 非偏光下における画像観察。  u.p. : 偏光下 における画像観察。 

-10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0

-35 -30 -25 -20 -15

DSC [mW]

Temp. [oC]

Phase transition

Phase transition Phase transition

-24.5 oC

-22.5 oC

-21.0 oC -23.2 oC

d) -21.1 oC, u.n.p.

b) -40.0 oC, u.n.p.

a) -30.0 oC, u.n.p.

c3) -23.0 oC, u.p.

c2) -24.5 oC, u.p.

c1) -30.0 oC, u.p.

c5) -21.3 oC, u.p.

c4) -22.3 oC, u.p.

Anisotropy Anisotropy Ice

Eutectic

Unfrozen solution

Eutectic was almost thawed.

Dark field

Dark field Dark field

200μm Ice

Eutectic was formed.

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この共晶形成に伴う液晶間‐液晶間相転移挙動の推察を支持するべく、さらに偏光顕微鏡 により共晶形成の前後で、異方性相が出現するか否かについて観察を行った。ミセル相お よびキュービック相は光学的に等方性であるため、偏光下では暗視野を示し、ヘキサゴナ ル相やラメラ相は異方性を示す。42 そのため、共晶の融解過程において異方性相が観察さ れたならば、それは共晶形成とその融解による濃縮および希釈によって、未凍結相中では 液晶間‐液晶間相転移が生じていることの裏付けとなると考えられる。 

Figure 4‐23にC8Glu/NaCl/水三成分系(C8Glu/水の重量比3:7, NaCl 4.0 mol / kg水溶液)

における共晶形成前後の組織画像について非偏光下と偏光下において光学顕微鏡観察した 結果を示した。Figure 4‐23の a ,  b ,  d はそれぞれ非偏光下の顕微鏡画像であり、 c はす べて偏光下における画像である。 

まず、 a のような氷が大きく成長し、氷間の未凍結相が容易に観察可能な状態から冷却 したところ、‐40 oCにおいて共晶の形成が観察された。画像 b における黒色の小さな結晶 が共晶に相当する。Hansらによる共晶の顕微鏡画像も同様の形状を報告している。18  c1  

~  c5 の過程は b の状態から1 oC/minで昇温させた際の一連の移り変わりを示している。

c1 ,  c2 の画像では、全体的に暗視野となり、異方性相の存在は認められなかった。しか

し、‐23.5 oC付近の c3 、 c4 になると、画像の様相は変わり、異方性相の出現が認められ た。そして、それは‐22.3 oC付近で消失し、再び暗視野へと戻る挙動を示した。微細な構造 を形成する共晶の存在のためか、 c3 ,  c4 における異方性相の同定は行えなかったが、最 も高温に位置する吸熱ピーク付近の温度ではXRD‐DSCにより34.0 Ǻの層間距離が得られて おり、それはSakyaらが報告するヘキサゴナル相の層間距離に近しい(Figure 4‐19)。それ

より、 c3 ,  c4 はヘキサゴナル相に相当し、より希釈されることで暗視野を示した相は等

方性のミセル相と考えられた。また、融解過程においてヘキサゴナル相が形成するよりも 低温においては暗視野を示したことから等方性のキュービック相が形成していたと考えら れた。これらの一連の観察により、共晶形成に伴う濃縮相において液晶間‐液晶間相転移が 生じていることが実証された。そして、共晶の形成はミセル相ではない、より高濃度なリ オトロピック相に相当する液晶相中で抑制されていることが示された。 

しかしながら、XRD‐DSCにおけるラメラ相の出現について、顕微鏡観察では支持されず、

またGroup  III における共晶形成がガラス化により抑制されているかについては確証を得

ることはできなかった。XRD‐DSC測定において、‐30 oC以下で低角領域に回折ピークはわず かな変化を示しているため、ガラス転移が存在するならば少なくとも‐30 oC以下において存 在していると考えられるが、DSC熱曲線上では認められることができなかった。糖質や高分 子はガラス形成によりNaCl•2H2O/氷の共晶形成を抑制していると考えられている一方で24, 

25, 27、同じく同じ共晶形成を抑制するプロリンの添加系ではガラス転移は認められなかった

ことが報告されている。26 本研究のGroup  III における共晶形成抑制機構はGroup  I や

Group  II とは異なる可能性も考えられ、さらなる系統的な検討が必要とされる。 

 

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4‐3‐6    糖質構造の共晶形成抑制効果への影響 

この節ではそれぞれの糖質系界面活性剤の有する糖質構造の相違が、共晶形成抑制効果 にどのような影響を与えるかについて検討を行った。糖質系界面活性剤添加による共晶形 成抑制効果はGroup  II ,  III でも観察されたが、凍結保存や凍結乾燥保存においては完全に 共晶形成を抑制することが望ましいと考えられるため、一定量の糖質系界面活性剤x  mol /  kgが完全に共晶を抑制できる最大NaCl濃度y  mol / kg(Group  I のNaCl濃度範囲に相当)

により、それぞれの化合物が示す共晶形成抑制効果を評価することとした。 

 

1  界面活性剤初期濃度の

共晶形成抑制効果への

影響 

まず初期濃度により糖質系界面活性剤の共晶形成抑制効果に相違が見られるかについて 調査した。Figure 4‐24はそれぞれの糖質系界面活性剤濃度x  mol / kgにおいて、共晶形成 が完全に抑制された際のNaCl水溶液の最大濃度y  mol / kg を示している。 

Figure 4‐24より、3種の糖質系界面活性剤C12Raf, C12Suc, C8Gluにおいて、完全に共晶 形成が抑制された最大NaCl濃度は、調査した濃度範囲では、糖質系界面活性剤濃度に対し て正比例して増加することが認められた。これより、Group  I における共晶形成抑制効果 において初期濃度の影響はなく、異なる重量であっても、mol当たりで比較を行えば糖質系 界面活性剤の評価は可能であることが示された。なお、Figure 4‐24から見てわかるように、

親水部の糖骨格が単糖から二糖、二糖から三糖と多くなればなるほど、抑制効果も増加し ていることが認められた。 

 

 

Figure 4‐24   糖質系界面活性剤の共晶形成抑制効果における初期濃度依存性。 

C12Suc: y = 1.74x R² = 0.999 C12Raf: y = 2.55x

R² = 0.998

C8Glu: y = 0.882x R² = 0.999

0 0.5 1

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

C12Raf C12Suc C8Glu