(3)配 合
写真 5. 6-2 浸水養生供試体
N, BB 現場
温度 現場 温度 実施工養生
短縮養生 浸水養生
現場水中養生
(2)浸水養生と実施工養生および短縮養生
脱型後に気中養生した実施工養生と短縮養生の材齢28日圧縮強度は,図 5.6-3に示すよう に,セメントの種類に関わらず,脱型材齢が早い短縮養生の方が低い.一方,浸水養生を行っ た場合には,脱型材齢の影響は認められない.また,比較した養生条件の範囲では,実施工養 生よりも脱型材齢を早くして浸水養生を行った方が大きな強度が得られ,その効果は普通ポル トランドセメントより高炉セメントの方が大きい.材齢28日時点の質量を比較した図5.6-4に よると,浸水養生の場合は,セメントの種類の差は小さい.実施工養生および短縮養生の場合 の質量は浸水養生より小さくなっており,高炉セメントは普通ポルトランドセメントより大き く減少している.よって,1週間の浸水養生によって高炉セメントの方が多くの養生水を吸水 している.
(3)現場水中養生と浸水養生
脱型後1週間経過した材齢9~11日に実施した現場水中養生の圧縮強度に対する浸水養生の 圧縮強度比率を図5.6-5に示す.強度比は100%前後であり,両養生の効果は等しいと考えら れる.また,脱型材齢が2~4日における現場水中養生に対する浸水養生の材齢28日圧縮強度
比率を図5.6-6に,質量比率を図5.6-7に示す.これらによれば,どちらも100%前後の比率と
なっており,両養生の効果は同等と考えられる.
浸水養生と水中養生の養生効果についてまとめると,以下のようになる.
実施工養生よりも,脱型材齢を早くして浸水養生を行う方がより大きな強度が得られる.言 い換えれば,コンクリート打設後の養生としては,コンクリート標準示方書の規定に基づき型 枠での養生を行うよりも,打ち込んだコンクリートが自重等に耐えられる強度に達した段階で,
早期に型枠を取りはずし浸水養生を行う方がコンクリートの品質向上に繋がるということであ る.また,アクアカーテンの養生効果は,圧縮強度や供試験体の質量変化の試験結果から水中 養生と同等の結果を得られたことから,浸水養生の効果は,同期間同温の現場水中養生を実施 した供試体で確かめることができる.
図 5.6-1 養生方法と圧縮強度の比較
N:普通セメント 20
25 30 35 40 45
0 30 60 90 材齢(日)
圧縮強度(N/mm2 ) 水中養生
実施工養生 短縮養生
28
91 7
図 5.6-2 養生方法と質量の比較
N:普通セメント 2.28
2.30 2.32 2.34 2.36 2.38
0 30 60 90
材齢(日)
質量(ton/m3 ) 水中養生
実施工養生 短縮養生
91
28
7
図 5.6-3 養生方法と材齢 28 日圧縮強度
20 25 30 35 40 45
1 2 3 4 5 6 7 8
脱型材齢(日)
圧縮強度(N/mm2 )
実施工(N) 短縮養生(N) 浸水養生(N)
実施工(BB) 短縮養生(BB) 浸水養生(BB)
図 5.6-4 養生方法と材齢 28 日質量
2.30 2.31 2.32 2.33 2.34
1 2 3 4 5 6 7 8
脱型材齢(日)
質量(ton/m3 )
実施工(N) 短縮養生(N) 浸水養生(N)
実施工(BB) 短縮養生(BB) 浸水養生(BB)
図 5.6-5 現場水中養生に対する浸水養生強度比 率(試験材齢脱型後 1 週)
80 90 100 110
8 9 10 11 12
試験材齢(日)
現場水中養生に対する 浸水養生強度比(%)
N:普通セメント BB:高炉セメント
図 5.6-6 現場水中養生に対する浸水養生強度 比率に脱型材齢が及ぼす影響
(試験材齢 28 日)
8090 100 110
1 2 3 4 5
脱型材齢(日)
現場水中養生に対する 浸水養生強度比(%)
N:普通セメント BB:高炉セメント
図 5.6-7 現場水中養生に対する浸水養生質量比率 に脱型材齢が及ぼす影響(試験材齢 28 日)
99.0 99.5 100.0 100.5 101.0
1 2 3 4 5
脱型材齢(日)
現場水中養生に対する 浸水養生質量比(%)
N:普通セメント BB:高炉セメント
5.7 浸水養生の実施時期と養生効果
5.7.1 試験内容
アクアカーテンでは,型枠を取りはずした後,できるだけ早い時点で給水することを基本と している,現場においては,型枠緊結材や支保材,型枠の取りはずしとこれらの撤去作業など の事前作業が必要となる.型枠面積が広い場合にはアクアカーテンの実施が翌日となり,休日 等の関係で3日後とならざるを得ない場合がある.そこで,型枠の取りはずし時期,アクアカ ーテンの開始時期や実施期間および水セメント比を浸水養生実施方法に対するパラメータとし て取り上げ,56日圧縮強度および吸水・乾燥に伴う質量変化量に及ぼす影響を調査する[6],[7].
