- 45 - Table 1 土地用途地域の現状
第 2 節 住民基本健診による血清 CRP 値と Framingham Score (FRS)に関する横断研究
- 53 -
第2章 住民基本健康診査を活用した小地域の健康格差に関する疫 学研究
第 2 節 住民基本健診による血清 CRP 値と Framingham Score
- 54 -
Ⅱ.方 法
1. 対 象
対象者は大阪府 H 市において実施された住民基本健康診査の受診者 12,004 名
(男性 3,759 名,女性 8,245 名)である。
本研究の解析対象者は,住民基本健康診査を受診した者の中で,以下の条件 を満たした 8,682 名(男性 2,624 名,女性 6,058 名)である。
1) 年齢:40~74 歳の者
2) 血清 CRP 値: 1.5mg/dl 未満の者
3) 自記式問診表の回答に欠損がなく,FRS が算出可能な者 4) 脳卒中,心疾患の既往歴や疑いのない者
2. 方法
H 市の住民基本健康診査は,同市内の指定の医療機関において実施した。住民 基本健康診査内容は,採血および身体計測や血圧測定など標準的な健康診断と 既往歴,飲酒状況,喫煙状況などの生活習慣についての自記式問診表によるア ンケート調査である。
3. 測定項目 1) BMI
身長,体重より算出した.BMI=体重(kg) / 身長(m)2 2) 血液検査値の測定
対象者の採血は空腹時に行った。肘静脈から 5ml 採血し,2ml を K2EDTA で抗 凝固して血球数の測定に用いた。検査項目は老人保健事業で測定される 11 項目 に加えて,総白血球数,血小板,総タンパク,アルカリホスファターゼ,血清 CRP 値などの全 25 項目である。測定は検査機関で実施し,血清 CRP 値はラテッ クス免疫比濁法にて高感度 CRP が測定された。検査機関からの測定結果は医療 機関より H 市に集積されデータベース化された。
- 55 - 4. 統計解析
対象者を年齢別,BMI 別に分けて血清 CRP 値を比較した。
年齢区分は 5 歳ごとの 7 群,BMI は BMI<25 と BMI≧25 の 2 群とした。
血清 CRP 値と冠動脈疾患関連因子との関連性については,血清 CRP 値を Ridker により提案されている評価方法82により,0.12mg/dl 未満(評価「要観察」以下)
と 0.12mg/dl 以上(評価「要観察」以上)の2群とした。血清 CRP 値 0.12mg/dl 未満を CRP-L 群,0.12mg/dl 以上を CRP-H 群とした。
血清 CRP 値と FRS との関連では,血清 CRP 値は Ridker の評価方法を用いて 5 群で解析した。FRS は Framingham Heart Study の Coronary Heart Disease (10-year risk)のスコア表をもとに算出した。
統計は student t-test および一元配置分散分析,ロジスティック回帰分析で 解析した。統計解析ソフトは Macintosh Statview Ver. 5.0 Computer Program
(SAS Institute Inc.,Berkeley,USA) を使用した。なお,有意水準は p<0.05 とした。
Ⅲ.結 果
1. 対象者の特性と血清 CRP 値の分布
解析対象者の平均年齢は,男性 62.6±8.4 歳,女性 61.0±8.4 歳であり,特 性はTable1に示す。
Fig.1 は血清 CRP 値の分布である.中央値は 0.1mg/dl(推定中央値 0.1019mg/dl,
男性 0.1083mg/dl,女性 0.0992mg/dl)である。
2. 血清 CRP 値と年齢,BMI の関係
血清 CRP 値と年齢の関係を Fig.2 に示す。年齢別の血清 CRP 値では,年齢が 上がると上昇する傾向が認められた。男性がわずかに高い値を示したが,男女 の平均値はすべての年齢区分で上限基準値 83とされる 0.2mg/dl 未満であった。
血清 CRP 値と BMI の関係を Fig.3 に示した.男女とも各年齢区分において,BMI
<25 に比べ,BMI≧25 は統計的有意に血清 CRP 値が高く,男性 50-54 歳の BMI
≧25 では血清 CRP 値が上限基準値を上回った。