第四章 行動・心理症状と効果的な介入・対応の関連
第三節 結 果
2 BPSD と介入行動の関連性
130事例に対して、多重コレスポンデンス分析を行った。得られた固有値は
5.942,3.977,2.788,2.610の順で減尐し、次元2と次元3のあいだに変化の違いが見られた。
そこで、2次元までを解析対象とした。次いで、次元1と次元2のカテゴリ・スコアを利 用して、64変数の布置図を作成した。解析に利用した変数は、表2のとおりである。
BPSDの「改善」変数の分布と介入行動の「介入」変数は、布置図の第2象限に分布す る傾向が見られた。これらの変数の分布は相互に重なり合い、他方、BPSDの「維持・悪 化」変数と問題行動の「非介入」変数は、それぞれ独立して分布していた。よって、「介入」
行動とBPSDの「改善」のあいだには関連性のあることが認められた。(図1参照)
表1 分析対象者の基本属性
度数 パーセント 検定(※)
属性変数 計 130 100.0
-性別 女性 100 76.9 ***
男性 30 23.1
年齢階級 60歳代 8 6.2 ***
70歳代 25 19.2
80歳代 58 44.6
90歳代 37 28.5
合計 128 98.5
欠損値 2 1.5
施設種別 特別養護老人ホーム 43 33.1 **
老人保健施設 31 23.8
グループホーム 43 33.1
合計 117 90
欠損値 13 10
原因疾患 アルツハイマー型 56 43.1 **
脳血管性 23 17.7
老年性 50 38.5
合計 129 99.2
欠損値 1 0.8
介護度 要支援 1 0.8 ***
(介入前) 要介護1 7 5.4
要介護2 50 38.5
要介護3 45 34.6
要介護4 20 15.4
要介護5 7 5.4
日常生活自立度 認知症高齢者 Ⅰ 1 0.8 ***
(介入前) Ⅱ 5 3.8
Ⅱa 11 8.5
Ⅱb 32 24.6
Ⅲ 13 10.0
Ⅲa 19 14.6
Ⅲb 24 18.5
Ⅳ 16 12.3
Ⅳb 2 1.5
M 6 4.6
計 129 99.2
欠損値 1 0.8
障害高齢者 J 13 10.0 ***
A 75 57.7
B 27 20.8
C 14 10.8
計 129 99.2
欠損値 1 0.8
介入期間 1年未満 78 60.0 **
1年以上 45 34.6
欠損値 7 35.4
最頻値 0.4年 12 9.2
-0.5年 12 9.2
0.6年 12 9.2
平均値±SD 1.0年±0.9年
中央値 0.7年
*p<.05, **p<.01, ***p<.001
※カイ二乗検定を使用し,欠損値は除外した.
BPSDの32変数(「改善」・「維持・悪化」)と介入行動の32変数(「介入」・「非介入」)
また、介入前の要介護度、ADL、日常生活自立度(認知症高齢者・障害高齢者)を補助 変数として投入した。補助変数は、分析変数(BPSD・介入行動)の相関に影響を与えず、
カテゴリ・スコアを付加できる変数投入の方法である。これらの属性変数は、BPSDの「改 善」変数および介入行動の「介入」変数の分布とは重ならず、介入行動の「非介入」変数 の分布と重なる傾向が見られた。
参考までに、介入前のBPSDの頻度(4件法)と介入行動(2値変数)に対しても多重 コレスポンデンス分析を行った。やはり2次元の布置図が得られたが、変数のカテゴリ・
スコアは0の付近に集まり、介入前のBPSDの頻度と介入行動には関連性を認めなかった。
表2 解析に利用した変数
区分 変数
BPSD 被害妄想 改善 維持・悪化
暴言 暴力 多動 作話
同話繰り返し 幻視
大声 無断外出 感情失禁 抵抗 収集癖 昼夜逆転 徘徊 排泄 無気力
介入行動 服薬調整管理 介入 非介入
視聴覚低下対応 便秘対応
疲労睡眠不足対応 身体不快対応 本人生活ペース確保 日常生活リズム確保 なじみない環境改善 落ち着く場所確保 自力可能課題実施 出会い交流機会確保 会話時間確保 指示的口調禁止 嫌がる勧め禁止 話題の工夫
声かけ・見守りの実施
(注)属性変数を除く
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