4年生と6年生の比較 0
2)情意的側面の学習成果
①授業の自己評価
図5−13は,rよい授業への到達度調査」につい ての,好意的反応比率の単元経過に伴う変化をH SR群とHS群について示したものである.
50、
0瓢
準備運動
「技』の個人練晋
図5−13.「よい授業への到達度調査』の
好意的反応比率の単元経過に伴う変化(4年)
しかし,『新しい発見』項目は,HSR群は,80%前後 で推移していたが,HS群は,単元後半にかけて減少 し,平均値も60%程度にとどまる結果となった.この結 果には,後述する学習集団の未熟さが要因として考
えられた.
これらの結果は,4年生でも,6年生同様,技やカを 向上させ,新しい発見ができ,仲間と協力し,楽しめ ていた,ということを示唆している.
図5−14は,『技やカの伸びの自覚』項目において r自分自身に関すること」とrグループに関すること」の 記述内容の出現比率が単元経過に伴ってどのように 変化したかを示したものである.
「自分自身に関すること」は,単元を通して80%の 児童が自覚できていることが認められた.
すなわち,6年生と同様に,集団演技づくりが中心 となっても,個人の「技」の伸びが,停滞していないこ とを示している.このことは,r技」の平均値の伸びを 情意的側面から支持する結果といえる.
しかし,「グループに関すること」は,単元経過に伴 って向上する傾向が認められたが,6年生ほどの高ま りはみられなかった.
(%)技やカの伸びの自覚(4年)
100
80
60
40
20
0
+自分 HSR群
一〇一グループ+自分
オーグループ HS群 2 3 4 5 6 7 8 91011(時)
図5−14.『技やカの伸びの自覚』における
記述内容比率の単元経過に伴う変化
②態度測定の診断
表5−5は,態度測定の結果を示したものである.
態度測定の診断結果は,HSR群の男子は,「高い レベル→高いレベル」「成功」,女子は,「やや高いレ ベル→高いレベル」「成功」と診断された.また,HS群 男子は,「かなり高いレベル→高いレベル」「やや成 功」,女子は「やや低いレベル→かなり高いレベル」
「アンバランス」と診断された,
すなわち,態度測定の結果は,両群の男女ともに
「かなり高いレベル」以上となり,授業の成否は,HS群 の女子を除いて「やや成功」以上と評価された,
表5−6は,項目点の診断結果において,両群,男 女ともに向上した項目を取り出したものである.
両群,男女とも共通して向上したものは,「授業時 間の延長」r授業時数の増加」r課題解決への意欲」
「仲間との活動」「運動の大切さ」「体育の有用性」の6 項目が認められた.
なお,両群共通して低下する項目は認められなか
った.
両群の相違については,次項において後述する.
表5−5.態度測定の診断結果
4年HSR群 4年HS群
男子 女子 男子 女子
前 蜜化 後 前 驚億 後 前 寵化 綾 前 窟他 綾 態度尺度 よるこび A
4 A C
4B B 3 B D 5 B
騨価
8 4 A C 5
AC 5
AC 4 B
価値
B 5 A B 4 A B 3
BC 2 C
雛産スコ7の 診断 前 綾 前 換 駒 縦 前 畿 高い 高い ややい 高い かなりい 高い ややい かなりい 授薬の戒否
成功 成功
やや成功 7ンパランス 表5−6.両群,男女ともに向上した項目群
HSR群
HS群尺 男子 女子 男子 女子
授 時閣の廷畏
よろこ 授桑時数の増加
体育に対する好嫌 ぴ 運動による關敏感 はりきる気持ち
課麺解決への意歓 伸閥との活融
向 運動の大切さ
上 評 挑戦する嬢魔 繁紳力の養威
した項 価 技能向上の唇び 運勤に対する愛好的怨塵冒戒
目 運動の真快さ
幽儒の高まり
体育の有用性
運馳に対する好嫌 体力づ《り
価 話し合い活馳
値 学冒集団の育蔑 擾粟内審の難昌度
運動する意歓
③マット運動に対する好嫌度
図5−15は,マット運動に対する好嫌度調査の結果 を示したものである.
単元前にマット運動が「大好き・好き」と答えた児童 は,両群合わせて59。7%存在し,単元終了時には,9 8,6%に増加した(HSR群:69.4→97.2%,HS群:50→1
00%).
一方,単元前において12.5%存在したr嫌い・大嫌 い」と答えた児童は,単元終了後には,認められなく なった(HSR群:3→0%,HS群:22.2→0%).
単元前の「嫌い・大嫌い」から,単元後に「大好き・
好き」に変容したA男の回答理由は,rうしろ回りがで きないから嫌い」から,「いろんな技ができるようになっ たから好き」となっていた.これは,「技能の伸び」が,
好意的反応を高めることに深く関連しているという報 告9)を支持するものである.また,B子は,rうまく回った りできないから嫌い」という回答から,「とても演技が楽 しいから大好き」と回答するようになった.この児童 は,技能レベルはさほど高くなかった(単元中:1.13点
→単元後:2.25点)が,集団演技づくりに楽しさを見出 したことによって,マット運動に対して好意的な反応を 示すようになった一例である.
