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研究の背景と意義

ドキュメント内 Symptoms of Dementia (ページ 86-91)

第五章 認知症の BPSD と効果的在宅ケア

第一節 研究の背景と意義

そこで、本研究は認知症ケアマネジメント遂行に不可欠な要素であるBPSDへの効果的 介入・対応を明らかにすることを目的として、BPSDの軽減に成功した在宅認知症高齢者 の事例を分析し、在宅における効果的な対応方法を解明することを目指した。

第二節 研究方法

1 研究の方法

研究は、3年間の計画によって実施された。研究1年目には調査項目を探索するために、

改善事例を収集し分析を行なった。その結果により、認知症高齢者に出現しやすいBPSD 23項目および行なわれた介入・対応44項目を同定し、調査項目を作成することができた。

研究2年目に、その調査項目により質問紙を作成し量的調査を実施した。

2 調査対象

量的な調査は、2006年9月から2008年2月にかけて東京近郊2市と四国1県の居宅介 護支援事業所協議会と老人福祉施設協議会に広報を行い、承諾を得られた介護保険事業所 80箇所に対し(居宅介護支援事業所・デイサービス事業所・介護施設事業所)調査票を各 5部、郵送により配布・回収した。過去5年間以内に何らかの介入・対応によりBPSDが 改善した事例に限定し、1事例ごとに調査票に記入を依頼した。

3 倫理的配慮

調査を依頼した介護保険事業所の職員が、利用者および家族に研究の主旨を説明し、介 護記録情報の使用について許可を得た。その際に、諾否は自由であり、情報利用の拒否に よって不利益は生じないことを文書と口頭で伝えた。また、匿名化は調査を依頼した事業 所で行い、個人を特定できるような情報は使用しないことも、あわせて説明した。

本研究は、早稲田大学「人を対象とする研究倫理審査委員会」による審査を受け、承認 を得て実施した。

4 調査項目

調査票は、BPSD項目と介入項目ごとに空欄のみを設定し、調査協力者が自由記述をす ることを基本にした。「その他」の項目も設け、全てのBPSDと行った全ての介入が記述

できるように調査票を構成した。BPSDは、「全くない」・「時々ある(月1回程度)」・「あ る(週1回程度)」・「よくある(週3回以上)」の4段階で回答を求めた。

また、基本属性、要介護度、日常生活動作能力、認知症日常生活自立度、障害自立度、

認知症尺度のスコア、認知症の種類、既往症・慢性疾患、主介護者、BPSDに対する介入・

対応、行われた場所、期間について回答を求めた。

これらの項目は、全て介入・対応前の数値と介入・対応後の数値の記入を求め、改善の 状況を数値で確認できるようにした。

5 変数の選定と作成

BPSD項目は、介入・対応前後で頻度が減尐した場合に「改善」、頻度が維持・増加し た場合に「維持・悪化」の2値変数とした。介入・対応行動は、「介入」・「非介入」の2値 変数である。なお、分析対象件数の1割に満たない介入・対応行動は、まれにしか行なわ れない介入・対応と考え、変数から除外した。

使用した変数を表1に示した

6 分析対象者

回収数は204件であった。(有効回収率51%)認知症ケアマネジメントに限定した分析 とするため、施設・グループホームに入所している者130件を除き、さらに明確に自宅の 記載がない2事例は、分析対象から除外し、在宅事例72件を分析対象とした。

分析対象者の基本属性の最頻値は、次のとおりである。性別は、女性の76.9%であった。

年齢階級は、80歳代の44.6%であった。原因疾患は、アルツハイマー型の43.1%であっ

た。

介入前の指標は、介護度が要介護2の38.5%であった。介入・対応期間の中央値は0.7 年、最頻値は0.4年・0.5年・0.6年であった。基本属性の最頻値を表2に示した。

7 解析方法

解析は多重コレスポンデンス分析を利用した。BPSD項目と介入・対応行動項目の各変 数のカテゴリ・ポイントから布置図を作成して、改善のあったBPSD変数と、実施された 介入・対応行動の変数間の結びつきを、図上で分析した。(図1)

解析は、統計パッケージSPSS 19Jを用いた。

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