試験には高炉セメントB種(BB)を用い,表5.7-1に示す水セメント比の異なる4種類の配合 のコンクリートをφ100㎜,高さ200㎜の円柱型枠に打ち込んで供試体を作成し,表面をラッ プする.
キャッピングを終了した供試体の養生方法を表5.7-2に示す.水セメント比は45~60%間を 5%間隔で5ケース,型枠の取りはずし時期は,コンクリート示方書に示す湿潤養生期間の標
準(15℃以上, BB:7日)を参考にし,アクアカーテン開始時期を3ケース,アクアカーテン
実施期間を2ケースとする.湿潤養生以外の気中養生は温度20±3℃,相対湿度60%の環境下 とし,アクアカーテンは養生効果が同等と確かめられている水中養生(温度20±3℃)とする.
封かん養生は供試体全体をラップする方法とする.
また,比較のため型枠取りはずしの翌日,封かん養生を1週間行うケースと水中養生を28 日まで行うケースを実施する.圧縮強度試験は,供試体の湿潤の影響を避けるため所定の養生 が終了した後,28日間以上気中養生を経た材齢56日を基準とする.
5.7.2 試験結果および考察
(1)養生中の質量変化
水セメント比55%における型枠取りはずし後の質量変化量を,図5.7-1(1)~(3)に示す.水中 養生のケースは,材齢経過とともに吸水が進み質量が増加する.アクアカーテン養生のケース は,養生前は急激な質量減となるが,養生開始後は吸水とともに質量が増大し水中養生と同様 な質量となる.図5.7-1(1),(2)は,3日および5日で型枠を取りはずしアクアカーテン養生の開 始時期を変化させたものであるが,養生開始時期が遅いほど乾燥による質量減は大きくなる.
養生開始後は吸水により再び質量増に向かうが,開始時期が遅くなればなるほど水中養生との 差異は大きくなる.しかし,材齢56日においてはいずれのケースも同様な質量変化量となる.
図5.7-1(3)は3日で型枠を取りはずしアクアカーテンを2週間実施した質量変化を示したもの
である.図5.7-1(1)と比較すると養生期間の延長にともない材齢56日での質量変化量も1割程 度改善されている.
表 5.7-1 コンクリートの配合
W C S G ad.