また,単元前・後ともにマット運動がr大好き・好き」
と答えたC子の回答理由は,「回るのが楽しい」と,マ ット運動の楽しみを漢然と捉えていたものから,rいろ いろな技があって,それができるとおもしろい」という 具体的な楽しさへの変容が認められた.また,D男 は,「前回りや倒立が楽しい」から,「曲に合わせて
100噛1
鰯
㎝ 鞘
20悌
侃
畔O po就 prO P戯
4輔R群 4年稲群 μ●4 年
瞬
8大好き・好き日どちらで膿、ロきらしb大きらい
図5−15.マット運動の好嫌度の学習による変化(4年)
やるのもすごく楽しい」と回答するようになり,楽しみ 方の広がりを実感していることが認められた。
すなわち,マット運動を集団的に取り扱うことは,4 年生においても,個々の「技能の向上」に加え,集団 での達成感を味わわせることによって,マット運動を 好きにさせることができたといえる.
④集団的な取り扱いに対する意識
図5−16は,マット運動の集団的な取り扱いに対す る意識調査の結果を示したものである.
マット運動を集団的に取り扱うことが「すごく楽しか った・楽しかった」と答えた児童は,91.6%存在した.
(HSR群:94.4%,HS群:88.9%)
単元後に「どちらでもないjと回答した児童は,「協 力したり仲間割れしたりしたから」r楽しいときもあった けれど楽しくないときもあった」という理由を記述して
いた.
これは,集団演技づくりを進める際,グループ内で 意見がまとまらないために,活動時間が制限された り,個々の思いが十分生かされなかったりしたため に,その授業をr楽しくなかった」と判断したためだと 推察された.
すなわち,rどちらでもない」と答えた児童は,学習 集団の未成熟な部分によって引き起こされた印象に 基づいて回答したと考えられる.
このことから,集団的な取り扱いをする際には,学 習集団の組織・運用に十分な配慮をすることの重要 性が浮き彫りとなった.
100鷲
80覧
60、
40覧
20瓢
0鷲
4年 5翼腱 4辱髄88 4年
聞秦しかった四どちらでもないロ肇し《なかった
図5−16.マット運動の集団的な
取り扱いに対する児童の意識(4年)
また,小集団内におけるトラブルは,演技構成を話 し合う場面において多く発生していた.4年生の児童 は,「技」の同一性を「合わせる」ことと捉える傾向が強 かったため,技能レベルの高い児童が違うr技」を行う ことに対して,グループの仲間が抵抗感を示し,演技 構成がまとまらないことにつながっていた.教師が,
話し合いに適切な助言が行えたグループにはトラブ ルは認められなかったことから,この点について学級 全体に共通して理解を深める指導の必要性が示唆さ
れた.
(3)6年生と4年生の比較
1)技能的側面
4年生においては,開脚後転を除く7種目で,単元 後半において有意に向上した(図5−11).特にこのこと は,「前転」「開脚前転」「とび前転」「側方倒立回転」
で顕著であった.この傾向は,6年生でも同様に認め
られた.
集団演技の構成は,4年生と6年生で可能であるこ とが認められたが,その内実には,6年生と相違が認 められた.(図5−21,22)
すなわち,6年生においては,後転系のr技」は敬 遠する傾向が認められたが,4年生においては,後転 系の「技」を,全員が行う「技」として積極的に取りあげ ているグループが半数以上で認められた.この要因 は,『新しい発見』項目のrグループに関すること」の 記述内容から推察された.
すなわち,4年生では,r膝をしっかりのばすときれ
いに見える」「手をつかずに立っときれい」等,一人一 人の動き方に視点をおいてグループとしての美しさを 追求しようと考えていた.これに対し6年生において は,r全員がリズムに合わせると美しい」r歌詞の○○
の部分でみんなが手をつく」等,グループ全体でr合 わせる」ということに視点をおいた記述が多く認められ た.全員で合わせる「美しさ」を求めることに意識の高 い6年生は,頭越しの部分のある後転系の「技」は,
「合わせる」という面で問題があるので採用しなかった ものと考えられた.
換言すれば,集団演技における「美しさ」に対する 意識に学年差が存在すると考えられる.
2)情意的側面
rよい授業への到達度調査」r態度測定」rマット運 動に対する好嫌度」は,両学年ともに高い結果が得ら
れた.
しかしながら,4年生HS群女子においては,「価値」
尺度を高め得なかったことが,授業の成否をrアンバ ランス」と診断させた.
r価値」尺度を高め得なかった最大の要因は「話し 合い活動j項目点の低下によるものであった.「よい 授業への到達度調査」の『仲間との協力』項目の自由 記述にも,「意見を聞いてくれない人がいた」「話し合 うときに勝手なことをしていた」などの記述が認められ た.これらのことは,先行研究でも指摘されているよう に,態度測定の価値尺度を高めるためには,学習集 団の組織・運用が重要であることを示唆している9).
(個) 仲間との協力 30
25
20 15
10
5 0