第三章 認知症ケアにおける効果的アプローチの構造
第三節 結果
3 介入・対応について
介入・対応については、あらかじめ設定した44項目全てにデータの記入があり、さら に「その他」項目への記述に基づき「訪問介護計画の工夫」「職員の負担軽減」2項目を追 加した。従って、介入・対応は下記の通り、990の介入・対応が行われ、46のサブカテゴ リーが生成された。さらに46のサブカテゴリーは、[健康面への介入・対応] [環境面への 介入・対応] [能力を維持するための課題への介入・対応] [介護側のコミュニケーションの 改善] [家族・介護者状況への介入・対応] [事業マネジメント改善]の6つのカテゴリーに統 合された。
(1) [ 介護側のコミュニケーションの改善 ]
[介護側のコミュニケーションの改善]のカテゴリーには、表3に示すように、10項目(記 述データ数274)のサブカテゴリ―が含まれる。「声かけ見守り」は、「他の入居者と会話 等になじめなかったが、やさしい声かけをしていく事で、気持ちがほぐれ笑顔が出てきた 」 のような関係形成を意識したコミュニケーション上の介入であった。
表3 介護側のコミュニケーションの改善
サブカテゴリー n
ゆっくり会話できる時間を確保した 104
嫌がることは勧めないようにした 50
声かけ見守り 28
指示をするような話し方をしないようにした 21
話題の工夫 20
返事が返ってくるまで待った 18
手順の教示 12
出来ない事を指摘するような言い方はしないようにした 8 本人の前で本人のことを他人に話さないようにした 8
試すような質問をしないようにした 5
計 274
(2)[環境面への介入・対応]
[環境面への介入・対応]のカテゴリーには、表4に示すように、10項目(記述データ数
224)のサブ・カテゴリ―が含まれる。
表4 環境面への介入・対応
サブカテゴリー n
他の人との出会いや交流の機会をつくった 76
落ち着ける場所を探した 39
本人のペースに合わせた生活ができるよう環境を変えた 36
なじみのない環境への対応 31
場所の情報や標識の欠如への対応 12
参加グループを小さくした 12
広すぎるあるいは狭すぎる環境を変えた 7
多すぎるあるいは尐なすぎる物や人への対応 5
多すぎるあるいは尐なすぎる音や光・色への対応 4
知覚低下に対応した環境に変えた 2
計 224
(3)[健康面への介入・対応]
[健康面への介入・対応]のカテゴリーには、表5に示すように、11項目(記述データ数
216)のサブカテゴリ―が含まれる。
「視覚・聴覚の低下への対応」には、「左眼の視野が狭いのか、食事時お膳の左側にある ご飯等がないと言われる事があるので、お膳を尐し右に寄せたら言われなくなった。」「難 聴にて、ホワイトボードに大きく字を書くことによって伝達が出来るようになった。」等の 記述に見られるような、本人の身体への直接的ケア以外の介入・対応が見られた。
表5 健康面への介入・対応
サブカテゴリー n
服薬の調整 36
疲労・睡眠不足への介入・対応 27
便秘への介入・対応 26
身体的不快への介入・対応 25
視覚・聴覚の低下への介入・対応 20
低栄養への介入・対応 19
脱水への介入・対応 19
無気力状態への介入・対応 15
慢性疾患への介入・対応 15
痛みへの介入・対応 12
急性疾患への介入・対応 2
計 216
(4)[能力を維持するための課題への介入・対応]
[能力を維持するための課題への介入・対応]のカテゴリーには、表6に示すように、5 項目(記述データ数163)のサブカテゴリ―が含まれる。
表6 能力を維持するための課題への介入・対応
サブカテゴリー n
リズムのない日常生活への対応 74
時間がかかっても自分でできることをしてもらった 47
課題を簡単なものに変えた 16
障害にあわせて課題を修正した 14
地域の活動に参加する機会をつくった 12
計 163
(5)[家族・介護者状況への介入・対応]
[家族・介護者状況への介入・対応]のカテゴリーには、表7に示すように、8項目(記 述データ数111)のサブカテゴリ―が含まれる。
表7 家族・介護者状況への介入・対応
サブカテゴリー n
家族・介護者のストレスへの介入・対応 27
家族・介護者の介護負担への介入・対応 26
家族・介護者の本人に対するコミュニケーションへの介入・対応 21 家族・介護者のうつ状態など精神的疲労面への介入・対応 16 家族・介護者の身体的疲労面への介入・対応 8 家族・介護者の疾患(持病)への介入・対応 5
家族・介護者の不適切な介護への対応 5
家族・介護者の経済負担への介入・対応 3
計 111
(6)[事業マネジメントの改善]
[事業マネジメントの改善]のカテゴリーには、表8に示すように、2項目(記述データ 数2)のサブカテゴリ―が含まれる。「介護計画の工夫」は、ケアマネジャーがホームヘル パーに仕事内容を「検討してもらったところ、冷蔵庫の中のものの一覧表を作った。その 結果、若干訴えは尐なくなった」という記述に基づくものである。「職員の負担軽減」は、
「マニュアル化し、職員配置がきちんとできる時間(10時ごろ)から車椅子に乗っていた だくようにして職員の移乗介助・見守りの負担を軽減した」という記述に基づくものであ る。
表8 事業マネジメントの改善
サブカテゴリー n
介護計画の工夫 1
職員の負担軽減 1
計 2