45 44.7 159 353 796 1020 3.53 50 45.7 159 318 828 1024 3.18 55 46.7 159 289 857 1021 2.89 60 47.7 156 260 891 1020 2.60
単位量(kg/m3) s/a
(%) W/C (%)
表 5.7-2 養生方法
型枠取り外し時期
湿潤養生 開始時期
湿潤養生 実施期間 3日
5日
当日(6時間)
翌日 2日後
AC1週間 AC2週間 3日
5日 翌日 封かん1週間 7日 翌日 AC1週間
封かん1週間 2日 当日 水中養生
図 5.7-1 脱型後材齢と質量変化(BB:水セメント比 60%)
高炉セメントW/C=60%
-70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20
0 10 20 30 40 50 60
脱型後の材齢(日)
質量変化量(kg/m3)
標準水中養生 3日脱型当日アクア1W 3日脱型翌日アクア1W 3日脱型2日後アクア1W
(1)アクアカーテン開始時期の影響(3日脱型)
高炉セメントW/C=60%
-70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20
0 10 20 30 40 50 60
脱型後の材齢(日)
質量変化量(kg/m3)
標準水中養生 5日脱型当日アクア1W 5日脱型翌日アクア1W 5日脱型2日後アクア1W
(2)アクアカーテン開始時期の影響(5日脱型)
高炉セメントW/C=60%
-70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20
0 10 20 30 40 50 60
脱型後の材齢(日)
質量変化量(kg/m3)
標準水中養生 3日脱型当日アクア2W 3日脱型翌日アクア2W 3日脱型2日後アクア2W
(3)アクアカーテン実施期間の影響(AC2週間)
図5.7-2に水セメント比毎の質量変化量を示す.1ヶ月後の4配合の平均質量は17kg/m3の 増加となり,水セメント比の影響は小さくその差は2.4 kg/m3である.しかし,2ヶ月後の気 中養生による質量減少は水セメント比の影響が大きく現れている.
図5.7-3に示すように供試体の脱型後養生開始までの質量変化は,養生開始までの経過時間
に比例し質量が減少する.また,型枠取りはずし後から2日時点における質量減少量に及ぼす 水セメント比の影響は,最大差でも6kg/m3と小さい.このことから,脱型後の湿潤養生の開 始の遅れが2日迄程度であれば,養生開始時期や水セメント比の影響を考慮する必要はない.
図5.7-4に示すように,アクアカーテンの実施期間による質量増加の効果は,1週間実施で
9.7kg/m3,2週間実施では11.3kg/m3となり約16%増加する.また,アクアカーテンの開始時
期の影響は大きく,当日(養生開始6時間後)と2日後の質量変化量は40%程度異なる結果と なった.よって,吸水による質量増加を多くする場合には,型枠取りはずし後できるだけ早期 にアクアカーテンを開始する方が良い.
図5.7-5に示すように,アクアカーテン実施期間による質量増加量を水セメント比で整理す
ると,多少のバラツキが認められるもののその影響は小さい.水セメント比が小さいことでよ り多く吸水しようとするものの,低透水性となり水分移動が抑制され,結果的に吸水が阻害さ れているものと推定される.
各水セメント比の材齢56日における質量変化をまとめたものを,図5.7-6と図5.7-7に示す.
なお,両者はそれぞれ型枠取りはずし時期,アクアカーテン開始時期をパラメータとして整理 したものである.図5.7-6より,型枠の脱型時期が打設後3~7日の範囲においては,型枠取り はずし時期の違いが質量変化量に与える影響は3%以内と小さいが,水セメント比の影響は大 きく水セメント比45%より60%では質量変化量が1.5倍となっている.図5.7-7より,アクア カーテン開始時期が打設当日~2日後の範囲において,水セメント比の違いが質量変化量に与 える影響は5%以内と小さいことがわかる.また,水セメント比がアクアカーテン開始時期お よびアクアカーテン実施期間に及ぼす影響も小さい.
アクアカーテンの実施期間の影響と養生方法の影響についてまとめたものを,それぞれ図
5.7-8および図5.7-9に示す.図5.7-8より,アクアカーテン実施期間を1週間から2週間に延
長することで質量変化量を17%低減できていることら,質量変化量をより低減するにはアクア カーテン実施期間を延長することが効果的である.また,図5.7-9より,封かん養生よりもア クアカーテンの質量変化量は9%程度低減できており,型枠を残置するより,脱型後アクアカ ーテンを実施した方が,質量変化量を低減できる.