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BMI,血圧および血液化学検査値に関する検討

- 45 - Table 1 土地用途地域の現状

4. BMI,血圧および血液化学検査値に関する検討

性別年齢群別にモデル地域と旧地域の BMI,血圧および血液化学検査値を比較 検討した.男性の結果を Fig.1,女性の場合を Fig.2 に示した。

BMI,血圧および血液化学検査値は,モデル地域は旧地域に比べて,各年代と も概ね数値的に良好であった。特に,女性の方が,その傾向が明らかであった。

以下,統計的に有意な項目を記載する。

男性では,モデル地域の 65-74 歳の拡張期血圧,75 歳以上の拡張期血圧,40-64 歳のγ-GTP,75 歳以上のアルカリホスファターゼは旧地域に比べ,統計的に有 意に低かった。逆に,75 歳以上では血清 HDL コレステロールが統計的に有意に 高いことが認められた。

次に女性では,全ての年齢区分で,モデル地域に比べ,旧地域の BMI が統計 的に有意に高く,65-74 歳を除いて血清 HDL コレステロールが低いことが認めら

男性(%) 女性(%)

モデル地域 旧地域 p値 モデル地域 旧地域 p値

肥満者率 40-64 28.1 33.5 0.434 14.3 23.7 <0.001 65-74 27.1 27.5 0.706 15.3 27.7 <0.001 75- 16.7 21.3 0.117 13.8 24.6 0.004 喫煙者率 40-64 33.3 42.0 0.065 5.8 12.2 <0.001

65-74 15.7 28.4 <0.001 2.5 6.9 0.003

75- 10.6 22.5 0.002 3.2 4.6 0.381

飲酒者率 40-64 54.5 59.7 0.266 9.7 12.4 0.130

65-74 48.5 51.5 0.467 9.2 8.1 0.518

75- 41.2 36.7 0.332 2.2 4.1 0.206

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れた。また,モデル地域の 40-64 歳の収縮期血圧,総白血球数,HbA1c,血清 CRP 値,65-74 歳の拡張期血圧,アルカリホスファターゼ,75 歳以上のアルカリホ スファターゼ,HbA1c は,旧地域より統計的に有意に低く,75 歳以上の血清ア ルブミンでは統計的に有意に高いことが認められた。

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Fig.1 BMI,血圧および血液化学検査値のモデル地域と旧地域の比較(男性)

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Fig.2 BMI,血圧および血液化学検査値のモデル地域と旧地域の比較(女性)

Ⅳ.考察および小括

本研究では,代謝や炎症マーカーを中心に小地域における健康格差を明らか にすることを目的に,住民基本健康診査を活用し,健康モデル地域と旧地域を 比較検討した。

その結果,喫煙者率,肥満者率,飲酒率の結果から,モデル地域の健康行動 は旧地域よりも高いことが示された。また,旧地域の BMI,収縮期血圧,拡張期 血圧,血清トリグリセライド,総白血球数,アルカリホスファターゼ,γ-GTP,

血清 CRP,HbA1c は,モデル地域に比べて高値を示し,一方,血清 HDL コレステ ロール,血清アルブミンは低値を示した。これら BMI,血圧,脂質異常,肝機能,

糖尿病などの指標とされる諸検査値の比較から,モデル地域は旧地域よりも健 康度が高く,小地域における健康格差の存在が示唆された。

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本研究では,対象市における行政地区の特徴よりモデル地域と旧地域の 2 群 に分けて比較検討を行ったが,同市の行政区分 7 地区を比較した先行研究では,

今回モデル地域とした地区にホワイトカラーが多く,比較的教育歴,経済レベ ル,健診受診率が高いことが報告されている71。健診受診は重要な健康行動の 1 つであり,住民基本健康診査は健康状態について正しい認識を持つという意味 で非常に重要な役割を果たしている72。健診受診に加え,モデル地域では健康行 動をとる者の割合が旧地域よりも高く,肥満や喫煙,運動習慣が旧地域との検 査値の違いに影響を与えていると考える。

また,住環境が健康行動,検査値に影響を与えている可能性が考えられる。

WHO の報告の中で,都市の開発管理の重要性が述べられており,地域社会の居心 地の良さが,身体的・心理社会的に良好な状態を促進するとしている73。モデル 地域と旧地域では,土地用途地域に大きな違いが見られ,モデル地域では住居 専用が大部分を占めている。住居専用は土地用途地域の中でも最も厳しく建築 制限され,住居環境を守ろうとしている地域であり,モデル地域は都市の開発 管理がされた地域であると言える。また,健康モデル地域に指定されているこ とや社会経済的要因の違いが,住民の行動に影響し,代謝や炎症マーカーを生 じさせたと考えられる。

米国で行われた NHANES Ⅲで社会経済的要因の違いと心血管疾患の危険因子 の関連を調べたところ,教育歴が長いほど,既婚率が高く,都市在住率が高く,

健康行動がみられ,血圧や BMI,血清コレステロールと血清 HDL コレステロール の割合に統計的に有意な違いがあったことが報告されている74。本研究における 小地域の解析は,これらの先行研究と同様の結果であると思われる。男女差に ついては,受診者割合の違い,また肥満による検査値への影響が考えられ,対 象者数や体格指標を調整することでより明確な社会経済的要因の影響を明らか にすることができると考える。先行研究の小地域での分析では,社会経済的要 因による格差は弱まるとされていたが,本研究の結果から,小地域においても 社会経済的要因は健康行動,代謝や炎症マーカーなどの検査値に影響を与えて いることが明らかとなった。

すなわち,社会経済的要因の差,行政の施策の違いが知識レベル等に影響を 与え,小地域での健康格差をもたらすものと推測される。

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本研究は,単年度の住民基本健康診査を用いた横断的研究である。市町村で は住民基本健康診査データが蓄積されているため,今後は過去のデータを活用 し,継続的および長期にわたる検討を加える必要があると考える。

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第2章 住民基本健康診査を活用した小地域の健康格差に関する疫 学研究

第 2 節 住民基本健診による血清 CRP 値と Framingham Score